講義概要・シラバス

講義概要・シラバス

日本宗教「日本文化の中の宗教──古代からグローバル時代に至る宗教のポリティクス」

概 要

 この授業では,日本宗教の成り立ちやその基本的な思想・世界観を学びます。その際,古代世界からグローバル世界までを時代背景として,日本宗教が文化や政治とどのような相互関係にあったのかを考えていきます。 
 この授業はブレンディッド・ラーニングとして実施され,主体的に学びたい方のためのものです。この授業は,オンデマンド授業8回,教室での対面授業5回,フィールドワーク2回によって構成されています。詳しいことは初回の授業で説明します。下記「授業計画」において各オンデマンド授業に付されている日付は課題提出の締め切り日を示しています(教室での授業はありません)。都合のよい時間にオンデマンド動画で学習し,リーディング・アサインメント(下記「授業計画」を参照)を完了した後,各回で示された課題を期日までにe-class(同志社大学のラーニング・マネージメント・システム)上に提出していただきます。 
 また,学びの成果を確認し,理解を深めるために教室での対面授業(ディスカッションを中心としたアクティブラーニング)を行います。フィールドワーク(現地集合・現地解散)は,実際の宗教施設において,その伝統(宗教建築・芸術を含む)や教えに触れることを目的としています。この授業は,教室授業の回数が少なく,学習時間の自由度は高いですが,学習量は決して少なくありません。真剣に学びたい人のみ,履修するようにしてください。 
 この授業では伝統的な日本宗教として,神道,仏教,儒教,道教などを取り上げます。仏教,儒教,道教は中国・朝鮮半島経由で日本に入ってきた外来宗教ですが,それ以前にあった日本の土着の伝統と相互に影響を及ぼし合いながら,日本宗教の多様性と一体性を形成してきました。また,古代世界の頃から,宗教は共同体や社会と深い関係を持っています。仏教が国教的役割を果たした時代もありました。宗教の教えの側面だけでなく,宗教のポリティクスについても,この授業では重点的に扱っていきます。 
 明治期以降,日本社会は欧米の視線を強く意識することになり,それは日本宗教にも大きな影響をもたらしました。キリシタン弾圧以降,キリスト教との再度の接触も,この時期に本格的に始まります。時代の変化の影響を受ける形で,多くの新宗教も誕生し,現代の日本宗教の重要な一部を占めるようになっています。この授業では,新旧の日本宗教を一国史の中で自閉的に語るのではなく,世界史的な比較の視点から展望していきます。 
 キリスト教をはじめとする一神教の伝統は,日本宗教とはかなり異なる性格を持っています。しかし,そうした一神教の歴史観や自然観をも視野に入れることによって,日本文化に根ざした歴史観や自然観を,より客観的に見ることができるようになります。この授業では,そうした比較宗教学視点を通じて,そもそも「宗教」とは何なのか,ということについても理解を深め,グローバル社会における日本宗教の語り方を考えていきます。 
 現代の日本社会は,あまり宗教的ではないと言われます。しかし,その一方で,霊魂やあの世(来世)の存在は当たり前のように受けとめられています。たとえば,日本の漫画やアニメには,しばしば日本の伝統的宗教観が反映されています。授業では漫画やアニメなども素材として利用していく予定です。


到達目標

 学生が日本宗教の成り立ちやその基本的な思想・世界観を理解し、また、日本宗教が文化や政治とどのような相互関係にあったかについて理解を深めていくことを目標としています。

授業計画

1(04/09) (教室1)導入 ☞ resume01.pdf

 

【日本宗教の形成と展開】
2(04/16) (オンデマンド 1)宗教の風景──日本宗教を概観する ☞ resume02.pdf

 

3(04/23) (オンデマンド 2)神々の世界(神道),仏教以前・仏教伝来 ☞ resume03.pdf

 

4(05/07) (フィールドワーク 1)上賀茂神社

 

5(05/14) (教室 2)アクティブラーニング

 

6(05/21) (オンデマンド 3)平安時代の宗教,鎌倉仏教  ☞ resume04.pdf

 

7(05/28) (オンデマンド 4)禅とその文化,近世の宗教 ☞ resume05.pdf

 

8(06/04) (フィールドワーク 2)西本願寺

 

9(06/11) (教室 3)アクティブラーニング
  
【近現代における日本宗教】

10(06/18) (オンデマンド 5)近代日本における政治と宗教 ☞ resume06.pdf

 
11(06/25) (オンデマンド 6)一神教と多神教,宗教の多元化と多元主義 ☞ resume07.pdf

 
12(07/02) (教室 4)アクティブラーニング

 

13(07/09) (オンデマンド 7)信仰の土着化とナショナリズム ☞ resume08.pdf

 
14(07/16) (オンデマンド 8)まとめ──現代社会における宗教の役割 ☞ resume09.pdf

 

15(07/23) (教室 5)アクティブラーニング,総括
 

成績評価基準

・オンデマンド授業での課題提出(各回5%×8回) 40%
 毎回の課題に誠実に取り組んでいるかを評価します。
・教室での対面授業,フィールドワークへの出席(各回5%×6回) 30%
 ディスカッションでの積極的な貢献を評価します。なお,10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等,不可避の事情があった場合には証明書を出していただければ考慮いたします。
・期末試験 30%
 授業で扱った内容の内,基本的な項目を出題します。

 

テキスト

小原克博 『ビジネス教養として知っておきたい 世界を読み解く「宗教」入門』 (日本実業出版社、2018年)
小原克博 『宗教のポリティクス-日本社会と一神教世界の邂逅-』 (晃洋書房、2010年)