世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1513信(2020.01.20)

  • 教皇、バチカン国務省次官に女性を登用
  • 教皇、フィンランド・ルーテル教会エキュメニカル使節と会見
  • 前教皇が既婚男性の司祭任命に反対表明、バチカンに衝撃
  • 前教皇が「既婚司祭」反対本の共著から名前外すよう要請
  • 気温0度で水中に、ロシア正教恒例「主の洗礼祭」
  • シリアの正教会府主教2人、1916年末に殉教
  • 香港、中国抑圧レポート発表者の入国を拒否
  • NY聖ヨハネ大聖堂でユニークな指導したジェームズ・モートン司祭死去
  • 《メディア展望》

 

◎教皇、バチカン国務省次官に女性を登用

 【CJC】教皇フランシスコは1月15日、国務省対外関係部門担当次官に同省職員からフランチェスカ・ディ・ジョヴァンニさんを任命した。公営バチカン・ニュースが伝えた。

 ジョヴァンニさんは1953年、イタリアのパレルモ生まれ。93年、国務省に入省、対外関係部門、特に移民と難民、国際人道法、通信、私的国際法、女性の地位、知的財産、観光の分野に従事してきた。

 ジョバンニさんの任命により、先任のミロスロー・ワコウスキ次官は、主として二国間外交を担当することになる。


◎教皇、フィンランド・ルーテル教会エキュメニカル使節と会見

 【CJC】教皇フランシスコは1月17日、フィンランド・ルーテル教会のエキュメニカル使節団を迎え、会見した。公営バチカン・ニュースが報じた。

 同使節団は、「キリスト教一致祈祷週間」(1月18日~25日)と、フィンランドの使徒、聖ヘンリック(ウプサラ司教・殉教者、生年不詳~1156年)の祝日(1月20日)を記念してバチカン(ローマ教皇庁)を訪れた。

 教皇は使節団への挨拶で、先の日曜日に記念した「キリストの洗礼」の祝日は、わたしたちの洗礼を思い起こさせるものと述べ、自身の洗礼に対する感謝の念において、すべてのキリスト者は一致している、と話した。

 また教皇は、キリスト者たちは、キリストの神秘体の肢体として一致し、互いの重みを支え合い、福音を証しするという共通の使命を負っている、と語った。

 教皇は、今年の「キリスト教一致祈祷週間」のテーマ、「人々は大変親切にしてくれた」(使徒言行録28・2参照)を示しつつ、人をもてなし、受容することも、日々の共通の信仰の証しであるとして、「人をもてなす者は、貧しくなるのではなく、より豊かになる」「与える者は、与えられる」と指摘した。

 わたしたちキリスト者は、人類のメッセンジャー、人となられた神のあわれみを受ける者として共に歩んでいる、と述べた教皇は、キリスト者の共同体とは、単に隣り合い、並んでいることではなく、より深い意味で「共にいること」であるべき、と願った。


◎前教皇が既婚男性の司祭任命に反対表明、バチカンに衝撃

 【CJC】カトリック教会の前教皇ベネディクト16世が、既婚男性を司祭に任命する案に反対していることが1月12日、分かった。AFP通信などによると、新著「わたしたちの心の底から」(仮訳)の中で、フランシスコ教皇に向けて司祭独身制の継続を強く訴えており、バチカン(ローマ教皇庁)の専門家らはその内容に衝撃を受けている。

 フランシスコ教皇は現在、司祭のなり手が不足し、ミサがほとんど行われていないアマゾンなどの遠隔地域で、既婚男性が司祭となることを認めるよう求めた司教会議(シノドス)の提言を検討中。結論は今後数週間のうちに発表されると見られている。

 これに対し、2013年に約600年ぶりに教皇を生前退位したベネディクト16世は「もはや黙ってはいられない!」と新著に記していた。

 新著は、ギニア出身の保守派の急先鋒ロバート・サラ枢機卿との共著で、仏日刊紙フィガロが12日に抜粋を独占公開した。

 その中で2人は、「司祭独身制の価値をおとしめようとする悪い嘆願や、芝居がかった悪魔のような虚言、流行の過ち」に教会そのものが「揺さぶられる」ことがないよう訴え、「聖別された独身制が絶え間なく疑問視される状態」に司祭たちが「混乱している」と警告している。

 ベネディクト16世は、「婚姻関係は男性の完全性に関係している。そして、神に仕える際にも、人は神から与えられた全てをささげることが求められる。この二つの使命を同時に実現することは不可能に思う」と述べている。

 しかし、バチカンの専門家たちは、退位した前教皇がデリケートな問題に介入することに驚きを表明。「名誉教皇(ベネディクト16世)が(世間から)身を隠し、服従するという自らの約束を守らないならば、(バチカン内での)共存は難しい」と指摘している。


◎前教皇が「既婚司祭」反対本の共著から名前外すよう要請

 【CJC】カトリック教会の前教皇ベネディクト16世が、既婚の男性でも司祭になれようにする見直しに反対意見を表明する本「わたしたちの心の底から」(仮訳)を発表したと伝えられて議論を呼ぶ中、前教皇は同書の共著者から名前を外すよう出版社に要請した。現教皇フランシスコへの異例の批判として広がる波紋を抑えるためと見られる。

 『カトリック・ワールド・ニュース』はベネディクト16世が1月14日、秘書を通じて本の共著から名前を外すほか、まえがきやあとがきの署名も掲載しないよう出版社に要請したと伝えている。


◎気温0度で水中に、ロシア正教恒例「主の洗礼祭」

 【CJC】ロシア正教で「主の洗礼祭」に当たる1月19日に合わせ、凍結した海や川、湖の氷をくりぬいて信者が斎戒沐浴する伝統行事がロシア全土約3900カ所で開かれた。内務省によると、18日夜から19日にかけて約210万人が参加した。

 ロシア正教では、キリストが洗礼を受けたとされるこの日、聖職者が清めた水が聖水に変わり、浴びたり飲んだりすることで無病息災につながると信じられている。

 タス通信によると、米ニューヨーク州の大西洋に面した海岸でも70人以上の信者が海水に漬かった。


◎シリアの正教会府主教2人、1916年末に殉教

 【CJC】2013年4月に誘拐されたアンティオキア正教会のアレッポ府主教ボウロス・ヤジギと、シリア正教会のアレッポ府主教ヨハンナ・イブラヒムが16年12月に殉教していた、と『正教ジャーナリスト連合』(英語版)が1月16日報じた。

 2人はイスラム教スンニ派の反政府武装グループ『ノール・アル・ディン・アルゼンキー』に殺害された。同グループはサウジアラビアと米国から資金と武器を提供され、シリア紛争に独立参戦していたという。

 2人の府主教は拷問により強制的に改宗させられようとしたとも伝えられる。2人の遺体はまだ発見されていない。


◎香港、中国抑圧レポート発表者の入国を拒否

 【CJC】世界各地の人権侵害と弾圧を止め、世界中すべての人々の人権を守ることを目的に、世界90カ国で人権状況をモニターしている人権NGO『ヒューマン・ライツ・ウォッチ』(HRW、本部ニューヨーク)のケネス・ロス事務局長は、中国の抑圧に焦点を当てた「ワールドレポート2020」を発表するため香港訪問を計画していたが、香港当局は1月12日、同氏の入国を拒否した。

 米国籍のロス氏は、「人権を守るための国際的な取り組みに対する北京の攻撃強化にスポットライトを当てたいと思っていた。香港への入国が拒否されたことが、問題を鮮明に示している」と、プレスリリース(新聞発表)で述べた。

 香港当局は、ロス氏への入国拒否理由を説明していない。

 652ページに及ぶ報告書は、第30版にあたり、ほぼ100カ国の人権事情を評定している。今年、中国政府による弾圧に焦点が当てられた。中国政府の、人権侵害は露骨になっていると主張している。


◎NY聖ヨハネ大聖堂でユニークな指導したジェームズ・モートン司祭死去

 【CJC】ニューヨーク・マンハッタンの米聖公会聖ヨハネ大聖堂で25年間にわたりユニークな指導を展開したジェームズ・パークス・モートン元司祭が1月4日、ニューヨーク市内の自宅で亡くなった。89歳だった。アルツハイマー病を患っていたという。現地邦字紙ニューヨーク・デイリー・サンが8日、ニューヨーク・タイムズ紙の報道を紹介した。

 モートン司祭は1972年、首席司祭に就任。当時、ニューヨーク市は財政破綻状態にあり、さまざまな社会問題に直面していた。モートン司祭は大聖堂の敷地内にホームレス用シェルターを開設、ハーレムにある廃ビルを住宅用に改築する運動も始めた。聖フランシスコの祝日に動物礼拝も始めた。礼拝にはペットの犬や猫、鳥などの他、サーカス団が飼育するゾウや、約4メートルのイチョウの木が持ち込まれたこともある。

 ダライ・ラマ14世など他宗教の指導者を招き、早くから女性や同性愛者が説教壇に立つことを認めた。ミサに賛美歌以外の音楽やダンスも取り入れた。

 96年に首席司祭を引退。非営利団体『インターフェイス・センター・オブ・ニューヨーク』を設立、多様な宗教の相互理解に努めた。

 葬儀は11日午後6時から同大聖堂で。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月19日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇フランシスコ=外交使節団への年頭演説=世界には希望の徳が必要
★教皇の一般謁見講話=試練の体験から共感
★気候変動の危機に立ち向かう若者たち=グローバル気候マーチ=日本でも25都府県で
★キリストと同じ夢を見る~これからの教会共同体=松浦悟郎司教インタビュー
★守られる安心感 子どもに=一般保育園 卒園児の母が絵本制作

 

 =KiriShin(1月11日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(1月19日・休刊)=https://クリスチャン新聞.com

月別の記事一覧