小原克博 On-Line

世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1534信(2020.06.15)

  • 米国務省が信教の自由に関する年次報告書、「中国の宗教弾圧激化」を批判
  • 米制服組トップが大統領の教会訪問同行を「間違いだった」と語る
  • 人種差別理由に『風と共に去りぬ』配信を米動画サービスが停止
  • 米抗議活動のメッセージ、収集する国立博物館学芸員
  • ガーナ、国内制限緩和の第1段階開始
  • フランシス・コリンズ氏にテンプルトン賞
  • 旧教徒らが聖書を教会スラヴ語からロシア語に初めて翻訳
  • 対ドイツ戦勝75年の祖国防衛たたえロシア軍主聖堂除幕
  • コンピュータを聖書研究に使ったF・アンダースン氏死去
  • ≪メディア展望≫

 

◎米国務省が信教の自由に関する年次報告書、「中国の宗教弾圧激化」を批判

 【CJC】米国務省は6月10日、世界の信教の自由に関する2019年版報告書を発表した。マイク・ポンペオ国務長官は記者会見で、中国新疆ウイグル自治区で暮らすイスラム教徒の少数民族ウイグル族などへの対応を挙げて「中国では全ての宗教に対する政府主導の弾圧が激しくなっている」と強く批判した。
 報告書は17年以降、ウイグル族など100万人以上を拘束、収容施設に入れられ、拷問されたり強制労働をさせられたりしているとの見方を明記している。イスラム教に加え、キリスト教や仏教などの宗教施設も破壊されたと指摘した。
 ポンペオ氏は、米国での黒人暴行死を巡る抗議デモを、中国が政治目的に悪用しているとも非難。「米国には法治や言論の自由、平和的な抗議活動の受容があるが、中国にはない。違いは明確だ」と強調した。
 報告書は、北朝鮮に関しても国連の報告書を引用し、思想や信教の自由が「ほぼ完全に否定されている」と批判している。


◎米制服組トップが大統領の教会訪問同行を「間違いだった」と語る

 【CJC】米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長(陸軍大将)が、6月11日、国防大学の卒業式でのビデオメッセージで、1日にドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスの向かいにある教会を訪問し、写真撮影を行った際、自らも同行したことについて、「間違いだった」と語った。
 「私はそこに居るべきではなかった。あのときのあの環境での私の存在は、国内政治に軍が関与しているという認識を生み出してしまった」という。
 教会での写真撮影をめぐっては、トランプ氏が訪れる直前に、平和的な抗議活動を行っていたデモ隊が、催涙ガスなどを使って強制的に排除されたことに非難の声があがっていた。


◎人種差別理由に『風と共に去りぬ』配信を米動画サービスが停止

 【CJC】世界各国で人種差別と警察の暴力に抗議するデモが拡大する中、動画配信サービス『HBOマックス』が6月9日、映画『風と共に去りぬ』をストリーミング配信のコンテンツから削除した、とAFP通信が取り上げている。
 南北戦争を舞台にして1939年に公開された作品はアカデミー賞9部門を受賞した歴史的大作とされて来たが、奴隷が不満を言わず、また奴隷所有者が英雄のように描かれているという部分はこれまでも批判されてはいた。
 『HBOマックス』は、歴史的背景に関する議論や説明を追加して配信を再開する予定だが、「差別は存在しなかった」と主張することになりかねない、と編集は行わない意向。


◎米抗議活動のメッセージ、収集する国立博物館学芸員

 【CJC】米国立アフリカ系米国人歴史文化博物館の学芸員は6月10日、首都ワシントンのラファイエット広場で、ここ数日にデモ参加者がホワイトハウス近くに残したメッセージやイラストの一部を保存する作業の下準備を数時間かけて行った。
 学芸員のアーロン・ブライアントさんは「私たちは記憶、歴史、声を保存するために収集する」と、ウォールストリート・ジャーナル紙に述べている。自身も他の学芸員もデモ参加者に対し、「彼らの声を保存することに関心がある」ことを知らせたいのだという。


◎ガーナ、国内制限緩和の第1段階開始

 【CJC】ガーナのナナ・アクフォ=アド大統領は5月31日の国民演説で、人の移動を止めるための陸・海・空全ての国境封鎖措置は延長するものの、ロックダウン解除後初めてとなる部分的な制限緩和の第1段階を開始する、と発表した。日本貿易振興機構(ジェトロ)の「海外ビジネス短信」が報じた。
 第1段階では、教会およびモスクでの参拝の再開が認められ、収容定員の25%以内の参加人数で、最大100人の信者が1メートルの距離を保ちながら礼拝を行うことができる。その際、全ての人のマスク着用、参拝者の名前と連絡先の登録、手洗い場と消毒液の設置を義務付ける。個人葬も、最大100人以下であれば可という。
 教会、モスクなど、施設を開放したい宗教機関は、安全な再開と運営を保証するために、会場の消毒と燻蒸、必要な設備を設置する必要がある。宗教問題担当相が6月1日、教会とモスクの安全な再開のための具体的なガイドラインを示した。


◎フランシス・コリンズ氏にテンプルトン賞

 【CJC】キリスト教会のノーベル賞と呼ばれることもあるテンプルトン賞の2020年度受賞者に5月20日指名されたフランシス・コリンズ氏は、授賞の驚きと、科学と信仰がどのように対話できるかについて、バチカン・ニュースに語った。
 テンプルトン賞授賞の理由に、コリンズ氏が「宗教信仰が、厳密な科学研究の動機付けとなり、インスピレーションを与えられる」ことを実証し、「信仰と理性の統合を提唱」したことが挙げられている。
 コリンズ氏は、1993年以来、「世紀の変わり目」に国際ヒトゲノム計画を指揮したことでよく知られている。2009年からは、米国国立衛生研究所(NIH)所長。一般には、06年出版の『The
Language of God』(フリープレス)、邦訳『ゲノムと聖書=科学者、<神>について考える』(中村昇、中村佐知訳、NTT出版、08年)などで知られるようになった。同書は、無神論から、キリスト教信仰に至るまでのコリンズ氏自身の遍歴の軌跡を描いたもの。
 09年10月、教皇ベネディクト16世は、同氏を教皇庁科学アカデミー会員に任命した。
 バチカン・ニュースのインタビューで、コリンズ氏は、テンプルトン賞受賞者に選ばれたことに「自分がテンプルトン賞に選ばれる可能性があるとは考えたこともなかった」と語った。それなのにマザー・テレサ、ビリー・グラハム、デズモンド・ツツ大司教などの受賞者の仲間入りすることは、「信じられないほどの名誉」だと言う。


◎旧教徒らが聖書を教会スラヴ語からロシア語に初めて翻訳

 【CJC】『スプートニク通信』によると、ロシア正教『世界古儀式派同盟』は正教で用いられる新約聖書を教会スラヴ語からロシア語に初めて翻訳した。世界古儀式派同盟のレオニード・セバスチヤノフ会長がリアノーボスチ通信の取材に応じた中で明らかにした。
 ロシアでは17世紀後半に大々的な宗教改革が行われ、改革に反対する正教徒たちは迫害を避けるためにモスクワを離れ、シベリアやアメリカ大陸で昔ながらの信仰を守っている。
 こうした旧教徒らによって結成された世界古儀式派同盟が聖書を初めて教会スラヴ語からロシア語に翻訳したことが分かった。
 これまで聖書のロシア語訳は主にギリシャ語やヘブライ語から翻訳されていた。しかし、ロシアで最初に登場した聖書はギリシャ語ではなく、ラテン語から教会スラヴ語に翻訳されたものだった。旧教徒らは現在もラテン語から翻訳された教会スラヴ語のテキストを奉神礼の際に使用している。そのため、ロシア語の聖書と、教会スラヴ語の聖書との間には差異が生じているという。
 セバスチヤノフ会長は取材の中で、教会の「ロシア化」を支持するものではないが、聖書を教会スラヴ語からロシア語に翻訳することで、礼拝者らの間でも奉神礼の内容理解が進むと期待している。
 同盟では教会スラヴ語の教科書をロシア語で出版する計画も進んでいるという。


◎対ドイツ戦勝75年の祖国防衛たたえロシア軍主聖堂除幕

 【CJC】ロシア古来の祖国防衛者をたたえる正教会の『ロシア軍主聖堂』の除幕式が6月14日、モスクワ郊外で行われ、同正教会最高位のキリル総主教やショイグ国防相らが参加した。当初、対ドイツ戦勝75年記念の祝日の5月9日に予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。
 主聖堂はロシアの聖堂として3番目の高さ95メートルの威容を誇る。鐘楼の高さは戦勝75年にちなみ75メートル、円屋根の直径は終戦を迎えた1945年から19・45メートルとするなど、第2次大戦の勝利と関連付けた。聖堂内には陸軍や海軍、航空宇宙軍などの守護聖人のイコン(聖像画)も描かれた。
 ロシア主要メディアによると、主聖堂ではプーチン大統領やショイグ氏らが描かれたモザイク画の掲示準備も進んでいたが、プーチン氏の「時期尚早」との意向で中止になったという。モスクワ発共同通信が報じた。


◎コンピュータを聖書研究に使ったF・アンダースン氏死去

 【CJC】ヘブライ語聖書の構文分析に35年以上を費やし、聖書の文章、句、節の断片を収録して強力なコンピュータ辞書を作成したオーストラリアの聖書学者、フランシス・I・アンダースン氏が5月13日、メルボルンで死去した。94歳。現地紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』が報じた。
 アンダースン氏は1925年7月28日、オーストラリアのクイーンズランド州ワーウィック生まれ。
 71年、聖書ヘブライ語のテキストの構文解析にコンピュータを利用するシステムの開発に成功した。
 オーストラリア聖公会の指導者で、アンダースンの霊的指導者の1人であったスチュアート・バートン・バベッジ司祭は、アンダースンが「科学の機械を教会と主の御言葉の宣べ伝えるための奉仕に持ち込んだ」と述べている。
 アンダースンは『ティンデル聖書注解』、『アンカー聖書』のハバクク書解説の著者であり、ホセア書、アモス書、ミカ書解説の共著者でもある。
 論文、著書は多数ある。邦訳では『ティンデル聖書注解 ヨブ記』(清水武夫訳、いのちのことば社、2014年)。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月14日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇=人種差別を強く批判=米国の社会不安に憂慮示す
★中国共産党政権=典礼再開に「愛国教育」=動揺するカトリック信者
★若者らオンラインで「テゼの祈り」に集う=歌や黙想のための工夫も
★「祈り」は言い争いにも=教皇の一般謁見講話
★コロナ禍、どう生きるのか=晴佐久昌英、片柳弘史両神父が初の対談=上智大学同窓会オンライン企画
 
 =KiriShin(6月11日)=http://www.kirishin.com
★新型コロナウイルス=「緊急事態宣言」解除=日本キリスト者医科連盟=「感染症対策ガイド」発表=礼拝再開の指針にも
★横浜中華街に「日本キリスト教団」名乗るヘイト文書=日本基督教団が抗議
★殺傷事件から1年でカリタス学園がメッセージ
★黒人暴行死めぐる米抗議デモ=「聖書」片手のトランプ大統領に批判
★新型コロナの影響を受けWCC常置委員会がウェブ会議
 
 =クリスチャン新聞(6月14日)=http://クリスチャン新聞.com
★米国黒人暴行死=抗議デモ拡大、キリスト者は?=霊的支えと社会正義伝える
★緊急事態宣言解除で礼拝再開="今後のことは分からない"
★トランプ氏「聖書ポーズ」に抗議=「教会を政治目的に利用」=米国聖公会主教ら
★「聖書は象徴以上のもの」米聖書協会
★米福音同盟が声明「福音は人種超える」

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