KOHARA BLOG

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組織適合性学会で講演

 今日は、大阪の参天製薬本社で開催された日本組織適合性学会で講演をしてきました。講演題は「遺伝子解析をめぐる倫理的・歴史的・社会的課題」
 組織適合性学会というのは、かなり医学的専門性の高い学会ですが、目下の課題の一つは、HLA検査に遺伝子解析がからんできていることのようです。HLA検査は、移植におけるドナーとレシピエントとの適合性、HLA適合血小板輸血、輸血後GVH病の予防、各種疾患の診断の補助や親子鑑定などの際に実施されている、ということですが、詳しくは日本組織適合性学会のHPをご覧ください。
 わたしに与えられた課題は、遺伝子解析がはらむ倫理的な課題を論じることだったのですが、特に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省、経済産業省、2001年)を意識した内容となりました。
 学会終了後の懇親会で、かなり興味深い話を聞くことができました。医療現場の本音というか、実態のようなものをかいま見ることができました。
 一つは、先の三省合同指針が医療現場では意識されすぎるあまり、結果的に、形式主義的な(もっとはっきり言うと、自己防衛的な)倫理指針が病院では作られる傾向にあるということです。倫理的な考察が置き去りにされている現実を知ることができました。ただし、良心的な医師たちは、この問題を自覚はしています。
 もう一つは、遺伝子解析に関わる医療現場では、技術論が先行し、倫理的な問題に取り組むという体勢は、まだほとんどできていないということです。どの病院でも、インフォームド・コンセントや倫理指針を作成しなければならないのですが、どうしても医療の専門家を中心としたチームになりやすいのです。医療関係者以外の第三者がかかわったり、あるいは倫理委員会の議論自体を社会に対しオープンにしていく必要があるのではないか、と述べておきました。
 いずれにしても、普段接することのない専門性の高い医療関係者の方々と話をすることができ、わたし自身にとってもよい刺激となりました。

■組織適合性学会
https://square.umin.ac.jp/JSHI/index_j.html

■「遺伝子解析をめぐる倫理的・歴史的・社会的課題」
https://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/works.nsf/
626e6035eadbb4cd85256499006b15a6/210d7e37401ef23649256e33004e41b5?OpenDocument

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