世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1516信(2020.02.10)

  • オーストラリアのカトリック教会、自然災害対処に連携
  • バチカンから中国にマスクを支援
  • ホロコースト下の教会の救命活動テーマに、国連でシンポジウム
  • 『イスラム国』関連テロ組織がインドネシアでなお活動中か
  • ウイルス懸念の中、統一教会の合同結婚式6000組
  • 同性愛者公表し、連邦裁判事に初就任したデボラ・バッツさん死去
  • 《メディア展望》

 

◎オーストラリアのカトリック教会、自然災害対処に連携

 【CJC】オーストラリアで続く大規模な森林火災の下で、全豪のカトリック教会が自然災害に対処するべく、新たな取り組みを開始する。

 バチカン(ローマ教皇庁)公営バチカン・ニュースによると、この取り組みは、『オーストラリア・カトリック緊急救援』(CERA)と呼ばれ、自然災害への対応を行うカトリック諸組織の調整役を担う。

 CERAを構成するのは、オーストラリア司教協議会 、オーストラリア・カトリック修道会連合、オーストラリア・カトリック社会福祉事業、全豪カトリック教育委員会。

 オーストラリア司教協議会は、この取り組みを、同国がこの数ヶ月間大規模な火災に襲われたことをきっかけに立ち上げたものとし、将来的にカトリック教会がどのように全国の自然災害へ対応を行うかのための行動計画とも見ている。

 今年に入り、オーストラリア司教協議会と全国の各団体は、カトリック信者に対して、「ビーニーズ・ブッシュファイア・アピール」への寄付を勧めている。この運動は、カトリック系団体である聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ会が行っている支援活動の一つで、寄せられた寄付金を基に、今回の森林火災で愛する人を亡くした人々、住まい、土地、動物を失くした人々へ様々な災害後の支援を行っている。

 CERAの役割は、森林火災の危機からの復興への長い道のりを歩む人々を支援するとともに、国が新たな自然災害に襲われた際にはすぐに支援を結集すること。

 昨2019年9月より猛威を振るっている森林火災で、少なくとも1000万ヘクタールが焼失。33人が亡くなり、数え切れないほど多くの動物が犠牲になっている。

 ここ数週間で豪雨により状況は改善しているものの、専門家によると、気温の上昇により特に南部で火災が再発する恐れがあるという。

 教皇フランシスコは、この困難の時、オーストラリア国民へ寄り添い、祈ることを重ねて約束している。


◎バチカンから中国にマスクを支援

 【CJC】コロナウィルス対策の支援のため、バチカン(ローマ教皇庁)から数十万枚のマスクが中国に送られた。バチカン広報局が2月3日、コロナウィルス感染予防の支援のため、バチカンから中国に数十万枚のマスクが送られたことを明らかにした。

 広報局の発表によると、マスクは湖北・浙江・福建の3省に向けて送られたという。

 マスクの寄贈は、教皇慈善活動室、イタリアの中国教会宣教センターの共同の働きかけで、バチカン薬局の協力を得て行われた。


◎ホロコースト下の教会の救命活動テーマに、国連でシンポジウム

 【CJC】ナチス占領下のポーランドにあった、ヒトラーによる「死の収容所」として知られる、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の解放から75年を迎えた1月27日、「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」が世界各地で催された。

 ニューヨークの国連本部では、同日いくつかのイベントが開催され、その一環として、「ホロコーストを記憶する:資料に見るカトリック教会の救命活動の努力」と題された国際シンポジウムが行われた。

 このシンポジウムは、カトリック教会とエウジェニオ・パチェッリ枢機卿(後の教皇ピオ12世)が、ナチスによる迫害のさなか、多くのユダヤ人を中心に、迫害された人々の命を救った事実を、資料化された近年の歴史研究の成果を通して国際社会に紹介することを目的として催された。

 同シンポジウムには、ゲイリー・クルップ(米)、エドゥアール・ハッソン(仏)、マイケル・ヘセマン(独)、ロナルド・ライクラク(米)、マーク・リーブリング(米)、リモア・ヤギル(仏)、マッテオ・ルイージ・ナポリターノ(伊)
、ヨハン・イクス(教皇庁国務省外務局資料課責任者)ら、国際的に著名な専門家が参加した。

 イスク責任者は、教皇ピオ12世の救命努力をめぐるドミニク・オーバーシュテインスによる研究を紹介しつつ、発表を行った。この研究は、一次情報源、資料と生存者の証言に基づき、ローマのユダヤ人に起きたこと、彼らの多くがローマの修道院に身を隠していたことを明らかにしている。


◎『イスラム国』関連テロ組織がインドネシアでなお活動中か

 【CJC】米週刊誌『ニューズウイーク』日本語電子版が伝えるところでは、インドネシア警察は2月7日、スマトラ島リアウ州で中東のテロ組織『イスラム国』(IS)と関連があるとされるインドネシアのテロ組織『ジェマ・アンシャルット・ダウラ』(JAD)のメンバーと見られるワヒュー容疑者(29)を逮捕時に抵抗したことから射殺したことを明らかにした。

 JADは、数々のテロ事件への関与で反テロ法違反に問われて2018年6月に死刑判決を受けたアマン・アブドゥルラフマン容疑者が14年に設立したイスラム教過激派組織。その後ISとの関係が明らかになり、米政府が17年に国際テロ組織として指定、インドネシア国内で一時は約4000人のメンバーを擁していた。

 フィリピン南部を活動地域とするフィリピンのテロ組織『アブ・サヤフ』と連携して、JADメンバーがフィリピンで戦闘訓練を実施したり、武器の供与を受けたりしていたことも明らかになっている。

 インドネシアでは2018年5月のジャワ島スラバヤ市でのキリスト教会を狙った自爆テロ事件以降、大規模な被害を伴うテロ事件は起きていない。

 今回のJADメンバーとされる容疑者の射殺事件は、2020年も依然としてJADを中心とするテロ組織の活動が続いており、テロの脅威が完全に払しょくされてはいないことを改めて印象付け、まだ警戒が必要であることをインドネシア国民に認識させる結果となった。


◎ウイルス懸念の中、統一教会の合同結婚式6000組

 【CJC】新型コロナウイルスの流行が懸念されている韓国で2月7日、「統一教会」(世界基督教統一神霊協会、現:世界平和統一家庭連合)の合同結婚式がソウル東北方の加平で行われ、カップルおよそ6000組が結ばれた。フランスのAFP通信が伝えている。中にはマスク着用で式に参加する新郎新婦の姿も見られたという。

 統一教会側はこの日、参列者およそ3万人にマスクを配布したが、実際に着用したのは一部の人だけだった。

 21歳の大学生だという新婦は、「感染のことを全く心配していなかったと言ったらうそになる」「でも今日はウイルスから守られているような気がする」と語った。


◎同性愛者公表し、連邦裁判事に初就任したデボラ・バッツさん死去

 【CJC】同性愛者と公表していながら初めて米連邦裁判所判事に就任したデボラ・バッツさんが2月3日、人工膝置換手術の合併症のためニューヨーク・マンハッタンの自宅で亡くなった。72歳だった。ニューヨーク・タイムズ紙の報道を現地邦字紙ニューヨーク・デイリー・サンが7日紹介している。

 1947年、ペンシルべニア州フィラデルフィア生まれ。名門ラドクリフ大学を卒業後、ベトナム戦争やキング牧師暗殺などに影響を受け、社会正義を求めてハーバード大学で法律を学んだ。79年から連邦裁判所検事。90年代に判事志願書を提出したが、同性愛者であることを公言していたことから、ジョージ・ブッシュ元大統領(父)が逡巡。続いたビル・クリントン元大統領が94年、ニューヨーク州南部地区の連邦裁判所判事に指名した。以後25年間、判事として活躍した。2007年には、冤罪事件セントラルパークファイブの元受刑囚からの損害賠償請求に対し、市が出した棄却の求めを退けている。

 84年、黒人初のフォーダム大学法学部教授となり、判事になった後も教鞭を執り約30年間後進の指導にあたった。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月9日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★米国の「中東和平案」を=一方的な発意と批判=聖地の教会指導者
★新型コロナウイルス=香港などの教会も対応
★アウシュビッツ解放75周年=教皇フランシスコ=「ホロコーストの記憶保つことは義務」
★日系1世に無料診療=ブラジルの森口エミリオ秀幸医師=山道を年間3千キロ巡回=「世界病者の日」
★第52回サポート会議 第39回全ベース会議=来春以降の体制を確認=活動と連携について意見交換

 

 =KiriShin(2月1日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(2月9日)=https://クリスチャン新聞.com
★痛みの中から立ち上がる希望=阪神淡路大震災から25年の教会
★悲しみの涙はいつか喜びの涙に=森祐理さんと共に阪神淡路大震災追悼のつどい
★中国新型肺炎 猛威=上海JCFは少人数で家庭礼拝
★「伝道の明日」を考えるテーマに伝道師、牧師3人発題=存在のあり様が「言葉の力」の源泉=基督教共助会創立100周年記念シンポII
★イラスト描画を追って聖書の構造を理解=「Bible Project」映像

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