講義概要・シラバス

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キリスト教倫理「現代におけるキリスト教倫理の諸問題」

概 要

 現代社会における倫理的な諸問題を考察の対象としながら,キリスト教の基本理念に親しんでいくことが,このクラスの目標です。
 この授業はブレンディッド・ラーニングとして実施され、主体的に学びたい方のためのものです。この授業は、教室での対面授業8回、オンデマンド授業7回によって構成されています。詳しいことは初回の授業で説明します。下記「授業計画」において各オンデマンド授業に付されている日付は課題提出の締め切り日を示しています(教室での授業はありません)。都合のよい時間にオンデマンド動画で学習し、各回で示された課題を期日までにe-class(同志社大学のラーニング・マネージメント・システム)上に提出していただきます(各回とも月曜日12:00が締め切りです)。
 また、学びの成果を確認し、理解を深めるために教室での対面授業(ディスカッションを中心としたアクティブラーニング)を行います(新型コロナウィルスの影響による対面授業禁止期間中は、ウェブ会議システムのZOOMを使ってアクティブラーニングを行います)。この授業は、教室授業の回数が少なく、学習時間の自由度は高いですが、学習量は決して少なくありません。真剣に学びたい人のみ、履修するようにしてください。1週間に2回授業がある形になりますので、春学期の半分で授業は終了します。
 この授業では、現代世界における倫理的な課題を幅広く扱いながら、それらに対し、キリスト教神学がどのような応答をすることができるのかを共に考えていきます。科学技術の急速な発展は,わたしたちの生活に対し,これまでの時代では考えられなかった様々な便利さをもたらすようになりました。しかし,同時に従来の道徳観や倫理では簡単に判断できないような新たな問題も生じています。 たとえば,生殖技術の進歩によって,人類は革新的な方法で生命を制御するようになりましたが,同時に「人間とは何か」「生命とは何か」という古典的な問いが新たな装いで発せられています。新型出生前診断,ゲノム編集,中絶,終末期医療などに関する倫理的な課題が論じられていますが,キリスト教の人間観や倫理観はそれらの議論の質的向上にどのような貢献をすることができるのでしょうか。
 また,現代の社会生活の表層的な変化とは対照的に,長い間変わらず,社会に温存されてきた差別の問題を見過ごすこともできません。人種・民族による差別,性差による差別,同性愛など性的指向性による差別,身体的差異による差別などが生み出してきた苦悩を知ると共に,それらを克服する道を模索する必要があります。
 さらに,社会環境だけでなく自然環境に対する人間の責任が今日厳しく問われています。1960年代以降,環境破壊とキリスト教的な自然理解の因果関係も指摘されてきています。原発や自然エネルギーの扱いをめぐるエネルギー政策は,現代日本の喫緊の課題でもあります。気候変動(地球温暖化)はグローバルな課題ですが、十分な対応がなされているとは言えません。キリスト教は,自然と人間の新しい関係をどのように提起することができるでしょうか。
 このクラスでは,生命倫理・社会倫理・環境倫理などを縦断・統合する形で,新しい倫理の方向を模索しながら,その際用いられているキリスト教の基本的な考え方を丁寧に解説していきます。身近な素材からキリスト教神学の基礎を学ぶことを目指しています。


到達目標

 学生が現代社会における倫理的な諸問題を幅広く理解し,それを通じて,キリスト教の基本理念に親しんでいくことを目標としています。

 

授業計画

1(04/07) (教室 1)導入

 
2(04/13) (オンデマンド 1)キリスト教倫理とは

 
3(04/14) (教室2)アクティブラーニング

 
4(04/20) (オンデマンド 2)生命倫理の諸問題(1)

 
5(04/21) (教室 3)アクティブラーニング

 
6(04/27) (オンデマンド 3)生命倫理の諸問題(2)

 
7(04/28) (教室 4)アクティブラーニング

 
8(05/11) (オンデマンド 4)社会倫理の諸問題(1)

 
9(05/12) (教室 5)アクティブラーニング

 
10(05/18) (オンデマンド 5)社会倫理の諸問題(2)

 
11(05/19) (教室 6)アクティブラーニング

 
12(05/25) (オンデマンド 6)環境倫理の諸問題(1)

 
13(05/26) (教室7)アクティブラーニング

 
14(06/01) (オンデマンド 7)環境倫理の諸問題(2)

 
15(06/02) (教室 8)まとめ、期末試験

 

成績評価基準

・オンデマンド授業での課題提出(各回5%×7回) 35%
 課題において求められていることを的確に理解し、自分の意見をしっかりと表現してください。
・教室での対面授業への出席(各回5%×8回) 40%
 ディスカッションでの積極的な貢献を評価します。なお、10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等,不可避の事情があった場合には証明書を出していただければ考慮いたします。
・期末試験 25%
 授業で扱った内容の内、基本的な項目を出題します。

 

参考文献

神田健次編『講座 現代キリスト教倫理-第1 巻 生と死-』(日本基督教団出版局,1999)

教皇フランシスコ『回勅 ラウダート・シ-ともに暮らす家を大切に-』(カトリック中央協議会,2016)

※参考文献は,オンデマンド動画,教室授業の中で適宜紹介します。