講義概要・シラバス

講義概要・シラバス

キリスト教倫理「現代におけるキリスト教倫理の諸問題」

概 要

 現代社会における倫理的な諸問題を考察の対象としながら、キリスト教の基本理念に親しんでいくことが、このクラスの目標です。
 科学技術の急速な発展は、わたしたちの生活に対し、これまでの時代では考えられなかった様々な便利さをもたらすようになりました。しかし、同時に従来の道徳観や倫理では簡単に判断できないような新たな問題も生じています。 たとえば、生殖技術の進歩によって、人類は革新的な方法で生命を制御するようになりましたが、同時に「人間とは何か」「生命とは何か」という古典的な問いが新たな装いで発せられています。出生前診断、遺伝子診断や遺伝子操作、中絶、ES細胞研究、終末期医療などに関する倫理的な課題が論じられていますが、キリスト教の人間観や倫理観はそれらの議論の質的向上にどのような貢献をすることができるのでしょうか。
 また、現代の社会生活の表層的な変化とは対照的に、長い間変わらず、社会に温存されてきた差別の問題を見過ごすこともできません。人種・民族による差別、性差による差別、同性愛など性的指向性による差別、身体的差異による差別などが生み出してきた苦悩を知ると共に、それらを克服する道を模索する必要があります。
 さらに、社会環境だけでなく自然環境に対する人間の責任が今日厳しく問われています。1960年代以降、環境破壊とキリスト教的な自然理解の因果関係も指摘されてきています。原発や自然エネルギーの扱いをめぐるエネルギー政策は、現代日本の喫緊の課題でもあります。キリスト教は、自然と人間の新しい関係をどのように提起することができるでしょうか。
 このクラスでは、生命倫理・社会倫理・環境倫理などを縦断・統合する形で、新しい倫理の方向を模索しながら、その際用いられているキリスト教の基本的な考え方を丁寧に解説していきます。身近な素材からキリスト教神学の基礎を学ぶことを目指しています。

到達目標

学生が現代社会における倫理的な諸問題を幅広く理解し、それを通じて、キリスト教の基本理念に親しんでいくことを目標としています。

授業計画

1(10/04) 導入 ☞ キリスト教倫理01.pdf

2(10/11) キリスト教倫理とは ☞ キリスト教倫理02.pdf

3(10/18) 生命倫理の諸問題(1) ☞ キリスト教倫理03.pdf

4(10/25) 生命倫理の諸問題(2) ☞ キリスト教倫理04.pdf

5(11/01) 生命倫理の諸問題(3) ☞ キリスト教倫理05.pdf

6(11/08) 生命倫理の諸問題(4) ☞ キリスト教倫理06.pdf

7(11/15) 社会倫理の諸問題(1) ☞ キリスト教倫理07.pdf

8(11/22) 社会倫理の諸問題(2) ☞ キリスト教倫理08.pdf


9(12/06) 社会倫理の諸問題(3) ☞ キリスト教倫理09.pdf


10(12/13) 環境倫理の諸問題(1) ☞ キリスト教倫理10.pdf


11(12/20) 環境倫理の諸問題(2) ☞ キリスト教倫理11.pdf


12(12/27) 環境倫理の諸問題(3) ☞ キリスト教倫理12.pdf


13(01/10) 環境倫理の諸問題(4) ☞ キリスト教倫理13.pdf

14(01/17) まとめ ☞ キリスト教倫理14.pdf

15(01/24) 総括(評価)

成績評価基準

  • 平常点(出席) 30%

 10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等、不可避の事情があった場合には証明書を出していただければ考慮いたします。

  • 期末試験 70%

 授業で扱った内容の内、基本的な項目を出題します。

参考文献

  • 神田健次編『講座現代キリスト教倫理-第1巻 生と死-』(日本基督教団出版局、1999)
  • 関根清三編『講座現代キリスト教倫理-第2巻 性と結婚-』(日本基督教団出版局、1999)
  • 宮谷宣史編『性の意味-キリスト教の視点から-』(新教出版社、1999)

 その他、クラスの中で適宜紹介します。


備考

E-mail: kkohara@mail.doshisha.ac.jp