世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1514信(2020.01.27)

  • 「世界広報の日」に向けて教皇メッセージ
  • ローマの聖パウロ大聖堂でエキュメニカルな夕べの祈り
  • 長崎知事が教皇謁見参列 バチカンで被爆地訪問に謝意
  • 蔡総統が教皇に書簡、平和のための三つの「ノー」を提言
  • 韓国7大宗教指導者が「北朝鮮個別観光を申請」とイ・ホンジョン教会協総務
  • 古代ヘブライ語の文書解読をハイファ大学が高速化技術
  • エチオピア正教会祭典で座席エリア崩壊、10人死亡、負傷者多数
  • 閉ざされたアーミッシュ社会で隠されてきた「性的虐待」
  • 1300年昔の日本に同胞が、とイラン・メディア注目
  • 教会音楽家パブロ・ソーサ氏死去
  • 《メディア展望》

 

◎「世界広報の日」に向けて教皇メッセージ

 【CJC】教皇フランシスコは1月24日、2020年度のカトリック教会の「世界広報の日」に先立ちメッセージを発表した。今年度広報の日のテーマは「『あなたが語り伝え、知るために』(出エジプト10・2)生きることが語りとなる」(仮訳)。。公営バチカン・ニュースが報じた。

 「世界広報の日」は、福音宣教の中でも、特に新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネット・映画などのメディアを用いて行う宣教について、教会全体で考えることを目的としている。

 「広報の日」は、毎年、聖霊降臨の直前の日曜日(2020年度は5月24日)に記念されるが、日本の教会では、それより1週間早い日曜日(復活節第6主日・今年は5月17日)に行われる。

 教皇はこのメッセージで、「語ること」をテーマに、破壊的ではなく建設的なストーリー、皆で前進するためのルーツと力を見出させる良いストーリーの真理に触れる必要を説いている。

 「人間は語る存在である。人間は小さい時から、食べ物を必要とするように、話を必要としている」、「人は、自身の脆さを覆い、自分の生き方を守るために己を語ることを必要とする唯一の存在である」、「人間は、成長する存在ゆえに、語る存在でもあり、日々の物語を紡ぎながら人は豊かにされていく」と、教皇は指摘した。

 一方で、「すべての語り(ストーリー)が良いものであるとは限らない。ストーリーが何らかの目的のために利用されている時は、その命は短く、それに対してそれが良いストーリーである場合は、それは時空を超えて残っていく」と記している。

 聖書について教皇は、それは「多くのストーリーを集めた一つのストーリーであり、そこには実に様々な出来事、人々が登場する。聖書は、神が創造主であると同時に、語り手であることを示している」と述べている。

 そして、「聖書は神と人類の間の偉大な愛のストーリーであり、その中心にはイエスがいる」「人は、世々に、この聖書の重要な出来事を『語り伝え、記憶に刻む』よう招かれている」と記し、神の語り、イエスの語りに耳を傾け、イエスと似た者に変容されていく必要を説いている。


◎ローマの聖パウロ大聖堂でエキュメニカルな夕べの祈り

 【CJC】1月18日から始まった「第53回キリスト教一致祈祷週間」は、「聖パウロの回心」を祝った25日、最終日を迎えた。同日午後、教皇フランシスコは、ローマの城壁外の聖パウロ大聖堂(サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ)で、エキュメニカルな夕べの祈りを行った。公営バチカン・ニュースが報じた。

 この集いには、正教会のエキュメニカル総主教府使節や、英国国教会カンタベリー大主教のローマ代理、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿などが出席。

 教皇と代表たちは使徒聖パウロの墓前で、そしてイタリアのテルモリからもたらされた、聖パウロの弟子・聖テモテの聖遺物の前で共に祈った。

 今年の「キリスト教一致祈祷週間」のテーマは、「人々は大変親切にしてくれ
た」(使徒言行録28・2参照)。


◎長崎知事が教皇謁見参列 バチカンで被爆地訪問に謝意

 【CJC】長崎県の中村法道知事は1月22日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪れ、教皇フランシスコの一般接見に参列した。長崎市の高宮茂隆副市長も同席した。

 教皇フランシスコは昨年11月に教皇として38年ぶりに訪日し、長崎と広島の両被爆地から核兵器廃絶の必要性を訴えるメッセージを発信した。

 中村知事は接見後の取材に「長崎から平和のメッセージを発信してもらったことに感謝を述べた」と話した。教皇からは「(平和を目指す)この道を共に歩き続けましょう」と返事があったという。共同通信が報じた。


◎蔡総統が教皇に書簡、平和のための三つの「ノー」を提言

 【CJC】台北発中央社通信によると、台湾の総統府は1月21日、蔡英文総統が教皇フランシスコに宛て送った書簡を公表した。書簡では、平和実現に向け、「希望を手放さない」「いかなる人をも排斥しない」「統制・操作しない」の三つの「ノー」が提言された。

 書簡は教皇が1月1日に発表した「世界平和の日」のメッセージに呼応したもの。メッセージは「希望の道である平和――対話、和解、エコロジカルな回心」をテーマとし、他人をコントロールする欲望を手放し、互いに尊重することを学んでこそ、互いに報復し合う悪循環を断つことができるとの考えが示された。

 蔡総統は「台湾が希望を手放さなさず、開かれた対話を堅持し、いかなる人をも排斥せず、統制・操作せず、エコロジカルな回心の道に従いさえすれば、いつの日にか真の平和を達成できる」との信念を明らかにした。


◎韓国7大宗教指導者が「北朝鮮個別観光を申請」とイ・ホンジョン教会協総務

 【CJC】韓国プロテスタント9教団の連合体、キリスト教会協議会(NCCK)のイ・ホンジョン総務は1月22日、ソウルで開いたの新年記者懇談会で「わが国の7大宗教代表が、率先して北朝鮮個別観光を申し込む。また各教団が北朝鮮個別観光運動を行うだろう」と語った。ハンギョレ新聞が報じた。

 イ総務はプロテスタント、仏教、カトリックなど7大宗教指導者による韓国宗教家平和会議(KCRP)次元で「北朝鮮個別観光運動」を議論し、2月25日の定期総会で決める予定、と付け加えた。

 韓国政府は最近、南北交流活性化措置の一つとして、北朝鮮が発行したビザさえあれば中国など第3国を経由する個別北朝鮮観光を許容する方案を検討中、とも明らかにした。


◎古代ヘブライ語の文書解読をハイファ大学が高速化技術

 【CJC】イスラエル紙『ハアレッツ』が1月17日、ハイファ大学デジタル人文科学研究所のスタッフがハイテク技術を使って古代ヘブライ語の文書を高速で自動解読するシステム開発に取り組んでいる、と報じた。「オクトパス」と名付けられた解読システムは、今は予備段階。

 様々な古代ヘブライ語文献の文字を、自動読書のための深層学習装置「クレイケン」に認識させることで解読システムの能力を高め、近い将来、手書きも含めあらゆるヘブライ語文献を瞬時に自動解読してテキストとして提供することを目指している。歴史、聖書と文学の研究改善に先進技術を利用する「デジタル人文科学」の一部。


◎エチオピア正教会祭典で座席エリア崩壊、10人死亡、負傷者多数

 【CJC】エチオピアで1月20日、正教会の大規模な祭りの最中に座席エリアが崩壊し、少なくとも10人が死亡、多数が負傷した。AFP通信が報じている。

 事故はエチオピア北部の古都ゴンダルで午前8時直前に発生した。ゴンダールでは毎年100万人以上が集まる「ティムカット」というエチオピア正教会の祭りが行われていた。

 段になった木造の座席エリアには、数百人が数時間にわたり座っていた。ゴンダル大学病院の医師によると、負傷者数は100人から150人に上るという。現場から逃げた目撃者らは、大勢の人が押しつぶされたと話しており、犠牲者数はさらに増えると見られる。

 ティムカットは昨年12月、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録され、国内外から大勢の人が訪れていた。


◎閉ざされたアーミッシュ社会で隠されてきた「性的虐待」

 【CJC】米国版『コスモポリタン』誌と非営利の調査報道機関『タイプ・インベスティゲーションズ』との1年にわたる共同調査で、米国やカナダの一部で自給自足の生活を送るドイツ系移民のキリスト教の1派『アーミッシュ』内で行われて来た近親相姦やレイプなど性的虐待事例が明らかになった。

 『アーミッシュ』は、その宗教的理念に基づき、米国へ移民してきた当時のままの生活様式を送っている。

 『コスモポリタン』誌の執筆者は、およそ30人のアーミッシュと警察などの法執行機関の関係者、判事、弁護士、ソーシャルワーカー、学者たちにインタビューし、話を聞いてきた。それらを通じて、アーミッシュのコミュニティにおける性的虐待が、世代を超えて保たれてきた公然の秘密ということが分かった。

 被害者たちから聞いたのは、不適切な接触、性器を露出されること、レイプなどの話だ。加害者はすべて、被害者自身の家族であり、隣人であり、教会の指導者たちだった。

 アーミッシュの暮らしに関する研究で知られる、ペンシルベニア州エリザベスタウン大学の再洗礼派・敬虔派ヤング研究センターによると、北米に34万2000人おどいるとされるアーミッシュは、ペンシルベニア、オハイオ、インディアナ、ケンタッキー、ニューヨーク、ミシガン、ウィスコンシンなど7州の地方部に暮らしている。

 出生率が高く、コミュニティを離れる人がほとんどいないことから、アーミッシュはアメリカ国内で最も急速に拡大している宗教グループの一つになっている。コミュニティは中央集権的ではなく、教会の"教区"単位で20~40世帯で構成され生活している。そして、筆者が被害者たちから聞いたようなことは、そのいずれにおいても起こっていた。

 筆者のまとめたところでは、過去20年の間、7州にあるアーミッシュのコミュニティで、子どもが被害者となった性的暴行事件は報告されているだけで52件。しかもこの数字は氷山の一角にすぎないのだ。


◎1300年昔の日本に同胞が、とイラン・メディア注目

 【CJC】国営イラン通信(IRNA=英語版)が1月14日、1300年昔の日本に同胞がいたことに注目して、「紀元765年には早くもイランと日本の結びつきを示す発見が」というニュースを流したので紹介する。発見されたのは木簡で1966年、平城宮跡東南隅の発掘で出土した、と日本では報じられている。

 日本の複数の研究者が、8世紀の昔に少なくとも1人のペルシャ人が奈良に住んでいた証拠を発見した、と語った。

 日本のNHKテレビによると、古代の木片の一部を赤外線を使用して、研究者は、少なくとも1人のペルシャ人が日本にいたこと、そのペルシャ人は多分、宮廷の教師だった、と判読したという。

 その木片は、約50年前に奈良の平城京宮殿で出土した。しかし当時は木片の文書を復元する技術が存在しなかった。

 木片の文書は、聖武帝治下の736年、1人のペルシャ人がシナから日本に来たことを示している。彼を接見した後、帝は彼に位を与えた。

 研究者は、木片から読み取れる「はしの・きうみち」がそのペルシャ人の日本名と信じている。

 2017年1月以来、木片は公開されている。奈良は8世紀には日本の文化的首都だった。

 奈良時代にペルシャ人が住んでいたことを暗示する木片の写真も掲載されている。


◎教会音楽家パブロ・ソーサ氏死去

 【CJC】教会音楽家で、アルゼンチン福音メソジスト教会牧師のパブロ・ソーサ氏が1月11日、ブエノスアイレスで死去した。85歳だった。

 ソーサ氏は1934年12月、アルゼンチン生まれ。ブエノスアイレスの高等福音神学院(ISEDET)で神学を学び、その後、米プリンストンのウェストミンスター・クワイア大学、ニューヨークのユニオン神学大学宗教音楽学校で教会音楽を学んだ。南米のプロテスタント教会で歌われている多くの賛美歌を作曲した。

 WCC(世界教会協議会)のオラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事は、「世界的なエキュメニカルな霊性の祖の1人であるソーサ牧師が召されたことは、非常な悲しみ」と述べ、「ラテンアメリカ(中南米)のプロテスタント教会の賛美歌(聖歌)多数の作者。アルゼンチン福音派メソジスト教会牧師、作曲家、教師、合唱監督、および教会音楽家として彼の作品は世界的に認められている」と追悼した。

 2009年に来日、日本賛美歌学会第9回大会で講演している。

 葬儀は1月12日、ブエノスアイレスのフローレス・メソジスト教会で行われた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★阪神淡路大震災=「あの日」から25年 祈りと課題=「1・17追悼と申請の祈りinたかとり」
★大震災契機に司祭の道へ=イエズス会 山内神父に聞く
★教皇庁国務省外務局=次長に初の女性就任
★ことばは「鎖につながれない」=教皇一般謁見講話
★カトリック中央協議会=教皇訪日講話を刊行=全公式スピーチほか機内会見も

 

 =KiriShin(1月21日)=https://www.kirishin.com
★【新春連続インタビュー"志"継いで未来へ】=一人ひとりの命が大切にされる世界を=畑野研太郎さん(日本キリスト教海外医療協力会会長)
★信教の自由セミナーで森島豊氏=キリスト教広がらない背景語る
★日本聖書協会が「懲戒処分」撤回=提訴中の元職員と和解
★中東への自衛隊派遣に抗議=日本YWCAが声明
★既婚男性の司祭任命に反対=前教皇の表明にバチカン衝撃

 

 =クリスチャン新聞(1月25日)=https://クリスチャン新聞.com
★断食祈祷聖会2020=大変動の日本には目が開かれた人必要=神の答えに葛藤でも祈る
★「台湾アイデンティティー」の芽生えか=総統選を教会はどうとらえたか?
★日中企業のプラットフォームで平和交流=李徳全の偉業に学ぶ
★中国2月から条例施行 「宗教団体の管理措置」
★ピアニストの工藤真史さん逝去=がんと共生しながら 至上の音楽届け続ける

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