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講義概要・シラバス

講義概要・シラバス

「宗教と平和」(宗教学6)「戦争・正義・平和――宗教多元社会の中で」

<概要>

 この授業は、現代世界における紛争、戦争、テロなどの問題を比較宗教学的な視点から考察し、異なる信仰や価値観を持つ者同士が、地域社会や国際社会において、いかに共存・共生していくかを考えるために必要な知識や認識を得ることを目的としています。
 20世紀には二つの世界大戦をはじめ様々な戦争や紛争が起こり、また、21世紀はじめには9・11同時多発テロ事件が起こりました。それらの背景や影響を、特に宗教思想との関係に注目して考えていきます。ポスト冷戦時代の地域紛争に関しては、ユダヤ教・キリスト教・イスラームの相互関係が不可避的に問われてきました。そうした一神教に特徴的に見られるロジックを分析すると同時に、一見、宗教対立と見えるものが、いかに政治的に偽装されたものかであるかにも、注意を払っていきたいと考えています。
 戦争に対する考え方を歴史的に俯瞰するために、キリスト教史において現れた、戦争をめぐる三つの類型、すなわち、絶対平和主義(pacifism)、正戦(just war)論、聖戦(holy war)論を取り上げます。ただし、それがキリスト教世界内部の論理として自己完結しないように、他の宗教、特にイスラームの戦争理解や正義理解、および、日本における戦争・平和理解を参照軸として用います。
 日本の論壇では、一神教を独善性の象徴と見なし、多神教的思考にこそ世界平和の鍵があるという安直な主張がいまだに繰り返されています。こうした平板な文明論を批判的に克服していくために、多元的な文明理解のあり方を考えていきます。 また、近代日本が戦争への道を歩み始めたとき、そこには宗教および宗教政策が深く関与していました。グローバルな文脈の中で、日本の近現代史における問題点も掘り下げていきます。


<到達目標>
 学生が、現代世界における紛争、戦争、テロなどの問題を比較宗教学的な視点から考察し、異なる信仰や価値観を持つ者同士が、地域社会や国際社会において、いかに共存・共生していくかを考えるために必要な知識や認識を得ることを目的とします。


<授業計画>

第1週(10/01) 導入──なぜ人は戦うのか? RP01.pdf


第2週(10/08) 20〜21世紀における戦争の変遷──ヒロシマ、アウシュビッツの傷跡 RP02.pdf


第3週(10/15) 政治と宗教の関係──世俗主義と原理主義の衝突 RP03.pdf


第4週(10/22) 「正義」「暴力」「平和」の概念的整理 RP04.pdf


第5週(10/29) 絶対平和主義(1)──その歴史的展開 
RP05.pdf


第6週(11/05) 絶対平和主義(2)──非暴力を実践した人々 RP06.pdf


第7週(11/12) 仏教哲学と平和(特別講義・田辺寿一郎) RP07.pdf


第8週(11/19) 正戦論(1)──その歴史的経緯 RP08.pdf


第9週(12/03) 正戦論(2)──キリスト教とイスラームの視点から RP09.pdf


第10週(12/10) 聖戦論(1)──神々の戦い、十字軍、ジハード RP10.pdf


第11週(12/17) 聖戦論(2)──近代日本の場合 RP11.pdf


第12週(12/24) ※自主学習


第13週(01/07) 一神教と国際安全保障──世界は世俗化しているのか RP12.pdf


第14週(01/14) 政教分離───宗教の自由をめぐる国際的な論争 RP13.pdf


第15週 (01/21) 総括


<成績評価基準>
・平常点(出席) 30%
 10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等、不可避の事情があった場合には証明書を出していただければ考慮いたします。

・期末試験 70%
 授業で扱った内容の内、基本的な項目を出題します。


<参考文献>
小原克博・中田考・手島勲矢 『原理主義から世界の動きが見える──キリスト教・イスラーム・ユダヤ教の真実と虚像』 (PHP研究所、2006)
小原克博 『宗教のポリティクス──日本社会と一神教世界の邂逅』 (晃洋書房、2010)

その他、授業の中で適宜紹介します。