世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1674信(2023.02.20)

◎四旬節メッセージ=教皇、イエスと共にタボル山に登るよう招く
◎教皇、ニュージーランドのサイクロン被災者に寄り添う
◎ミュンヘン会議開幕=ウクライナ大統領、兵器供与の加速呼びかけ
◎5月競売、世界最古のヘブライ語聖書公開
《メディア展望》


 

◎四旬節メッセージ=教皇、イエスと共にタボル山に登るよう招く

 【CJC】2023年度の四旬節を迎えるにあたり、教皇フランシスコのメッセージが発表された。
 カトリック教会の典礼暦は、2月22日の「灰の水曜日」と共に、復活祭の準備期間、「四旬節」に入る。
 バチカン・ニュースによると、「四旬節」をより有意義に過ごすため、毎年、教皇によるメッセージが発表される。
 教皇フランシスコは、2023年度の四旬節のために、「四旬節の登攀(とうはん)、シノドスの道のり(仮訳)」と題したメッセージを発表した。
 このメッセージで、マタイ、マルコ、ルカの三つの福音書に記される「主の変容」のエピソードを観想した教皇は、イエスと一緒にタボル山に登り、イエスの神なる輝きを体験し、それによって信仰を強め、イエスと共に歩き続けることができるようにと願われている。
 教皇は、主の変容の出来事に、弟子たちの無理解に対するイエスの答えを見出された。実際、シモン・ペトロは、イエスに対し「あなたはメシア、生ける神の子です」と信仰を告白したにも関わらず、そのすぐ後でイエスの受難と十字架の予告をはねつける。イエスはそのようなペトロを、「サタン、引き下がれ。あなたはわたしの邪魔をする者。神のことを思わず、人間のことを思っている」(マタイ16・23)と叱られた。そして、そのことから「六日の後、イエスは、ペトロ、それにヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた」(同17・1)のである。
 主の変容の福音は、毎年四旬節第二主日に朗読されることを教皇は紹介しつつ、この四旬節に、主はわたしたちを連れ出し、ご自身と一緒に「高い山に登り」、聖なる神の民と共に特別な「登攀」を体験するよう招いておられる、と述べている。
 四旬節の登攀は努力を要するものである。この登攀は、わたしたちの信仰や忍耐の欠如を克服し、イエスの十字架の歩みに従えるよう、常に恵みによって励まされる。師イエスを深く知り、その神の救いの神秘を受け入れるには、師に連れ出され、高い山に登り、生温さや虚飾から離れなければならない。教皇は、この努力と犠牲を要する上り坂の歩みを、現在教会が取り組んでいるシノドスの歩みとも重ねられた。
 イエスはタボル山に3人の弟子を連れて行かれた。彼らは比類ない特別な出来事の証人として選ばれたのである。イエスはこの恵みの体験が孤立したものではなく、分かち合われるものであることを望まれた。イエスと弟子たちのタボル山登攀と同じように、わたしたちの四旬節の歩みは、「道」である師、唯一の師であるイエスに従い、皆で「共に」歩むシノドス的歩みである、と教皇は記されている。
 やがてエピソードは重大な時を迎える。福音書は「イエスの姿が彼らの目の前で変わり、顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった」(同17・2)と語っている。教皇は、これこそが登攀が目指すまさに「頂点」であると言う。登攀の終わりに、高い山の上に共にいる三人の弟子たちに、イエスは、超自然的な光に輝く、栄光の中にあるご自身の姿を見せるという恵みを与えたのである。この美しい神的光景は、タボル山に登った弟子たちのあらゆる苦労を完全に超越するものであった。教皇は、山を登っている最中は険しい道だけを見つめていても、最後には驚くべき素晴らしい展望が開けるもの、と説きつつ、シノドスの歩みも最後には、神の御旨とその御国への奉仕をより良く理解させる素晴らしい結果が待っているだろう、と励ましている。
 タボル山での弟子たちの経験は、イエスの隣に現れたモーセとエリヤを見ることによってより豊かなものとなった(参照=同17・3)。教皇はモーセとエリヤがそれぞれ「律法」と「預言」を象徴する存在であると指摘。シノドスの歩みもまた、教会の伝統に根差すと同時に、新しいものに向かって開いていると語っている。
 四旬節の登攀の歩みと、シノドスの歩みは、どちらも個人と教会の「変容」を目標とするもの、と述べた教皇は、この「変容」を実現するための二つの「小径」を提示している。
 まずその一つは、タボル山でのイエスの変容の出来事を前に観想する弟子たちが聞いた「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」(参照=同17・5)という神の声である。教皇は、四旬節はわたしたちに話しかける神の声に耳を傾ける恵みの時であると強調。典礼の中の神の御言葉、毎日の聖書の読書はもとより、助けを必要とする兄弟姉妹たちの顔やストーリーの中に主の声を聞くようにと招かれた。さらに、教皇は、シノドス的な教会のために、教会の中の兄弟たちと互いに耳を傾け合うように勧められた。
 弟子たちは御父の声を聞いて「ひれ伏し、非常に恐れた」。しかし、「イエスは近づき、彼らに手を触れて言われた。『起きなさい。恐れることはない。』彼らが顔を上げて見ると、イエスのほかにはだれもいなかった」(同17・6~8)。ここに四旬節の二つ目の小径を示された教皇は、毎日の労苦や辛さ、矛盾など、現実と向き合うことを恐れ、特殊で恍惚とした宗教体験の中に逃げ込んだままではいけない、と述べられた。
 四旬節は主の復活へと向かう歩みであり、その静修期間は、イエスの受難と十字架を信仰と希望と愛のもとに体験しながら復活へと到達できるよう、わたしたちを準備するものと教皇は説いた。そして、山から降りた後も、わたしたちが日常生活の中でシノドス性を作り出す者となるために、ここで体験した恵みに支えられることを祈られた。


◎教皇、ニュージーランドのサイクロン被災者に寄り添う

 【CJC】バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは2月19日、日曜正午の祈りで、地震で深刻な被害を受けたシリアとトルコ、戦争に苦しむウクライナ、サイクロンに襲われたニュージーランドに思いを向け、自然災害や戦争などのために苦しむ人々に寄り添いを表した。
 この集いで教皇は、「イエスの愛は、わたしたちが困難にある人々の状況に心を動かされることを願われている」と強調、特に地震により多数の犠牲者を出したシリアとトルコ、劇的な日常をおくるウクライナの国民、また紛争や、貧困、自由の欠如、環境破壊等に苦しむ世界各地の多くの人々に思いを向けた。
 こうした中、教皇はここ数日サイクロンによる大きな被害を受けたニュージーランドの人々に精神的一致を表明、苦しむ人たちを常に忘れないように、と述べながら、教皇は配慮に満ちた具体的な慈愛の業を呼びかけた。


◎ミュンヘン会議開幕=ウクライナ大統領、兵器供与の加速呼びかけ

 【CJC】ミュンヘン発ロイター通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は2月17日開幕したミュンヘン安全保障会議でオンライン演説し、ロシアの侵攻を打ち負かすために兵器供与を加速させるよう同盟国に訴え、ためらいや遅れは他国の安全保障をも脅かすと警鐘を鳴らした。
 ゼレンスキー大統領は、旧約聖書で巨人ゴリアテと戦ったダビデを引用、「決意は決して抽象的なものではない。ダビデがゴリアテを倒したのは話し合いの力ではなく、行動の力によるものだ」と述べた。
 また、ウクライナがロシアによる侵攻の終点とはならず、プーチン大統領が他の旧ソ連諸国にも照準を合わせていることは「明白」とし、西側諸国がウクライナへの戦車供給を巡り協議を行っている間、ロシアはウクライナの隣国モルドバを「窒息させる」方策を検討していると警告した。
 ドイツのショルツ首相は「現時点でわれわれにできることは、できる限りの支援をすることだ」とし、ドイツが欧州においてウクライナへの最大の兵器供与国であり続けると表明した。
 フランスのマクロン大統領も、ウクライナがロシアに反抗できるよう軍事支援を強化する必要があると強調。「今はロシアと対話する時ではない」とした上で、「われわれは今日(支援や努力を)強化し、長引く紛争に備える用意がある。それがロシアを交渉の席に戻し、永続的な平和を構築する唯一の方法だ」と述べた。
 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は「NATOの同盟国とパートナー国が必要な限りウクライナと共に立ち上がるというのが私からウクライナの人々への最大のメッセージ」と語った。


◎5月競売、世界最古のヘブライ語聖書公開

 【CJC】競売大手サザビーズは2月15日、ニューヨークで5月に競売に出される1000年以上前のヘブライ語聖書を公開した。ニューヨーク発AFP=時事通信によって紹介する。これまでに発見されたヘブライ語聖書の中で最古とされる。
 出品されるのは「サスーン写本」で、9世紀後半~10世紀初頭に書かれた。落札価格は歴史的文書としては過去最高の5000万ドル(約67億円)に届く可能性がある。
 写本の名は、ユダヤ教古文書の個人収集家デービッド・ソロモン・サスーン(1880~1942)にちなんでいる。
 ヘブライ語聖書全24巻を収録した写本として現代まで残る二つのうちの一つ。紀元前3世紀にさかのぼる死海文書(死海写本)と、現代版ヘブライ語聖書の架け橋とされる。
 サザビーズによると、初期のヘブライ語聖書として有名な他の2点、アレッポ写本よりも完全で、レニングラード写本よりも古い。競売に出品されるのは30年以上ぶりだという。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(2月19日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇=コンゴと南スーダン訪問
▼長崎教区=日本26聖人殉教記念ミサ=1200人が信仰しのぶ
▼カリタスジャパン=四旬節キャンペーン=「愛の献金」呼びかけ始まる
▼『聖週間の典礼』=暫定新改訂版、3月中旬に発刊
 
 =KiriShin(2月11日・既報)=https://www.kirishin.com
 
 =クリスチャン新聞(2月19日)=https://クリスチャン新聞.com
▼ヘイトクライム闘いの地で「第37回外キ協全国協議会」開催=「差別許さない」で一つに
▼トルコ南東部で地震=各キリスト教支援団体、緊急支援開始
▼JCE7宣言文第二次案公開=地区大会開催=現場から意見
▼「善き隣人バンク」クラウドファンディング開始=孤独抱える人々の命つなぐ"お話し相手"
▼県内の防災ネットワークつながり、「神奈川教会防災ネット」設立へ

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