世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1527信(2020.04.27)

  • ロシア正教会、感染拡大で復活祭に司祭らだけで礼拝
  • バチカンが新型コロナ対応へ新委員会設立、「パンデミック」後の影響分析や対策提案
  • 教皇が訪中準備、最初の訪問地は武漢?
  • 教皇の武漢訪問は「フェイクニュース」と中国『環球時報』
  • 台湾がバチカンにマスクの追加支援、教皇は台湾に気遣い
  • 『チビルタ・カットリカ』誌が簡体字中国語版を創刊
  • ≪メディア展望≫

 

◎ロシア正教会、感染拡大で復活祭に司祭らだけで礼拝
 【CJC】キリスト教東方正教会が有力な東欧各国は4月19日、復活祭を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大を受け、ロシアでは首都モスクワの巨大な救世主キリスト大寺院で、ロシア正教会最高位のキリル総主教が18日深夜から、信者の参列なしで司祭らだけによる礼拝を行った。
 ロシア正教会は、教会での感染を避けるため事前に信者に対し、自宅にとどまり、テレビで復活祭礼拝の中継を見るよう呼び掛けていた。
 例年ならウラジミル・プーチン大統領ら政府要人も信者と共に同大寺院の礼拝に出席するが、この日は姿を見せなかった、と共同通信は伝えている。


◎バチカンが新型コロナ対応へ新委員会設立、「パンデミック」後の影響分析や対策提案
 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)人間開発省(長官=ピーター・タークソン枢機卿)は4月15日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な大流行(パンデミック)に対応するため、新たに「COVID-19委員会」を設立した。
 人間開発省は、教皇フランシスコが3年前に創設した部署。教皇が3月20日付で、同省に、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に対し、教会の配慮と愛をすべての人々に伝えるために、他の教皇庁機関と協力し委員会を創設するよう呼び掛けていたことに応じた。
 公営バチカン・ニュースによると、同省は「パンデミック」危機に対し、これまでも現状に即した迅速な支援を積極的に行ってきた。これらの支援に並行し、今回創設した『COVID-19委員会』は、特に、感染者が大量発生した、いわゆる「パンデミック」後に焦点を定め、新型コロナウイルスが将来の社会経済と文化に与える影響の分析と考察、その対応策となるガイドラインの提案などを行う。
 タークソン長官は、同委員会の設立をめぐり、「一つの危機には、別の危機が、さらにはまた別の危機が付随してくる恐れがあり、こうしたプロセスの中で、わたしたちは遅れながら、苦しみのうちに、教皇フランシスコが回勅『ラウダート・シ』で先見をもって教えられた、わたしたちの『共通の家』をいたわることの大切さを学ばざるを得ない」と述べた。
 同委員会の作業は5グループに分けて行われる。
 グループ1は、人間開発省によって調整され、地方教会の声を聴き、これらの教会が現場の主役となるような配慮のもと、『国際カリタス』との協力のもとに、それを支援する。このグループは、教皇慈善活動室、福音宣教省、バチカン薬局など、教皇庁の他の組織が促進する取り組みとの積極的な協力を課題とする。
 グループ2は、人間開発省による調整で、このパンデミックについての研究を行い、特に環境・経済・労働・医療・政治・コミュニケーション・治安の分野において、「COVID-19」後の社会と世界の考察を行う。このグループの活動には、教皇庁科学アカデミー、生命アカデミーをはじめ、これまですでに同省と協力関係にあった諸組織が参加する。
 グループ3は、広報省が調整役となり、各グループの活動について報告し、地方教会とのコミュニケーションを促進する。「COVID-19」後の世界において、これらの教会に信頼の置ける方法で答える手助けをする。
 グループ4は、国務省外務局の調整によるもので、教皇庁をその活動と各国・諸国際機関との関係において支え、これらの国々や機関に、研究・対話・考察の成果を伝える。
 グループ5は、人間開発省による調整で、地方教会やカトリック系組織に対する「COVID-19委員会」の援助、同委員会の研究・分析・広報活動のための財務上の責任を担う。


◎教皇が訪中準備、最初の訪問地は武漢?
 【CJC】イタリア紙『ラ・べリタ』がこのほど、バチカン(ローマ教皇庁)は、新型コロナウイルスの発生源では、と見られている中国湖北省の武漢を教皇フランシスコが訪問する計画をひそかに進めていることを明らかにした。台湾の英字紙『タイワン・ニュース』が報じた。
 『ラ・べリタ』紙は、「習近平を力づけるためのバチカンのプロジェクト=武漢への教皇旅行」と題した記事の中で、教皇フランシスコが世界に希望のメッセージを送るために、中国の複数の都市を訪問することを検討していると指摘した。それによると、教皇は最初に武漢に立ち寄ることを計画、その後、北京などを訪問する予定という。
 同紙は、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿が、政治的動機で動いている可能性が高いこの訪問計画を担当している、と強調している。記者は、バチカンが中国政府の信頼を得るために、世界各国が新型コロナウイルスの大流行を中国のせいにしている時期に、わざと訪問を計画したのではないかとも疑っている。
 パロリン枢機卿は親中派のイタリア政府を通じて交渉を進めようとしており、ウゴ・ザンペッティ補佐官がここ数週間、バチカンを何度も訪問しているのが目撃されているという。


◎教皇の武漢訪問は「フェイクニュース」と中国『環球時報』
 【CJC】イタリアの新聞に掲載された、教皇フランシスコが中国のコロナウイルス流行で最も打撃を受けた都市、武漢訪問を計画しているという報道は「全くのフェイク・ニュース」であると、関係者が中国共産党機関紙『人民日報』系の『環球時報』英語版『グローバル・タイムズ』紙に語った。
 イタリアの新聞『ラ・ベリタ』が最近、バチカン(ローマ教皇庁)が教皇フランシスコが武漢を始め北京などの都市を訪問する旅行をひそかに計画していると報じた。
 「フェイクニュース、完全にフェイクニュース」と、中国人民大学欧州問題研究センターの上級研究員でバチカン問題の専門家■(希におおざと、句点コード9269)士(フランシスコ・シシ)氏が『グローバル・タイムズ』紙に語った。
 シシ氏は、『ラ・ベリタ』紙の報道を、バチカンで話をした人は皆、「完全にフェイクニュース」と言っていたと付け加えた。
 教皇庁社会科学アカデミーの会長マルセロ・サンチェス・ソロンド司教は、何の情報も持っておらず、事実ではないと考えている、と語った。


◎台湾がバチカンにマスクの追加支援、教皇は台湾に気遣い
 【CJC】台北の通信社『中央社』が伝えるところでは、中華民国外交部(外務省)は4月22日、バチカン(ローマ教皇庁)にマスク20万枚を追加で寄贈した。同日台北で行われた贈呈式に出席したモンシニョール・アルナルド・カタラン駐中華民国臨時代理大使は謝意を表明するとともに、台湾の人々を心から気遣う教皇フランシスコの気持ちを伝達した。
 台湾は新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な国などにマスク1000万枚を提供しており、欧州向けとして準備された700万枚のうち28万枚が14日、バチカンに到着していた。同部は、台湾に長年にわたり貢献をしてきたカトリックの聖職者に対する感謝の念を込めて追加の寄贈を決定したとしている。
 贈呈式に臨んだ外交部の謝武樵政務次長は、物資を迅速にバチカンに届け、双方の堅い友情と、手を取り合って新型コロナウイルスに対抗する決意を伝えたい、と語った。


◎『チビルタ・カットリカ』誌が簡体字中国語版を創刊
 【CJC】カトリック男子修道会イエズス会発行の『チビルタ・カットリカ』誌は、今年創刊170周年を迎えたことを機に4月13日、簡体字中国語版『公教文明』を創刊した。
 1850年創刊の『チビルタ・カットリカ』は、カトリック定期刊行物の中でも最古の一つ。現在、イタリア語、英語、フランス語、スペイン語、韓国語で発行している。
 創刊170周年を記念して、中国語簡体字版を新しく創刊するのも、中国語が現代世界で果たす役割がますます重要になっていることを踏まえ、中国との友好のジェスチャーとしての意味合いがある、とプレスリリース(報道資料)で指摘している。
 バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿は、同誌編集長アンソニー・スパダロ神父に宛てた手紙の中で、「新しい章を書く――中国人の豊かな伝統との友好的な出会いの果実」を意図しているこの働きを称賛した。「橋を架け、すべての人々との対話を確立する」という同誌の「特別な使命」に応えたもの、と述べている。
 執筆者は、すべて各大陸、各国のイエズス会士で、記事は出版前にバチカン国家事務局によって審査され、承認を受けている。
 教皇フランシスコは同誌へのメッセージの中で、"多くの異なるフロンティアの声が聞かれるかもしれない"という希望を表明、同誌を"このジャンルでは唯一無二の存在"と評価している。
 同誌編集長のスパダロ神父は、教皇フランシスコの訪日を控え上智大学が2019年に開催した「教皇フランシスコ訪日記念特別シンポジウム」シリーズで、「教皇フランシスコによる慈しみの地政学」について講演している。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(4月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇復活祭メッセージ=希望と平和「心から心へ」
★福岡教区に新司教誕生=ヨゼフ・マリア・アベイヤ司教
★迫害逃れてきた人の受け皿に=アルペなんみんセンター 開所
★世界召命祈願の日=教皇メッセージ=召命を受け入れるには勇気が必要
★夫津木昇神父逝去=教皇ヨハネ・パウロ2世来日時の中央協議会広報担当者

 
 =KiriShin(4月21日)=https://www.kirishin.com
★新型コロナウイルス感染拡大=異例尽くしのイースター=各地で「無会衆」礼拝
★WCRP日本委=マスクを提供=オンラインで「祈りの集い」も
★日本YMCAがZoomで礼拝=「共同の祈り」に100人
★日本ルーテル神学校=「沈黙の詩」動画を公開
★カトリック福岡司教に大阪教区アベイヤ補佐司教

 
 =クリスチャン新聞(4月26日)=https://クリスチャン新聞.com
★【新型コロナ関連】筑波キングス・面会禁止がストレス=礼拝の時間絶やしたくない
★【新型コロナ関連】医療が混乱、体制整備を=いきいきクリニック
★【新型コロナ関連】「困難な時こそ伝道したい」集会制限しつつ炊き出し、食料配布支援拡大=横浜カナン・キリスト教会
★【新型コロナ関連】迅速な支援が政府への信頼に=「キーワーカー」への感謝=ボランティア登録70万人
★【新型コロナ関連】YMCA オンラインで全国共同の祈り=青少年の心のケア必要

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