世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1637信(2022.06.06)

  • 南オセチアはロシア編入の住民投票見合わせ=ガグロエフ「新大統領」決定
  • ウクライナ東部ドネツク州のスヴャトヒルシク大修道院の木造聖堂が6月4日炎上
  • 米国務省、世界の信教の自由に関する2021年版報告書発表
  • 教皇、新枢機卿21人を発表、8月に叙任式
  • 天安門事件33年追悼集会、今年も開催できず=香港
  • 《メディア展望》

 

◎南オセチアはロシア編入の住民投票見合わせ=ガグロエフ「新大統領」決定

 【CJC】旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)北部にある親ロシア派支配地域「南オセチア」が5月30日、ロシアへの編入の是非を問うために7月17日に行うとしていた住民投票に関し、ロシアとの協議が完了するまで実施を見合わせると発表した。「大統領」を自称するガグロエフ氏が決定した、と時事通信が31日報じた。
 南オセチアでは5月8日に「大統領選」の決選投票が行われ、ガグロエフ氏が勝利した。しかし、ガグロエフ氏の前任ビビロフ氏が退任前に住民投票の強行を発表していた。


◎ウクライナ東部ドネツク州のスヴャトヒルシク大修道院の木造聖堂が6月4日炎上

 【CJC】ウクライナ政府の支配地域、東部ドネツク州にあるスヴャトヒルシク大修道院の木造聖堂が、6月4日炎上した。
 米メデイアCNNが報じたウクライナ正教会の声明は、「戦闘の結果、大規模な火災が発生して炎が本堂を飲み込んだが、これまでのところ、死傷者は報告されていない」という。
 CNNなどによると、最初に建造された木造聖堂は16世紀にさかのぼるが、現在の建物は、16~17世紀のロシア木造建築の様式を使ってウクライナ独立後の2000年代に再建されたという。
 ウクライナのポドリャク大統領顧問は修道院に市民が避難していたことを公式トゥイッターで明かした上で、「何も神聖に思わないロシアの蛮行」という強い表現を使って非難した。
 ロシア政府は、今回の火災はウクライナ側によるものだと主張している。「ウクライナの民族主義者が6月4日、スヴャトヒルシクから撤退した際に木造聖堂に放火した」とするロシア国防省の発表を国営タス通信が伝えた。


◎米国務省、世界の信教の自由に関する2021年版報告書発表

 【CJC】米国務省は6月2日、世界の信教の自由に関する2021年版報告書を発表した。 報告書は、中国について
「政府が、国家や共産党の利益に対する脅威と見なす宗教の活動や自由を規制し続けている」とした。
 ワシントン発共同通信によると、ブリンケン国務長官は記者会見で、中国政府が17年以降、新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の少数民族ウイグル族など100万人以上を収容施設で拘束したと指摘し「ジェノサイド(民族大量虐殺)や抑圧を続けている」と非難した。


◎教皇、新枢機卿21人を発表、8月に叙任式

 【CJC】教皇フランシスコは、8月下旬に新枢機卿叙任のための枢機卿会議の開催を予告。21人の新枢機卿の名を5月29日発表した。バチカン・ニュースが報じた。
 教皇は、今年8月29日~30日に行われる、新使徒憲章「プレディカーテ・エヴァンジェリウム」について考察する会合に、すべての枢機卿を5月292日(日)の正午の祈りの集いで招いた。また、これに先立つ8月27日、新しい枢機卿の叙任式のため、枢機卿会議を開催する旨を告げた。
 そして、教皇は新しく枢機卿に任命された人々の名前を発表した。教皇フランシスコによる枢機卿任命は、今回で8回目。
 このたび任命された新枢機卿は21人。教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿は16人、投票権を持たない80歳以上の枢機卿は5人。
 80歳未満の新枢機卿16人のうち、教皇庁諸機関の責任者は3人。そして世界各地の教区(モンゴルは知牧区)から司教・知牧13人が選ばれた。これらの管轄区を大陸別で見ると、ヨーロッパ2、アジア5、アフリカ2、アメリカ4(北米1、南米3)となっている。
 また、80歳未満の新枢機卿16人を出身国の点から見ると、ヨーロッパ4人(イタリア2人、スペイン、英国各1人)、アジア5人(インド2人、韓国、東ティモール、シンガポール各1人)、アフリカ3人(アルジェリア、ナイジェリア、ガーナ)、アメリカ4人(ブラジル2人、米国、パラグアイ各1人)。
 一方、80歳以上の新枢機卿5人のうち、3人が現役を引退した司教、2人は司祭。出身別では、コロンビア1人、ベルギー1人、イタリア3人。
 現在、枢機卿の総数は208人、うち教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿は117人、投票権を持たない80歳以上の枢機卿は91人。8月27日の叙任式により、全枢機卿数は229人、そのうち80歳未満の枢機卿は132人に増える。叙任式後の全枢機卿団の大陸別構成は、ヨーロッパ107人(内80歳未満54人)、アメリカ60人(内80歳未満38人)、アジア30人(内80歳未満20人)、アフリカ27人(内80歳未満17人)、オセアニア5人(内80歳未満3人)となる。

≪参考/データ≫ ◎今回、教皇フランシスコによって新たに枢機卿に任命された人々は次の通り
(発表順、役職または司牧担当教区・出身国=バチカン・ニュース)。

80歳未満の新枢機卿

1.アーサー・ローチ大司教
(教皇庁典礼秘跡省長官・英国)

2.ラザロ兪興植(ユ・フンシク)大司教
(教皇庁聖職者省長官・韓国)

3.フェルナンド・ベルヘス・アルサガ大司教
(教皇庁バチカン市国委員会議長およびバチカン市国行政長官・スペイン)

4.ジャン-マルク・アベリーヌ大司教
(マルセイユ大司教区(フランス)・アルジェリア)

5.ピーター・エベレ・オクパレケ大司教
(エクウロビア大司教区(ナイジェリア)・ナイジェリア)

6.レオナルド・ウーリッヒ・シュタイナー大司教
(マナウス大司教区(ブラジル)、フランシスコ会・ブラジル)

7.フィリぺ・ネリ・アントニオ・セバスティアン・ド・ロザリオ・フェラオ大司教
(ゴア-ダマン大司教区(印)・インド)

8.ロバート・ウォルター・マッケロイ司教
(サンディエゴ教区(米)・米国)

9.ヴィルジリオ・ド・カルモ・ダ・シルバ大司教
(ディリ大司教区(東ティモール)・東ティモール)

10.オスカル・カントーニ司教
(コモ教区(伊)・イタリア)

11.アンソニー・プーラ大司教
(ハイデラバード大司教区(印)・インド)

12.パウロ・セザル・コスタ大司教
(ブラジリア大司教区(ブラジル)・ブラジル)

13.リチャード・クーイア・バーウォブル司教
(ワー教区(ガーナ)、アフリカ宣教会・ガーナ)

14.ウィリアム・ゴー・セン・シー大司教
(シンガポール大司教区・シンガポール)

15.アダルベルト・マルティネス・フロレス大司教
(アスンシオン大司教区(パラグアイ)・パラグアイ)

16.ジョルジョ・マレンゴ司教
(ウランバートル使徒座知牧区(モンゴル)、慰めの聖母宣教会・イタリア)

80歳以上の新枢機卿

1.ホルヘ・エンリケ・ヒメネス・カルバハル名誉大司教
(カルタヘナ大司教区(コロンビア)・コロンビア)

2.ルーカス・ファン・ローイ名誉大司教
(ゲント大司教区(ベルギー)、サレジオ会・ベルギー)

3.アリーゴ・ミリオ名誉大司教
(カリアリ大司教区(伊)・イタリア)

4.ジャンフランコ・ギルランダ神父
(教会法教授、イエズス会・イタリア)

5.フォルトゥナート・フレッツァ神父
(聖ペトロ大聖堂付司祭・イタリア)


◎天安門事件33年追悼集会、今年も開催できず=香港

 【CJC】中国政府による統制が強まる香港では6月4日、天安門事件から33年を迎えた今年も追悼集会の開催が封じられた。主催団体は国家安全維持法(国安法)に基づく取り締まりで昨年解散に追い込まれており、例年会場となってきたビクトリア公園は3日深夜から閉鎖となった。香港発時事通信が報じた。
 香港では事件翌年の1990年から毎年6月4日に追悼集会が実施されてきた。最後に公式な集会が行われた2019年には、主催者発表で18万人が集結した。ところが国安法施行直前の20年6月、当局は新型コロナウイルスを名目に追悼集会を禁じ、21年も同じ理由で開催を認めなかった。
 香港カトリック教会は先月、「国安法に抵触するリスク」を理由に、毎年行ってきた追悼ミサを取りやめると発表した。警察は今月2日、集会参加だけでなく「インターネット上の発言で集会を引き起こした場合も、犯罪となる可能性がある」と警告。4日は鉄柵で封鎖されたビクトリア公園周辺の警備が強化され、多数の警察官が巡回した。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(6月5日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼司教団=法務大臣に要請=日本を故郷と思う子どもと家族に一人でも多く在留特別許可を
▼教皇フランシスコ=人身取引との闘いには技術の責任ある活用を
▼ベルリン教区大司教=教会内の同性愛者差別にゆるし願う
▼地震、台風などの大規模災害に備え=緊急対応支援チーム「ERST」発足
▼青年たちが徒歩巡礼=東京=5教会巡り、祈り深める「MAGIS WALK」
 
 =KiriShin(6月1日)=https://www.kirishin.com
▼6月20日=世界難民の日=ワールド・ビジョン・ジャパンがサポーター1000人募集
▼元外務官僚の牧師が「維新」候補へ=オンラインで質問に応じる
▼池明観氏を偲ぶ追悼の集い=日韓の和解に多大な貢献
▼東アジアのリアル=政治的圧力とコロナ禍に翻弄される中国教会(ヴィクター・リー)
▼バチカン外務局長ギャラガー大司教=ウクライナを訪問
 
 =クリスチャン新聞(6月5日)=https://クリスチャン新聞.com
▼オデーサの住宅街が被弾=元日曜学校の生徒が戦死=船越真人ウクライナ宣教師現地報告
▼東アジアの平和のために神の国の正義と市民連帯を=追悼のつどいで池明観氏偲ぶ
▼関キ災懇談会=教会に求められる「弔いの宣教」=地域に役立つネットワーク作り考察
▼日本YMCA「ウクライナを覚えて平和を祈る会」=避難民支援で見えた困窮=誰一人取り残さない精神で
▼服部嘉明氏逝去=福音主義神学会創設などに尽力

月別の記事一覧