世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1588信(2021.06.28)

  • 教皇、ルーテル世界連盟代表者らを迎え会見
  • 同性愛嫌悪を処罰する法案は「信仰の自由を抑制」とバチカン
  • カナダ中部でも先住民寄宿学校跡地で無名の墓数百基発見
  • 《メディア展望》

 

◎教皇、ルーテル世界連盟代表者らを迎え会見

※「アウクスブルク」「アウグスブルグ」「アウグスブルク」などの日本語表記で、CJC通信は「アウクスブルク」を採用します。「ニケア」「ニカイア」「ニケヤ」「信条」「信経」の表記では、「ニケア信条」を採用します。
 【CJC】教皇フランシスコは6月25日、ルーテル世界連盟(LWF)の代表者らをバチカンに迎え会見した。
 教皇は2016年10月、同連盟創設の地スウェーデンのルンドを訪問した際に体験した和解の福音的な力を思い起こされ、「対話と共通の証し」を通し、わたしたちは「もはや他者ではなく兄弟」であると話した。
 教皇は、「アウクスブルク信仰告白」の記念日に、一致のさらなる発展を願って行われた関係者のローマ訪問に感謝しつつ、30年6月25日に500周年を迎える「アウクスブルク信仰告白」をめぐる共通の考察がエキュメニズムの歩みに実りをもたらすことができるようにと願った。
 アウクスブルク信仰告白が、ニケア信条に言及しながら、唯一にして三位一体の神における信仰を告白していることに触れた教皇は、ニケア信条は、カトリックとルター派だけでなく、正教会や他の多くのキリスト教共同体をも結びつける共通の宝、と述べた。
 そして2025年に第1回ニケア公会議開催1700年を記念することを指摘して教皇は、この記念が、神の賜物であり後戻りできないエキュメニカルな歩みに、新しい刺激を与えることを希望した。
 教皇は、唯一の洗礼によって、わたしたちは、分裂の克服、記憶からの回復、和解と兄弟愛に基づく協力を体験しつつあると語り、洗礼はわたしたちのあらゆる宗教的努力、一致の取り組みの根底にある、神の賜物、と話した。
 「エキュメニズムは、教会間の外交ではなく、恵みの歩み」と述べた教皇は、絶え間なく祈り、共通の慈愛の業を通して、信頼のもとに、この歩みを情熱的に続けていこう、と呼びかけた。


◎同性愛嫌悪を処罰する法案は「信仰の自由を抑制」とバチカン

 【CJC】教皇フランシスコは、同性愛に対してリベラルな姿勢をとってきたが、英メディアBBCは、バチカンが、現在イタリア上院で審議中のホモフォビア(同性愛嫌悪)を処罰する法案についてイタリアに抗議したことが明らかになったと報じた。
 ザン法案は、LGBT(性的マイノリティー)や女性、障害者に対する差別や暴力を扇動する行為を処罰するもの。LGBT活動家で政治家のアレッサンドロ・ザン氏にちなんで名付けられた同法案は、昨年11月にイタリア下院で可決された。成立するには上院を通過する必要がある。
 同法案は女性やLGBT、障害者に法的保護を与えるもの。こうした保護対象者へのヘイトクライム(憎悪犯罪)や差別で有罪となった場合には、最高で4年の禁錮刑が科される可能性がある。
 バチカンは6月17日、イタリア大使に非公式文書を送付し、ザン法案に抗議した。1929年にイタリア王国と締結したラテラノ条約で確保された信仰の自由を抑制するもの、と主張している。
 現在のカトリック教会の教義では、同性愛は「逸脱した行為」とされている。法案支持派は、同法案には信仰の自由を確保する条項が含まれているとしている。
 一方で、教皇はこれまで、同性愛は罪であるというカトリック教会の立場を繰り返し表明している。


◎カナダ中部でも先住民寄宿学校跡地で無名の墓数百基発見

 【CJC】モントリオール発AFP=時事通信は、カナダ中部サスカチワン州マリーバルにあった先住民の子ども向けカトリック寄宿学校の跡地付近で、数百基の名前のない墓が発見された、との地元メディア6月23日報道を伝えた。
 これより先、先住民同化政策の一環として建てられた西部ブリティッシュコロンビア州の寄宿学校跡地から、当時の生徒とみられる215人の子どもの遺骨が見つかっていた。遺骨発見を受け、複数の寄宿学校跡地の発掘調査が行われ、マリーバルでの作業も5月末に始まった。
 カナダでは1990年代まで、先住民の子供約15万人が強制的に全国139カ所の寄宿学校に集められ、家族や独自の言語、文化からの隔絶を強いられた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月27日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇庁生命アカデミー=パンデミック対策全般が障がいのある人には不利
▼ドイツのマルクス枢機卿=退任願い受理されず驚く
▼世界の諸宗教指導者=気候変動について会議へ=COP(コップ)26控えてローマで
▼戦後76年 戦争の悲惨さ伝える=新作能『長崎の聖母』
▼チャレンジを続けて「箱車」の聖火ランナー=山口・宇部教会 米原慮州さん
 
 =KiriShin(6月21日・既報)=https://www.kirishin.com
▼「患者」となって初めて見えた光景=『牧師、閉鎖病棟に入る。』=著者・沼田和也氏インタビュー
▼【東アジアのリアル】=中国共産党結党100年と「それでも神はいる」=劉燕子
▼NCCが重要土地規制法案に反対=改正国民投票法成立にも抗議
▼米カリフォルニア州カトリック校=元校長・修道女が授業料など着服
▼3宗教結ぶ「一つの家」=ベルリン中心部で起工式
 
 =クリスチャン新聞(6月27日)=https://クリスチャン新聞.com
▼オリンピックで反人身取引「It's a Penaltyキャンペーン」開始=性犯罪防止に向けて啓発活動
▼「本を届ける思い」拡大=クラファンで参加意識高める
▼世界視野での次世代教育に期待=JEA、ATA/J、JLC連携の展望
▼創立50周年JOMA総会開催=宣教の過去、未来語る事業発表
▼久保木勁氏逝去=北海道超教派尽力

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