世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1510信(2019.12.30)

  • ニューヨークのユダヤ教指導者宅に刃物男が押し入り、5人刺す
  • 米テキサス州の教会で日曜礼拝中に発砲、信者たちが容疑者射殺
  • 中国、「国家権力の転覆扇動」で非公認教会の牧師に懲役9年
  • スイスの小学校でクリスマス・キャロル斉唱一部取りやめ
  • 米公民権運動の象徴ジョン・ルイス下院議員が膵臓がん公表
  • 《メディア展望》

 

◎ニューヨークのユダヤ教指導者宅に刃物男が押し入り、5人刺す

 【CJC】米テレビ局CBS・ニューヨークによると、ニューヨーク州ロックランド郡のユダヤ人が多数居住するモンゼイ地区のラビ(ユダヤ教指導者)宅で12月28日夜、数十人が集まって「ハヌカ」を祝うパーティーを開いていたところ、刃物を持った男が押し入り、5人を刺し負傷させた。AFP=時事通信が報じた。

 現地のユダヤ教正統派公共問題評議会(OJPAC)はツイッターで、「今晩9時50分(現地時間)、多数の人が刺されているとの通報が入った。現場はハシド派(超正統派)のラビの家で、5人が刺し傷を負い、地元の病院へ搬送された。5人は全員、超正統派の教徒だ」と発表した。2人は深刻な容体という。

 OJPAC・ハドソンバレー地区の幹部は現地紙ニューヨーク・タイムズに、被害者の1人はラビの息子だと語っている。

 地元のラマポ警察がフェイスブック上で、容疑者の身柄を拘束した、と明らかにした。

 近年米国ではユダヤ教徒を標的とした襲撃が相次いでいる。12月に入り、ニューヨーク郊外でユダヤ教の戒律に従った「コーシャー」食品を扱う店が銃撃され、容疑者2人を含む6人が死亡している。


◎米テキサス州の教会で日曜礼拝中に発砲、信者たちが容疑者射殺

 【CJC】米南西部テキサス州フォートワース郊外のホワイトセトルメント地区にあるウエスト・フリーウェイ・キリスト教会で12月29日朝、日曜礼拝が行われていた最中に銃撃事件があり、容疑者の男を含む3人が死亡した。事件当時、信者ら約250人が集まっていた。米メディアが伝えた。

 男は散弾銃のようなものを発砲し、突然の銃声に教会内はパニック状態となった。ホワイトセトルメント警察のJ・P・ベベリング署長は報道陣に、「複数の信者たちが撃ち返したところ容疑者に命中し、男は現場で死亡した」と述べた。

 同署長は危険を止めた「信者たちによる勇敢な行動」を称賛する一方で、犠牲者の1人が搬送先の地元の病院で死亡したことを明らかにし、もう1人も命に関わる重傷を負っていると述べた。

 警察や米連邦捜査局(FBI)は、容疑者の犯行の動機について捜査している。

 銃保持者が多い米国では今年、銃による自殺や殺人、警察が関与した銃撃や事故などによって約3万6000人が死亡した。

 同州サザーランドスプリングズでも2017年11月、日曜礼拝中の教会で白人の男が銃を乱射し、26人が死亡する事件が起きている。


◎中国、「国家権力の転覆扇動」で非公認教会の牧師に懲役9年

 【CJC】中国四川省成都市の裁判所は12月30日、非公認のプロテスタント秋雨聖約教会の王怡牧師に、「国家権力を転覆させるために扇動」したとして懲役9年の判決を下した。

 同裁判所が公式ウェブサイト上で発表した内容によると、王氏は「違法なビジネス活動」でも有罪とされた。

 同教会は、政府による取り締まりの標的となっていた、とAFP通信が伝えている。


◎スイスの小学校でクリスマス・キャロル斉唱一部取りやめ

 【CJC】スイス北東部の小学校が、クリスマスイベントで歌う歌のリストから、クリスマス・キャロル3曲を削除した。「他の文化に配慮する」のが理由としている。

 電子メディア『スイス・インフォ』(SWI)が現地の無料日刊紙『20min』によるとして伝えるところでは、ザンクト・ガレン州ヴィールのマット小学校で12月20日に予定されていたクリスマスイベントで「世界に告げよ」など3曲がリストから削除された。いずれもイエス・キリストの誕生を歌ったものだ。他の文化や宗教に配慮するというのが理由という。

 地元の政治家で、ユッタ・リューズリ教育委員会委員長は、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、この事実を認めた。同委員長は、この小学校の判断が国内で大きな波紋を起こしたことは残念だと述べた。

 リューズリ氏は、ここ近年で数人のイスラム教徒の親から反対の声があったというが「特定の宗教に所属していない、あるいはまったくの無宗教の人」からも同じような意見が寄せられたという。そのため、一部のクリスマス・キャロルを歌わないことに決めた。学校はこの問題を非常に慎重に検討していたという。

 ザンクト・ガレン州ヴィールはカリン・ケラー・ズッター司法相の地元、人口約2万4000人で、うち約29%は外国人。

 リューズリ氏は、「きよしこの夜」などほかのクリスマス・キャロルは歌うとし、学校はキリスト教の価値観を守っている、と述べた。

 スイスのイスラム組織連盟のファーハド・アフシャール会長は、今回の決定を残念に思うと述べた他のサイトへ。同氏はSRFに、宗教を学校から完全に排除するのは正しい道ではなかった、と語った。

 アフシャール氏は、学校がイスラム教、ユダヤ教の休日も祝うようにすれば、子どもたちがほかの宗教を学ぶ機会になるという。同氏は
「宗教的な問題から学校を遠ざけようとするよりも、子どもにとってははるかに興味深い」と強調する。

 SRFが現地住民にインタビューした。住民は社会統合(インテグレーション)には賛成だが、学校の決定には概して反対だと語った。その場を通りかかったあるイスラム教徒は、クリスマス・キャロルに反対する気持ちはなく、子どもの時は学校で自分たちも歌っていたと話した。

 スイスでは、国レベルの政教分離は1848年に始まった。しかし、両者の関係を正確に定義する役割は、各州にゆだねられている。

 イスラム研究に詳しい政治学者のローラ・ロッツ氏はSRFに、反響は驚くべきことではないと述べた。この時期になると似たような議論がドイツやオーストリアでも起こるとし「宗教を取り巻く状況は多様化し、無宗教の人が増えている。そういう人たちが、学校のクリスマスイベントでどの宗教歌を歌ったらいいのか、自分に問いかけるのだ」と言う。


◎米公民権運動の象徴ジョン・ルイス下院議員が膵臓がん公表

 【CJC】米国の公民権運動を象徴するジョン・ルイス下院議員(79=ジョージア州選出、民主党)が12月29日、ステージ4の膵臓がんを患っていることを公表した。

 声明によると「定期健診」で病気が分かったという。

 ルイス氏は「私は人生のほぼすべてにわたって、自由や平等、基本的人権などのための何かしらの闘いの中にいた。ただ今直面しているような闘いは経験がない」とつづっている。

 同氏は数十年にわたり公民権運動に携わったことで知られ、1963年8月の「ワシントン大行進」では、後に暗殺されたマーティン・ルーサー・キング牧師と共に行進した。キング牧師はこの集会で、「私には夢がある」という言葉で有名な演説を行った。

 ルイス氏は、ドナルド・トランプ氏が選出された2016年の米大統領選には正当性がないとして、17年1月の大統領就任式をボイコットした民主党議員の1人。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(12月29日・臨時休刊)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/

 =KiriShin(12月25日・既報)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(12月29日・既報)=https://クリスチャン新聞.com

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