世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1551信(2020.10.12)

  • 中国でプロテスタント教会への迫害が激化
  • 新回勅は「兄弟愛は真の連帯を築くもの」とパロリン枢機卿紹介
  • スペインは新型コロナ伝染率の高い都市教会に新制限適用
  • 超正統派ユダヤ教組織とカトリック教会、クオモ知事を地裁に提訴
  • 米長老教会がオンラインコミュニケーションのワークショップ
  • ≪メディア展望≫

 

◎中国でプロテスタント教会への迫害が激化
 【CJC】中国全土の「家庭教会」始め「三自教会」も家宅捜索を受け、閉鎖されている。信者は尋問され、自宅も捜索されている。イタリアのトリノを拠点とする『新興宗教研究センター』が、中国の信教の自由と人権について報道するオンライン雑誌『ビターウインター』(寒冬)が10月5日報じた。
 浙江省東部の地級・嘉興市が管理する県級・新城市で8月28日、政府関係者と警察官100人以上が「家庭教会」の会場を取り壊した。
 信徒によると、この会場は設立20年の「家庭教会」に属するもので、昨年建設され、定期的に40人以上の信者が参加していた。この間、信徒は「三自教会」入会を拒否したことを理由に、当局から嫌がらせを頻繁に受けていた。
 地元の宗教担当者は何度も会場を訪れ、指導者に圧力をかけてきた。会場の入り口に向けられた3台の監視カメラが信者を監視するため設置された。当局の監視を逃れるために、信者たちは豚小屋のような不便な場所に秘密裏に集まり始めた。教会の伝道師は何度も警察に呼び出され、尋問を受けている。
 目撃者の話では、取り壊しの日には警察官が会場を封鎖し、誰も近づけないようにしたという。
 7月初旬、陝西省北西部の集会場に地元警察が入り、信者の所持品や全室を捜索した後、聖書を全て没収した。警察は94歳の信徒の自宅も捜索したが、高齢を理由に連行はしなかった。
 同月19日以降、警察と地元当局は浙江省ガンゾウ市が管理する開化県の「家庭教会」会場に集まっていた信徒ほとんど全員の家宅を捜索した。説教者は何度も"談話"のため召喚された。ある教会員によると、当局は特に会計を担当している信徒に疑問を抱き、財務状況に関心を持っていたという。
 最近では、政府管理下にある「三自教会」でも迫害を免れない。
 都市部の「三自教会」に比べて、農村部の教会は政府の監視と管理が比較的厳しくなかったが、ここに来て、地方自治体が様々な理由で教会閉鎖に動くなど、徐々に厳しくなってきている。
 7月以来、江西省の地級・新余市の農村部にある五つの「三自教会」の会場が閉鎖されたが、その理由は「出席者が少なく、礼拝に来る信者が30人に満たないから」だった。しかし、足の不自由な高齢の信者にとって教会は重要な場所だ。
 9月13日朝、山東省東部の済寧市梁山県の「三自教会」で信者が礼拝に出席していたところ、警察官と政府関係者8人が会場に乱入、その場にいた人々は「新宗教条例では違法とされる集会に参加した」との宣言を聞いた。警察官は聖書4冊を没収し、集まっていた人たちに
「信仰が必要なら共産党を信じろ」と言い渡した。その日の午後、警察官が戻ってきて、入り口の鍵を壊して会場に侵入、献金箱と椅子100脚を略奪した。それを知った牧師は逮捕を恐れて身を隠した。
 これらの動きを「キリスト教を徐々に排除するために、政府はあらゆる手段を使って宗教施設の閉鎖を図っており、信仰者の数が共産党員の数を上回ることを恐れている」からとも見られている。


◎新回勅は「兄弟愛は真の連帯を築くもの」とパロリン枢機卿紹介
 教皇フランシスコの新回勅「フラテッリ・トゥッティ」についての記者発表が10月4日、バチカンのシノドス・ホールで行われた。
 公設バチカン・ニュースの報道によると、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿は、教皇の新回勅が、国際レベルの真の社会正義のために、兄弟愛の道を進み、共に行動することの重要性を示している、と強調した。
 現在のパンデミックは、わたしたちの偽りの安定を光の下にさらすことになったが、教皇はこの体験から、現実の分析に留まることなく、問題と向き合い、回答を与えることのできる行動の必要を呼びかけている、とパロリン枢機卿は話した。
 世界で科学研究が日々成果を上げている一方で、共に行動する力は未だ欠けている、と同枢機卿は述べ、人々が複雑、密接につながり合う世界にも関わらず、実際にはそこにまとまりは存在せず、それがわたしたち皆に関わる問題の解決を難しくしている、と語った。
 対話こそが心の壁を破り、赦しに向かって開き、和解を促進する、と述べた枢機卿は、国際社会が教皇の回勅の内容を心に受け止めることを願うと共に、それぞれの人が日常生活の中で、自分にできることを行動に変えていくことが大切、と話した。
 パロリン枢機卿は、無法地帯が存在するかのような、あるいは、禁止されていないことは許可されたことであるかのような論理の中で、共通善と国々が優先する利益との間に矛盾が拡大する今日の国際情勢を注視し、こうした結果、見捨てられた無数の人々が、一部の人々の善意にすがるほかない状況に陥っている、と指摘した。
 そして、これとは反対に、兄弟愛は、全体の利益という考えに導き、真の連帯を築き、国際共同体のあり方、関係を変えるもの、と強調した。
 兄弟愛は、国際社会を単に必要な共存から、「人類」という共通概念に基づく共存へと変容させるよう、国々の治世者、外交官、平和と発展のために働くすべての人々を促している。


◎スペインは新型コロナ伝染率の高い都市教会に新制限適用
 【CJC】スペインは、「パンデミック」の第2波に最も苦しんでいるヨーロッパの国の一つ。スペイン政府は、過去14日間で10万人あたり500件を超えている全自治体に適用する新制限を発表した。新型コロナ伝染率の高い都市の集会参加者の収容制限をレジャー、レストラン、ギャンブル施設は定員の半数としたが、教会にはミサなどの人数は定員の3分の1に厳しくした。マドリッドと近隣の9都市に適用される。
 コロナウイルスによる死亡者数はついに世界中で100万人を超え、なお多くの国で増え続けている。
 現時点では、マドリッドと近隣の9都市が、「14日間で10万人あたり平均892例で、全国発生率の3倍以上」と、サルバドール・イラ保健相は警告した。
 福音派のメディア「エバンジェリカル・フォーカス」のよると、マドリッド福音評議会は、ウェブサイトで、新措置に関する疑問に応えている。
 「人々は体力と防御措置を守りながら教会の礼拝に出席出来るが、制限措置の影響を受けない地域に住む人々は、規制地域の教会に出席は出来ない」。
 「牧師だけでなく、苦難に見舞われている人々と共働するために教会に行くボランティアは、仕事の目的で出された許可証を提示すれば、規制地域に入れる」など具体的だ。


◎超正統派ユダヤ教組織とカトリック教会、クオモ知事を地裁に提訴
 【CJC】米超正統派ユダヤ教徒組織「アメリカ・アグダット・イスラエル」とカトリック教会ブルックリン教区は10月8日、新型コロナウイルス感染の大規模発生(クラスター)地域に対する礼拝所の人数制限などを定めた規制の差し止めを求め、アンドリュー・マーク・クオモ知事を連邦地方裁判所に提訴した。
 今回、規制対象とされたブルックリン区やクイーンズ区、ロックランド郡、オレンジ郡には超正統派ユダヤ教徒のコミュニティがある。最も厳しい規制が適用されるエリアでは、礼拝所定員を25%ないし最大10人に制限しなくてはならない。
 クオモ知事の発表後、ブルックリン区のボロー・パークでは3日連続で、超正統派ユダヤ教徒による抗議デモが行われた。
 カトリック教会ブルックリン教区は声明で、「州はわれわれの安全プロトコルが機能していることを完全に無視した」と説明。教区の代理人のランディ・マストロ氏は「教区が安全を確保するためにすべてを正しく実行したとしても、行政命令が成立し、教区民が日曜礼拝に出かけることができない。この宗教コミュニティは、理由がどうであれ、最も基本的な権利、つまり宗教活動の自由が拒否されている」と語った。


◎米長老教会がオンラインコミュニケーションのワークショップ
 【CJC】米長老教会(PCUSA)の宣教機構「プレスビテリアン・ミッション・エージェンシー」(PMA)は、コミュニケーションズ・ミニストリーに関して、2015年以来、同機構内であまり知られていなかった活動の蓄積に新たな息吹を吹き込もうと、たゆまぬ努力を続けてきた。同派系のプレスビテリアン・ニュース・サービス(PNS)がその経緯を伝えている。
 2004年に同派大会ミッション活動計画への応答として「長老派コミュニケーターズ・ネットワーク」が設立された。この計画では、長老派全体のコミュニケーション活動を強化し、教会内の対話を促進するシステムを作ることが求められていた。
 「コミュニケーターズ・ネットワーク」の主な使命は、同派内それぞれのシノッド(大会)、プレスビテリー(中会)、コングリゲーション(各個教会)でのコミュニケーション担当者を集めてワークショップを行い、電子ニュースレター、ソーシャルメディア、その他のコミュニケーション手段による交流を図ることだった。
 「2015年、調査の結果、コミュニケーションズ・ミニストリーに一貫して求められたのは『コミュニケーションによる助成』だった」と、教会と中間評議会のコミュニケーション担当ディレクター、ゲイル・ストレンジ氏は述べている。
 「調査結果を受けて、コミュニケーションに関するワークショップを企画し、提供することにした。プレスビテリーを介して作業することで、コングリゲーションが参加者を送る機会を可能にした」
 「ワークショップは、教会のコミュニケーターが自分たちのコミュニケーション努力を計画する必要性と、それを行うための最善の方法を理解するのに成功した」とストレンジ氏。「しかし、他のすべてのように新型コロナウイルス(COVID19)感染のパンデミック(大流行)は、ワークショップ実施方法の再検討を余儀なくされた。今はバーチャル・ワークショップを提供している」
 以前のような全日にわたるプログラムではなく、ワークショップは1時間で終わる。「ソーシャルメディア」に焦点を絞ったワークショップは10月27日午後2時(米東部時間)に開催される。
 ストレンジ氏は、このネットワークの目標は、コミュニケーターが同派のニュースやイベント、リソースに関する情報を受信、配布を奨励すること、コミュニケーター間の仲間意識と継続教育を促進することなど実践的なワークショップを提供することだと指摘している。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(10月11日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇、新社会回勅を発表=「きょうだいの皆さん」互いを大切に良い世界を
★教皇フランシスコ=聖書について使徒的書簡=翻訳から新しく学ぶこと
★教皇庁教理省が書簡=「安楽死はいのちに対する犯罪」
★「船員司牧」創立100周年=「ステラ・マリス」に
★バチカン列聖省長官ベッチウ枢機卿が辞任、枢機卿職の職権も辞退

 

 =KiriShin(10月11日)=https://www.kirishin.com
★社会的課題としての自殺 仕組み作りで防ぐ=奥田知志(抱樸理事長)×清水康之(ライフリンク代表)対談
★学術会議への人事介入めぐり明学大、映画関係者ら有志が声明
★「総動員伝道」50周年=紙での機関紙発行は最終号
★安楽死正当化できない=バチカン改めて強調
★2020年度テンプルトン賞はフランシス・コリンズ氏に

 

 =クリスチャン新聞(10月11日)=https://クリスチャン新聞.com
★キリスト教会のコンテンツ集結=「聖書チャンネルBRIDGE」公開
★全国から寄贈キリスト教関連1500冊=「安曇野聖書図書館」8月開館
★中国 キリスト教の情報規制 さらに厳格化
★スペイン風邪忘れないで=戒能信生氏ら当時の教会対応を共同調査
★「ポストコロナの教会 その2~牧会学の視点から」坂野慧吉氏発題=「イエスと自分の傷の一体化が癒しに」=仙台バプテスト神学校 神学webサロン

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