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世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1596信(2021.08.23)

  • ハイチ地震=推定マグニチュード7・2、死者1400人超す
  • アフガニスタン=現地の教会系組織「対話の糸口探す必要」
  • パラリンピックにアフガン選手不参加
  • 「律法の基礎的価値」をテーマに、教皇一般謁見
  • カトリック保守派の米枢機卿、コロナで入院、人工呼吸器装着
  • 共産党100周年祝賀を要請される中国のカトリック者
  • スイスの同性婚反対派 「合法化は新たに不平等を生む」
  • カリフォルニア州北部の森林火災、州史上2番目の規模に
  • 《メディア展望》

 

◎ハイチ地震=推定マグニチュード7・2、死者1400人超す

 【CJC】カリブ海の島国ハイチで8月14日午前8時29分(日本時間午後9時29分)に発生した大地震で、16日までに少なくとも1419人の死亡が確認された。負傷者は約6900人以上。行方不明者の数はわかっておらず、生存者の発見が急がれている。英公共放送BBCなどの情報をまとめた。
 米地質調査所(USGS)によると、震源地はサンルイ・ドゥ・スド町から約12キロ。首都ポルトープランスからは、西に約125キロ。震源の深さは10キロ。マグニチュード(M)7・2と推定される。
 最も被害が大きかったと思われるのはハイチ南西部で、とりわけレカイ市周辺の被害が甚大だった模様。
 現地にはアメリカやチリの捜索救助チームやキューバの医療チームが入り、支援活動にあたっている。
 この地震で、住宅や学校、教会を含む多くの建物が倒壊した。地震の影響で家を失った人は3万人以上に上ると報じられている。現地の病院には負傷者があふれ、物資が不足している。
 レカイ市にある教会(米聖公会)のアビアド・ロザマ大執事は米紙ニューヨーク・タイムズに、「通りは悲鳴であふれている。誰もが探し求めている。愛する人を、物資を、医療の助けを、水を」と話した。
 ハイチに狙いを定めたような熱帯性低気圧「グレース」の大雨により、地滑りが発生する恐れがある。
 ハイチのすべての沿岸地域および隣国ドミニカ共和国には、熱帯性低気圧警戒警報が発令された。
 ハイチでは7月に大統領が暗殺されたばかりで、すでに政治的危機に見舞われている。
 アリエル・アンリ暫定首相は14日、「広範囲に被害」が出ているとして、1カ月間の非常事態宣言を発令。国民に「連帯を示す」よう求めた。
 14日の地震の後も余震が確認された。USGSは、この地震で数千人の死傷者が出る可能性があると警告していた。
 2010年1月のハイチ地震はマグニチュード(M)7・0で30万人以上が犠牲になり、同国のインフラや経済を大きく破壊した。


◎アフガニスタン=現地の教会系組織「対話の糸口探す必要」

 【CJC】反政府武装勢力の全土制圧により政権崩壊したアフガニスタンで、障害児の支援のために奉仕するカトリック系組織「カブールの子どもたちのために」関係者は、活動継続のための対話の必要を語っている。「バチカン・ニュース」(日本語版)によって紹介する。
 アフガニスタンでは、反政府武装勢力タリバンが首都カブール進攻によって全土を掌握、これまでの政権は事実上崩壊した。
 同国で長年、障害児支援のために奉仕を行ってきたカトリック系組織「カブールの子どもたちのために」の責任者、マッテオ・サナヴィオ神父(ロガツィオニスティ会)は、「バチカン・ニュースのインタビュー」に答え、同組織が現在直面している新たな状況について語った。
 サナヴィオ神父は、「カブールの子どもたちのために」の現在の活動について、「今、アフガニスタン、特にカブールから届く情報はネガティブなものが多く、混乱の中で駐在者の帰国だけが進んでいる状態であり、すべての支援活動は一時的に中断されている」と話した。
 サナヴィオ神父は、支援組織「カブールの子どもたちのために」について、聖ヨハネ・パウロ2世の「カブールの子どもたちを助けてください」とのアピールを受け、2001年に誕生し、06年からカブールでの活動を開始、すでに現地で15年の経験を持つもの、と説明した。この活動は教会史の中でも特筆すべきもので、当時、14の男女修道会が教皇の呼びかけに答えてこれに参加した、と話した。
 その活動では、障害児、特に精神障害を持つ子どもたちを受け入れており、同国では重度でない障害児は普通の学校に入学するため、障害児のための特別な教育施設を設立し、そこで小学校入学前の準備としての教育を行っている、と同神父は述べた。
 かつてのタリバン政権の統治に照らして、今後の活動はリスクがあると思われるか、との問いに、サナヴィオ神父は、「カブールの子どもたちのために」の活動に対し、タリバンがどのようなことを提示するか、どのように耳を傾けるか、対話の糸口を模索する必要がある、と答えた。
 同神父は、「タリバン側は教育的・社会的活動を妨げるつもりはないと声明したと聞いたが、今のこの時点で、彼らと対話することはかなり難しいだろう」と述べた。


◎パラリンピックにアフガン選手不参加

 【CJC】国際パラリンピック委員会(IPC)は、アフガニスタン選手が東京大会に出場できないことに悲しみを表明した。
 バチカン・ニュース記者が伝えるところでは、アフガニスタンのザキア・クダダディ選手(テコンドー)は、東京パラリンピックで同国初の女性選手になるという夢を叶えるために、混乱下のカブールから脱出するための支援を訴えていた。
 ザキア選手と陸上競技のホセイン・ラズーリ選手は、8月17日に東京に到着する予定だった。しかし、アフガニスタン・パラリンピック委員会が、東京大会に選手2人が参加できないことを発表した。
 IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は、ロイター通信のインタビューに応じ、「本当に悲しい」と心を痛めた。
 パーソンズ氏は、パラリンピック委員会はアフガニスタン・チームと協力して、選手が将来に再び出場できるようサポートするが、今は計画を議論するには「早すぎる」と付け加えた。


◎「律法の基礎的価値」をテーマに、教皇一般謁見

 【CJC】教皇フランシスコは8月18日、バチカンのパウロ6世ホールで、水曜恒例の一般謁見を行った。バチカン・ニュースによって紹介する。
 謁見中のカテケーシスで、教皇は聖パウロの「ガラテヤの信徒への手紙」をテキストに、「律法の基礎的価値」について考察された。
 イエス・キリストへの信仰のゆえに「約束の子」とされる者たちは、律法の拘束の下にはおらず、福音の自由の中で生き励むよう招かれている、と聖パウロはわたしたちに教えている。
 使徒パウロは、律法を「キリストのもとへ導く養育係」ととらえる。
 パウロは、救いの歴史とまた自分自身の人生を二つの時に分けて考えている。すなわち、同じ律法でも、キリストにおける信仰を基点とした「以前」と「以後」がある。先の歴史は「律法の下」にあったが、その後は「霊」の導きに従うものとなる。
 「律法の下」というパウロの言葉は、服従的でネガティブな意味が込められている。実際、パウロは、わたしたちが「律法の下」で「監視され」「閉じ込められていた」と表現している。
 パウロは律法に「養育係」としての意味を与えているが、古代において、養育係は、主人から命じられたしもべが、主人の子どもを先生の所に連れて行き、また家に連れ帰ることをその役割としていた。養育係はその子どもが危険に遭わぬよう監督する必要があり、その役目は規律的なものであった。
 パウロは、イスラエルの歴史の中で果たされてきた律法のこうした役割を明らかにする。「トーラー」は、神の御自身の民に対する寛大さの表れであった。それは限定的な役割ではあったが、同時に民を守り、教育し、規律を与え、その弱さを支えた。
 律法は当然良い役割を持っているが、それは限定的なものであり、人が信仰に達した時、その基礎的な価値を終え、別の権威に場を譲らなければならない、とパウロは確信していた。
 教皇はこのように、「ガラテヤの信徒への手紙」を通して、使徒パウロの律法に対する考えを解説された。そして、わたしたちは律法が必要であった段階をまだ生きているのか、あるいは、愛のうちに生きるために、神の子となる恵みをいただいたという自覚を持っているかを、自問するよう招かれた。


◎カトリック保守派の米枢機卿、コロナで入院、人工呼吸器装着

 【CJC】米メディア『CNN』が8月17日伝えたところでは、カトリック教会保守派の重鎮で米国人のレイモンド・レオ・バーク枢機卿が新型コロナウイルス感染症で入院し、人工呼吸器を装着していることが分かった。同氏のツイッター公式アカウントに書き込みがあった。
 バーク氏は10日のツイートで新型ウイルスの陽性反応が出たことを報告し、くつろいだ状態で「最上級の治療」を受けている、と述べていた。同氏は70代前半。新型ウイルスワクチンに対する懐疑的な立場で知られ、接種を受けているかどうかは明らかでない。
 同氏は、自ら設立したウィスコンシン州ラクロスの教会で複数のミサを予定していた。教会のツイートには直近の日程として8月5日のミサが記載されていたがこれは削除され、ユーチューブで公開されたミサの動画は7月30日を最後に追加されていない。
 バーク氏は昨年12月、同教会での説教で新型ウイルスを「なぞの武漢ウイルス」と呼び、「家族や国家の自由に敵意を持つ勢力が、邪悪な計画を進めるために使っている」と主張した。
 同年5月のオンライン集会では、ワクチンにマイクロチップが仕込まれていて、接種した者は政府に支配される恐れがあるという根拠のない発言を繰り返していた。
 同氏はバチカン最高裁の長官を務めていたが、教皇フランシスコに対して激しい批判を展開し、2014年に更迭された。


◎共産党100周年祝賀を要請される中国のカトリック者

 【CJC】ローマ発カトリック通信(CNA)は、中国全土の天主教愛国会(カトリック)が、今年、中国共産党100周年祝賀実施を要請された、と中国教会を20年もカバーしてきた「アジア・ニュース」編集長のベルナルド・セルヴェレッラ神父が語った、と伝えている。
 「信仰共同体、教区はどこも、会議、実行、参観から共産党関連の史跡巡礼まで行ってきた」と同神父。
 北京のヨセフ・リ・シャン司教は、共産党100周年を記念する習近平主席演説のため、司教館で「視聴会」を行った。習主席演説の「精神」をどう理解するかというシンポジウムには、司祭、信徒40人が参加した。天主教愛国会のウエブサイトによると、河北省のカトリック者が旗掲揚式と党祝福式を行った。
 しかし、中国のカトリック者にとって大事な聖母巡礼地、上海市松江区のシェシャン大聖堂への巡礼は禁止されている。
 聖座(バチカン)が2018年9月に中国当局と暫定協定を結んでから約3年間、地下カトリック教徒には、政府公認の天主教愛国会の指導下にある人たちとは、状況が大きく変化した。
 「女子修道院が破壊されたり、教会が閉鎖された。司祭が小教区から追い出されたり、神学を学ぶことを禁じられた神学生がいたり...さらに逮捕されたり毎日24時間軟禁されている司教もいる」と同神父。
 一方、公認教会は、礼拝の自由度は比較的高いものの、中国のナショナリズムや党への愛を説く一方で、カトリックの教理の一部を検閲する、と圧力をかけられるなどの問題に直面している。
 中国で合法的に布教しようとする司祭は、中国共産党を支持するとの誓約書に署名する必要がある。また18歳以下の未成年者は入場できない公認礼拝所でだけ布教が可能。
 「そして何よりも、共産党の栄光を讃えなければならない」とセルヴェレッラ神父は語っている。


◎スイスの同性婚反対派 「合法化は新たに不平等を生む」

 【CJC】西欧では多くの国ですでに同性婚が合法化されているが、スイスは9月26日、同性婚合法化を巡って国民投票を実施することになった。スイス公共放送協会(SBC)の国際部「スイス・インフォ」(日本語版)が、国内の合法化反対の声を紹介している。
 連邦議会は昨年12月、同性婚合法化を盛り込んだ民法改正案「全ての人に結婚の自由を」を可決した。改正案は、女性カップルへの生殖補助医療の解禁や、外国人パートナーのスイス国籍取得手続きの簡素化、同性カップルの養子縁組などを可能にする。スイスでは2018年以降、同性カップルもパートナーの子どもと養子縁組できるようになったが、その手続きには時間も費用も掛かる。
 法案が議会を通過した後、保守系右派が中心となって超党派の委員会が立ち上がり、法改正に反対する国民投票を提起した。反対派は、憲法を改正せずに同性婚が合法化されることに抵抗を感じている。レズビアンのカップルが精子提供を受けられるようになれば、本来なら尊重されるべき子どもの利益が無視されると主張する。
 夏休み前に投票キャンペーンを始めた賛成派に比べ、反対派の声はこれまであまり聞かれなかった。
 プロテスタント教会は賛成の立場を表明しているが、牧師を引退したジェラール・ぺラさんは公共放送「スイス・インフォ」のインタビューに「教会はこの法案の支持を避けるべきだった」と答えた。2012年にヴォー州改革派教会が同性愛カップルを教会で祝福する決定をした際にも、反対の声を上げていた。
 「スイス・インフォ」が、同性婚合法化に反対する理由を聞くと、個人的には同性愛者に何の抵抗もない。私は、聖書や倫理的な理由から同性婚に反対している。聖書では、人間のカップルは明らかに異性愛者であるとされている。倫理的な観点から見ると、法案は不平等の解消を目的としながら二つの不平等を生み出す。レズビアンは子どもを持てるのに対し、ゲイはそうではない点で、男女平等とは言えない。最も深刻な不平等の対象になるのは、医学の助けを借りた女性カップルから生まれる子どもたちだ。他の子どもたちのように父親と母親を持つという権利がない。
 「スイス・インフォ」が、スイスではすでに何千人もの子供が同性カップルの親の下で暮らしている。同性婚が合法化されれば、そのような子どもたちにも異性カップルの子供と同等の法的枠組みが与えられる。子どもたちがより保護されるとは思わないか、と聞くと、ぺラ引退牧師は、合法化はむしろ、問題となる状況を増やすだけだと思う。養子になった子が自分のアイデンティティーを見つけるのがどれほど難しいか、よく知られている。多くの養子は、実の父親や母親が誰なのかを知りたいと思い、心理的な葛藤に苦しんでいる。このような問題が同性カップルの家族にも見られるようになるだろう、と答えた。
 プロテスタント教会は同性婚合法化を支持している。所属する教会の立場を共有しないのか、との「スイス・インフォ」の問いかけには、私の教会は、教会内に様々な意見や信念があることを認識している。その中で、多数派が同性婚に賛成を決定したというだけだ。だから私は異なる意見を持ちながら、プロテスタント教会に属している、との答えだった。


◎カリフォルニア州北部の森林火災、州史上2番目の規模に

 【CJC】7月から米カリフォルニア州北部で続く州史上2番目の規模の火災は、焼失面積が25万ヘクタールを超え、鎮火率は31%と伸び悩んでいる。州消防当局は、今後さらに数日間、乾燥した風の強い天候が予想されるとして、警戒を強めている。現地メディアCNNによって紹介する。
 ギャビン・ニューサム知事は17日、同郡に非常事態宣言を出した。
 7月からカリフォルニア州北部で続く州史上2番目の規模の火災は、焼失面積が25万ヘクタールを超え、鎮火率は31%と伸び悩んでいる。州消防当局は、今後さらに数日間、乾燥した風の強い天候が予想されるとして、警戒を強めている。
 全米省庁合同火災センター(NIFC)によると、米国内では現在、干ばつの続く西部を中心に計104カ所で大規模な森林火災が発生している。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(8月22日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
長崎教区=8・9浦上教会 平和祈願ミサ=戦争と暴力には"ノー"、対話と平和に"イエス"
東京教区=ミャンマーのために=平和旬間を「姉妹教会」として
バチカンの国連代表=自律型致死兵器の使用に一般市民誤射の危険指摘
ベルリン教区大司教=ゲイ司牧担当者を任命=疎外や差別「痛ましい」
AIDS文化フォーラム「宗教とAIDS」=つながる手段としての宗教
 
 =KiriShin(8月21日・休刊)=http://www.kirishin.com
 
 =クリスチャン新聞(8月22日)=http://クリスチャン新聞.com
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