世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1675信(2023.02.27)

◎ミュンヘン会議開幕=ウクライナ大統領、兵器供与の加速呼びかけ
◎ブラジル貧民街の個人宅、「今年の家」に 建築専門サイトが選出
◎胎児は無実、妊婦の被告が保釈要求=米マイアミ
◎「福音宣教の主役としての聖霊」をめぐって=教皇一般謁見
◎牧師の説教まで書いた「チャットGPT」=「まだ牧師レベルではない」
《メディア展望》


 

◎ミュンヘン会議開幕=ウクライナ大統領、兵器供与の加速呼びかけ

 【CJC】ミュンヘン発ロイター通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は2月17日開幕したミュンヘン安全保障会議でオンライン演説し、ロシアの侵攻を打ち負かすために兵器供与を加速させるよう同盟国に訴え、ためらいや遅れは他国の安全保障をも脅かすと警鐘を鳴らした。
 ゼレンスキー大統領は、旧約聖書で巨人ゴリアテと戦ったダビデを引用、「決意は決して抽象的なものではない。ダビデがゴリアテを倒したのは話し合いの力ではなく、行動の力によるものだ」と述べた。
 その上で「遅れは常に誤りだ」とし、世界の安全のために「ゴリアテを打ち負かす必要がある」と連携を呼びかけた。
 また、ウクライナがロシアによる侵攻の終点とはならず、プーチン大統領が他の旧ソ連諸国にも照準を合わせていることは「明白」とし、西側諸国がウクライナへの戦車供給を巡り協議を行っている間、ロシアはウクライナの隣国モルドバを「窒息させる」方策を検討していると警告した。
 ミュンヘン会議には世界の国家元首や閣僚ら100人超が出席。ロシアは招待されていない。
 ドイツのショルツ首相は「現時点でわれわれにできることは、できる限りの支援をすることだ」とし、ドイツが欧州においてウクライナへの最大の兵器供与国であり続けると表明した。
 フランスのマクロン大統領も、ウクライナがロシアに反抗できるよう軍事支援を強化する必要があると強調。「今はロシアと対話する時ではない」とした上で、「われわれは今日(支援や努力を)強化し、長引く紛争に備える用意がある。それがロシアを交渉の席に戻し、永続的な平和を構築する唯一の方法だ」と述べた。
 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は「NATOの同盟国とパートナー国が必要な限りウクライナと共に立ち上がるというのが私からウクライナの人々への最大のメッセージ」と語った。


◎ブラジル貧民街の個人宅、「今年の家」に 建築専門サイトが選出


 【CJC】AFP=時事通信によると、ブラジル南東部ミナスジェライス州ベロオリゾンテ郊外のファベーラ(スラム街)にある一見質素な家が、世界的建築専門サイトで「今年の家」に選ばれた。
 建築関連ニュースサイト「アーキデーリー」主催の「ビルディング・オブ・ザ・イヤー2023」の住宅部門でトップに選ばれたのは、アーティストのカドゥ・ドスアンジョスさん(32)の自宅。2階建てで床面積は66平方メートル。デザインを手掛けたのは、ファベーラで無償もしくは低価格でサービスを提供する「LAC」だ。
 インドやメキシコ、ドイツ、ベトナムなどからエントリーのあった競合を押しのけての選出となった。
 「アーキデーリー」は「ドスアンジョス邸」について、地域にある一般的な材料を用いつつ、採光や風通しにも配慮し、良好な居住環境を創出したモデルケースと評価している。
 ドスアンジョスさんは、「受賞を大変誇りに思う。ファベーラといえば暴力や土砂崩れ被害についての報道ばかりだから」と語った。「きょう、この家は世界一の高みにある」


◎胎児は無実、妊婦の被告が保釈要求=米マイアミ

 【CJC】AFP通信(日本語版)が報じるところでは、米フロリダ州で殺人罪に問われ、勾留中の妊婦ナタリア・ハレル被告(24)被告が、まだ生まれていない子どもは無実であり「不法に拘束されている」として、自身の保釈を求めていることが分かった。ウィリアム・ノリス弁護士が2月23日、明らかにした。
 ナタリア・ハレル被告は、昨年7月にマイアミで配車サービス「ウーバー」(Uber)で手配された車に乗っていた際、女性を撃ち殺したとして殺人罪に問われ、約7カ月にわたり勾留されている。ハレル被告は逮捕時、妊娠約6週だった。
 裁判所に提出された申し立てによると、胎児は「いかなる犯罪も犯していない」にもかかわらず「劣悪な状態」で監禁されており、母親が保釈されない限り、「監獄のコンクリートの床の上で生を受ける可能性が高い」と指摘している。
 さらに、勾留中の母親は適切な医療の提供を受けていないという。
 ウィリアム・ノリス弁護士は胎児の父親に雇われていると明かし、胎児に代わって申し立てを行ったと述べた。この申し立てで、「生まれていない子どもも人である」という考えを強く主張している。


◎「福音宣教の主役としての聖霊」をめぐって=教皇一般謁見

 【CJC】教皇フランシスコは、2月22日、バチカンのパウロ6世ホールで、水曜恒例の一般謁見を行われた。
 謁見中のカテケーシスで、教皇は「福音宣教の情熱:信者の使徒的熱意」の考察として、「福音宣教の主役:聖霊」をテーマに話された。バチカン・ニュースによって紹介する。
 教皇カテケーシスの要旨は次のとおり。
 
 「イエスは近寄って来て(弟子たちに)言われた。『わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。』」(マタイ28・18~20)
 「福音宣教の情熱」をめぐるカテケーシスで、今日は、「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授けなさい」(参照=マタイ28・19)というイエスの言葉から考察を再び始めよう。
 復活されたイエスは、「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」と言われた。それは相手を教化したり、強制的に改宗を迫るのではなく、イエスとの関係の中に入り、イエスを知り、愛する可能性を一人ひとりに与えるように、ということである。
 また、イエスは「行って、洗礼を授けなさい」と言われる。「洗礼」とは「浸すこと」を意味する。それは典礼的な行為を示す以前に、自らの命を父と子と聖霊の中に浸し、わたしたちのそばに、父、兄弟、霊としておられる神の存在に毎日喜びを感じることを表している。
 イエスが弟子たち、そしてわたしたちに「行きなさい」と言われる時、それは言葉だけでなく、聖霊と共に伝えられる。なぜなら、聖霊のおかげによってのみ、キリストからの使命を受け取り、それを継続することができるからである(参照=ヨハネ20・21~22)。実際、使徒たちは、聖霊降臨の日が訪れ、聖霊が彼らの上に降りるまで、恐れから高間に閉じこもっていた(参照=使徒言行録2・1~13)。福音の告知は、聖霊の力においてのみ実現される。聖霊は宣教者たちに先立ち、彼らの心を準備される。聖霊こそ「福音宣教の原動力」である。
 「使徒言行録」のすべてのページが、福音の告知の主役が、ペトロやパウロたちではなく、聖霊であることを伝えている。「使徒言行録」に記される初代教会には、今日の教会と同じように、慰めもあれば、悩めることもあった。たとえば、当時の教会は、信仰に入った異邦人たち、ユダヤ人ではない人たちに対し、モーセの慣習に従わせるかどうかで意見が分かれていた。これを識別するために、使徒たちが集まり、「エルサレム使徒会議」と呼ばれる教会史上初の会議を行った。そこで彼らは伝統と革新の適当な妥協を図ることもできたが、先に使徒たちの上に降り、やがて同様に異邦人たちの上にも注がれた、聖霊の働きに従った。
 使徒たちは最終的に、「聖霊とわたしたちは、次の必要な事柄以外、一切あなたがたに重荷を負わせないことに決めました」(参照=使徒言行録15・28)と、律法に関わるほとんどの義務を取り去った。彼らは感受性や意見の相違にも関わらず、分裂することなく、聖霊に耳を傾けたのである。
 聖霊は今日にも有効な一つのことを教えている。それは、あらゆる宗教的伝統は、イエスとの出会いに助けられるならば、有益である、ということである。今日のわたしたちにも恩恵をもたらした、この最初の会議の歴史的決議は、教会においてはすべてが福音宣教の必要に応じて形作られる、という「福音宣教の原則」に促されたものであった。保守派あるいは急進派の意見にではなく、イエスが人々の生活に届くようにという必要に従うのである。それゆえ、一つひとつの選択や使用、組織や伝統は、キリストを告げることを助けるという物差しに従って判断されるべきである。
 このように、聖霊は教会の歩みに光を与える。聖霊は心の中の光であるだけでなく、教会を導く光でもある。聖霊は、物事を明確にし判断や識別を助ける。そのため、四旬節が始まった今日はもとより、しばしば聖霊に祈り求める必要がある。なぜなら、教会が機会や場所、共同体や活動グループを持っていても、聖霊に祈らなければ、宣教の火は消えてしまうからである。使徒パウロも「霊の火を消してはいけません」(1テサロニケ・5~19)と言っている。しばしば聖霊に祈り、わたしたちの中に毎日その光を灯してくださいと願おう。
 教会は、聖霊から出発し、また再出発する。わたしたちの司牧計画が、社会学的な調査や分析、諸問題や課題のリストから始まるのは当然重要であるが、最も大切なのは、聖霊の体験から出発することなのである。


◎牧師の説教まで書いた「チャットGPT」=「まだ牧師レベルではない」

 【CJC】「今日、私たちは愛する父を思い出します。聖書では、『すべての人が一人ずつ死に、その後に審判がある』と言われました。父は今、死と審判を迎えていますが、私たちは永遠の命を考えることができます。聖書では、『死んだ者はもはや死ぬことはなく、その命は死から抜け出さない」(ヨハネの手紙11・26)と言われました。私たちはいつもあなたを愛しています」
 韓国メディア「東亜日報」(日本語版)が、このような書き出しの聖句を掲載した。一見すると、葬儀での牧師の故人への祈りのようだ。しかし、これは「亡くなった父のために聖書を引用した祈りを作ってほしい」という要請に、対話型人工知能(AI)サービス「チャットGPT」が作った内容の一部だ。
 ある教会関係者は、「内容の誤りなどはともかく、祈りの形式は備えているように見える」とし、「牧師の説教レベルではないが、信徒が突然の状況に応じて参考にすることはできそうだ」と話した。本文を中心に置き、意味を与えて締めくくる祈りの文、説教の枠組みは整っているということだ。
 引用した聖書の巻名には誤りがあった。「チャットGPT」が引用した箇所は「ヨハネの手紙11・26」だが、実際これと似た内容はヨハネの福音書11章26節にある。また、聖書は国内外に多数の翻訳本があるためか、現われている改訳改訂版とは翻訳に違いがあった。改訳改訂版ヨハネの福音書11章26節には、「生きていてわたしを信じる者はみな、永遠に決して死ぬことがありません。あなたは、このことを信じますか」とある。
 「チャットGPT」に「チャットGPTの説教の問題点は何か」と尋ねると、「作成した説教や祈りは、いかなる哲学的な信念や宗教的な目的も持たない、入力された資料を基に自動生成された文章」と答えた。そして、「このため、私を使用して作成された説教は信仰の根本を含まず、また誤った信仰を広める恐れがある」と警告した。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(2月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇=トルコとシリアの大地震で、国際社会の連携呼びかける
▼教皇、アフリカ訪問後に=武器取引が「最大の災い」
▼教皇、青年に呼びかけ=人身取引や搾取との闘いで「人間の尊厳の宣教者」に
▼ニカラグア独裁政権=司教に禁錮26年実刑判決
▼エルサレムで聖像破壊=ユダヤ教徒観光客を逮捕
 
 =KiriShin(2月21日)=https://www.kirishin.com
▼トルコ・シリア地震=死者4万人以上=各団体が緊急の支援と祈り
▼シリア、EUに地震支援要請=約30万人避難の報道
▼カトリック正平協、JOCが声明=『福音と社会』書評は「深刻な二重加害」
▼ラルシュ共同体が報告書=「虐待防止できなかった組織的責任」
▼モルモン教の巨大ファンド=米SECが「情報開示」で調査
 
 =クリスチャン新聞(2月26日)=https://クリスチャン新聞.com
▼トルコ大地震=シリアでは WVJ現地スタッフ「トルコに比べ情報量少ない」=国内避難民に追い打ち
▼韓国スタディツアー参加者が証しと講演=同盟基督「教会と国家」委員会、青年部と共催
▼「第57回2・11東京集会」で稲正樹氏=「国葬・改憲から新しい戦前、ヤスクニの道が見えてきた」
▼ウクライナ・ロシア侵攻から一年 苦難の中、伝道と協力の祝福も
▼JCE7・九州地区大会=社会・若者・家庭を語る

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