世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1522信(2020.03.23)

  • 新WCCは「命を守ることを最優先に」と加盟教会に牧会書簡
  • インドネシアで司教叙階式に1000人以上集合で非難
  • 韓国、新型コロナ対応でプロテスタント教会に協力要請
  • 韓国の新型コロナ死者100人に
  • 北朝鮮住民の手紙「平壌・新義州で伝染病が深刻...」
  • 韓国の教会でまた集団感染、原因は誤った消毒方法?
  • バチカンがサンピエトロ大聖堂閉鎖
  • 教皇、無人のサンピエトロ広場に祝福、ローマ市の2教会で夕方祈る
  • 新型コロナの終息祈ってキリスト像に感染国の旗投影=ブラジル
  • 教皇、2022年に通常シノドス召集、「シノドス性」テーマに
  • ボーイスカウトの少年らを性的虐待、仏元司祭に禁錮5年
  • 米聖書博物館所蔵の「死海文書」はすべて偽物と判明
  • 平賀仙台司教の辞任要請を教皇が受理
  • クロアチアのザグレブでM5・3、大聖堂尖塔の一部が損壊も
  • 《メディア展望》


 

◎WCCは「命を守ることを最優先に」と加盟教会に牧会書簡

 【CJC】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、アグネス・アブオム議長と連名で加盟教会とエキュメニカル・パートナー(協力組織)へ牧会書簡を送り、「命を守るために出来ることは何でもする」ことを最優先するよう促した。そして「今は、神がこれほどまでに愛されている命を守るために何をすべきか、何をしてはならないか、について語り、共有し、行うことで、お互いの心に触れる時です」と指摘した。
 「新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(大流行)という試練の時代に、お互いのために、愛する人たちのため、そして神の創られた人類のために、祈りと共に、挨拶を送ります。生命の神よ、正義と平和に私たちを導いてください!」と書簡は呼び掛けている。
 「正義と平和のために祈り、働くことには健康も含まれます。これは非常に具体的なことです」として
「私たちはウイルスの感染経路を断ち切ることが出来るし、しなければならない」と書簡。
 「そのことは今、保健当局による措置、制限、助言を厳密に順守することを意味します。それはWHO(世界保健機関)を通じて提供された利用可能で信頼できる科学的知識に基づいています。多くの国が今やこの世界的な感染に対処し、ウイルスの感染を減らすため、厳しい制限と措置を経験しています」という。
 「他の国々は、今後数日から数週間のうちに同様の問題に直面する可能性が高い」と、書簡は続ける。「私たちの多くはウイルスに感染するでしょう。最も弱い人にとって、これは生命を脅かされる可能性があります」。
 「"信仰共同体"は、このような時代にあって、連帯、説明責任、知恵、ケアなどを勧めるために多くのことができます。私たちは、"自己隔離"することで、生計手段を失い、さらには飢餓という危険にさらされ兼ねない人々と、そして不安定な日常生活が"社会的距離"を置く選択をほとんど取れない人々と連帯しなければならないのです」。
 このために、パンデミックを止めることが不可欠であり、それは人々と国家がお互いに配慮し、行動で団結しない限り実行できません。「私たちは礼拝とキリスト者の交わりにおける一致を大切にします。しかし、この危機の時代に、そしてお互いと隣人への愛から、私たちは、多数で集まってはならず、お互いに触れたり抱擁したりするべきではありません」。
 トゥベイト総幹事と、アブオム議長は、今回の危機に立ち向かう現地の教会の人々の努力と献身を確認した。「今は、危険にさらされている人々への典礼施行に当たって、慣例からデジタル化へ、連絡には電話やその他の"遠隔手段"を採用するという組織化と創造が必要な時です」という。
 2人は、次のように結論付ける。「これは、愛というエキュメニカル運動への呼びかけです。生命の神から私たちに希望が与えられており、それは強力であり、愛と奉仕に私たちを結び続けています」。そして、「私たちはこのことで共にいる」と付け加えた。

 

◎インドネシアで司教叙階式に1000人以上集合で非難

 【CJC】インドネシアのカトリック教会は、増大する新型コロナウイルスの危機の中で、東部フローレンス島、東ヌサ・トゥンガラ州ルテンのシプリアヌス・ホルマート司教の叙階を行ったことで、式典延期要請を無視し、数百人の命を危険にさらした、と非難されている。アジア中心のカトリック通信『UCAN』が報じた。
 3月19日、ルテンにあるマリア大聖堂被昇天教会での叙階式には、インドネシア全土の司教32人、司祭数百人、約1000人のカトリック者が出席した。
 政府の延期要請は、司式者のインドネシア司教会議議長イグナティウス・スハリョ・ハルジョアトモジョ枢機卿に出された。
 ルテンの教区管理者シルベステル・サン司教は、事前に綿密に計画されていたイベントをキャンセルすることは不可能だったと言う。
 「私たちは、政府からは要請は受けたが、書簡は受け取っていない。式典を止めることはできなかったが、政府の求める新型コロナウイルスに関する手続きには従おうとした。
 式典の前に、参加者の検温、手指消毒剤の提供、病人の立ち入り禁止などの手続きを実施した。
 イスラム教徒が9割近くを占めるインドネシアだが、東ヌサ・トゥンガラ州は人口510万の内、キリスト教徒が9割強を占めている。
 ジャカルタ大司教区などの司教区は、3月20日から4月3日までの15日間、ミサやその他の典礼活動をキャンセルした。
 

◎韓国の新型コロナ死者100人に

 【CJC】韓国で3月20日、新型コロナウイルスの死者が100人に達した。聯合ニュースが報じた、と時事通信が伝えている。
 韓国での感染者は8600人を超え、依然100人前後の新規感染が毎日報告されている。ただ、隔離の解除も進んでおり、これまでに約2200人が陽性から陰性に転じ、隔離生活から解放された。
 文在寅大統領は20日、週末に合わせて国民向けに声明を発表し、「礼拝を開く教会などがまだ少なからずあり心配だ」と表明。各自治体が呼び掛けている集会禁止の措置を支持する姿勢を示した。
 韓国では宗教団体の信者が礼拝を通じて集団感染する事例が相次いでおり、当局が警戒を強めている。


◎北朝鮮住民の手紙「平壌・新義州で伝染病が深刻...」
 【CJC】国境封鎖や貿易中断といった高強度の防疫対策にもかかわらず、北朝鮮の主要都市で『武漢コロナ』(新型コロナウイルス)が大流行しているとの情報が3月18日に出て来た。
 ソウルの新聞『朝鮮日報』(日本語電子版)が報じたもので、北朝鮮向け宣教団体『韓国殉教者の声』によると、北朝鮮・新義州の地下教会信徒がこの団体に送ってきた手紙は「平壌・新義州地域に伝染病が広がり、状態が非常に深刻だ」、「飢え死にするか、伝染病にかかって死ぬか、どちらも同じの絶望状態」と伝えている。北朝鮮当局は「武漢コロナの感染者は1人もいない」と主張しているが、北朝鮮専門家らは「北朝鮮内でコロナ感染拡大の勢いはただごとではない」と分析する。
 このような中で金正恩<キム・ジョンウン>国務委員長は3月17日、平壌総合病院の着工式に出席した。北朝鮮の複数の国営メディアが伝えている。2月下旬以来、東海岸一帯に滞在し、軍事関連の行動を続けてきたが、およそ3週間ぶりに平壌に戻った。金正恩氏は着工式で「党創建75周年を迎えて完成すべき重要な対象」と述べた。朝鮮労働党創立記念日は10月10日。


◎韓国の教会でまた集団感染、原因は誤った消毒方法?
 【CJC】韓国・聯合ニュースによる、として中国系サイト『レコード・チャイナ』が、ソウル近郊・京畿<キョンギ>道城南<ソンナム>市のプロテスタント系『恵みの川教会』で、信者40人の新型コロナウイルスの集団感染が確認された。記事は「主な原因は消毒のため」とし、「口に塩水を噴射していた」と伝えている。
 今3月1日と8日に同教会で行われた礼拝で、訪れた信者の口にスプレーで塩水を、教会側がかけていた映像が確認された。ソウル市広津<クァンジン>区在住の感染者の口に塩水をかけたスプレーを、そのまま消毒せずに用いて別の信者たちの口にも塩水をかけており、これによって感染が拡大していったという。
 『恵みの川教会』は毎週末に礼拝を行っており、約130人の信者がいる。1日と8日の礼拝には、100人余りが参加していたという。今回、40人の感染が確認されたことで、同教会に関連する感染者は計46人に増えたという。
 韓国首都圏では、ソウル市九老<クロ>区新道林<シンドリム>のコールセンター関連で124人(15日午前0時現在)の感染が確認されており、2番目に規模の大きい集団感染となっている。


◎教皇、無人のサンピエトロ広場に祝福、ローマ市の2教会で夕方祈る
 【CJC】教皇フランシスコが「お告げの祈り」を行う日曜日の3月15日正午、数万人の信者らで埋め尽くされるはずのバチカン市のサンピエトロ広場は無人だった。
 新型コロナウイルス対策でイタリアが封鎖状態にあり、広場への一般の立ち入りは禁止され、教皇は広場に面した図書館の建物の中から窓越しに祝福を行った。
 「この世界的な大流行(パンデミック)の状況にあって、わたしたちは多かれ少なかれ孤立して暮らすようになった。そうした中で、教会員全員を結び付ける交わりの尊さを再認識している」。教皇は祈りに続いてそう語った。この様子はバチカン・ニュースを通じて生中継された。
 教皇は、高齢者や貧しい人、ホームレスなどを支援している医療関係者やボランティアをたたえたと、バチカン・ニュースは伝えている。
 教皇は同日夕、バチカン市から車でローマ市に入り二つの教会を訪れ、祈りをささげた。
 イタリアでは、感染拡大を防ぐために仕事や健康上の必要性がある場合を除き、全土で外出が禁止されているが、ローマ市のカトリック教会の一部は閉鎖せず、信者に開放している。
 教皇はこの日、同市のサンタマリアマジョーレ大聖堂を訪問。その後「巡礼に出るかのように徒歩で」サンマルチェロ・アル・コルソ教会まで歩いたという。
 教皇がこの教会を選んだ理由について、大疫病が終息した「1522年に市内各地を巡行した奇跡の十字架」があるためだ、と教皇庁側は説明した。


◎新型コロナの終息祈ってキリスト像に感染国の旗投影=ブラジル
 【CJC】ブラジル・リオデジャネイロで3月18日夜、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの終息を願い、同市のシンボル『コルコバードのキリスト像』に感染が確認された166カ国・地域の旗が投影された。
 地元報道によると、点灯に先立ち、カトリック教会のリオデジャネイロ大司教は「1日も早く『もう大変な時は過ぎた』と言えるよう、皆で協力しましょう」と呼び掛け。「再びいつものハグができますように」と祈りをささげた。
 リオを一望できる丘に立つキリスト像には国旗のほか、各国語で「一緒に祈りましょう」との字幕が映し出された。


◎教皇、2022年に通常シノドス召集、「シノドス性」テーマに
 【CJC】教皇フランシスコは、「シノドス性」をテーマに、世界代表司教会議・第16回通常総会を2022年10月に召集した。
 バチカン(ローマ教皇庁)シノドス事務局は3月7日、教皇フランシスコが2022年10月に、世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会を召集したことを明らかにした。詳細は、後日発表される。
 このシノドスのテーマは「シノドス性ある教会のために=交わり、参加、ミッション(仮訳)」。


◎ボーイスカウトの少年らを性的虐待、仏元司祭に禁錮5年
 【CJC】AFP通信によると、フランスで、カトリック教会の元司祭プレナ被告(75)が1971~91年にボーイスカウトの少年たちに性的虐待を繰り返した事件で、プレナ被告が3月16日、禁錮5年の判決を受けた。
 事件をめぐっては、プレナ被告が、自身よりも高位の聖職者らによって訴追から守られていたと主張し、フランスのカトリック教会を混乱に陥れていた。
 犯行当時、プレナ被告は南東部リヨンでボーイスカウトのリーダーをしており、被害者らは7~14歳だった。
 検察側は、被害者らの人生を「台無し」にし、保護者と教会上層部の沈黙に付け入ったとして、禁錮8年を求刑していた。


◎米聖書博物館所蔵の「死海文書」はすべて偽物と判明
 【CJC】紀元前3世紀ごろに作られたヘブライ語の聖書の写本『死海文書』<しかいもんじょ>のうち、米国の首都ワシントンにある『聖書博物館』で展示されていた16断片すべてが偽物と判明した。
 『死海文書』の大部分がイスラエル政府の管理下にあるが、その断片が市場に流通、収集家などの興味の対象となっている。21世紀に入って断片が古書・古美術品市場に流通するようになり、その真正性に疑義が出され、『聖書博物館』に収蔵されていた断片も、偽造の可能性が指摘されていた。
 調査を行ったのは美術品の真偽確認調査を行う『AFI』の創設者でもあるコレット・ロール氏たち。数々の科学的実験を経て作成された最終レポートにより、博物館収蔵の16点の『死海文書』断片すべてが偽物であることが報告された。
 レポートによれば、断片はいずれも現代になってから作られたものだったとのこと。オリジナルの『死海文書』のような羊皮紙の光沢や、洞窟で見つかったことを想定しての鉱物で汚したりするなど、明らかに欺く意図が感じられるものだった。
 『聖書博物館』のジェフリー・クロハ館長は、「コレクションの真正性を検証するために用いられた手法は、他の疑わしい断片に光を当てるもので、さらに偽造を誰が行ったのか明らかにするために効果的」と、今回の調査が聖書考古学の分野に利益をもたらすものであったと主張している。


◎平賀仙台司教の辞任要請を教皇が受理
 【CJC】平賀徹夫・仙台司教の75歳の定年に達したことによる辞任要請を、教皇フランシスコが受理した、とバチカン(ローマ教皇庁)宣教省の『フィデス通信』が3月18日報じた。
 平賀司教は、1945年、岩手県花巻市の生まれ。74年、司祭叙階。以来、仙台教区の司牧に尽力し、80年から91年まで同教区事務局長。94年から96年には、カトリック新聞編集長を務めている。


◎クロアチアのザグレブでM5・3、大聖堂尖塔の一部が損壊も
 【CJC】旧ユーゴスラビア構成国のクロアチアで3月22日午前6時24分ごろ、首都ザグレブでM(マグニチュード)5・3の地震が起きた。この規模の地震に襲われるのは約140年ぶりとも言われる。震源はザグレブ北部で、深さは10キロ。余震も起き、新型コロナウイルス問題で規制が行われている中のことでもあり、住民はパニックになった。
 13世紀半ばに建設された大聖堂(カテドラル)の高さ108メートルの尖塔の一部が損壊した。
 建物の外壁も各所で崩落しており、負傷者が出ている。15歳の少女が病院に搬送され重体。停電や断水も起きている。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(3月22日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★苦しむ人を忘れないで=教皇の一般謁見講話
★3・11に 静かな祈り=東日本大震災 犠牲者追悼・復興祈願ミサ=仙台・元寺小路教会
★教皇フランシスコ=パンデミックに苦しむ世界をマリアに委ねる
★バチカン=4月初めまでサンピエトロ広場と聖ペトロ大聖堂閉鎖
★サレジオ修道会 コンプリ神父=集大成『人間としての哲学』出版
キリスト教関係者以外からも注目
 
 =KiriShin(3月21日)=https://www.kirishin.com
★緊急特集=礼拝をどうする?=揺れる教会の現場
★核燃サイクル事業は「憲法違反」=宗教者「倫理性に反する」と提訴
★『奪われる子どもたち』出版記念=執筆者登壇"「遊べる権利」の保障を"
★世界教会協議会=中央委を8月後半に延期
★パレスチナで新型コロナ感染確認=ベツレヘム封鎖
 
 =クリスチャン新聞(3月22日)=https://クリスチャン新聞.com
★EHC=2038年までのプロジェクト「オイコス計画」推進=全世界の全家庭に福音文書を
★9年経っても忘れない=3・11「超教派一致祈祷会」感染に配慮も
★新型コロナ収束願い、19時に祈りの声を=日本AG呼びかけ
★新型コロナ感染拡大=韓国、シンガポール、フランスの教会は=「今は悔い改めの時だと...」
★全校臨時休校要請受けキリスト教学校は?=あまりに急、協議する間もなく


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