KOHARA BLOG

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Schechter Institute; Shrine of the Book

 だんだんと余裕がなくなってきましたが、眠たい目をこすりながら、今日あったことを簡単に振り返ってみたいと思います。

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発表中の一こま

 朝9時から夕方5時半まで、Schechter Institute of Jewish Studiesで、みっちりと研鑽の時を過ごしました。このワークショップは、ユダヤ教・キリスト教・イスラームの三つのセッションで構成されており、わたしは、その中でキリスト教の部分を担当しました。
 飛行機の中で原稿やパワーポイントによるプレゼンを準備するというせっぱ詰まった有様でしたが、何とか無事に責任を果たすことができました。"War and Peace in Modern Japan: From the Christian Perspective"というタイトルの発表をしました。
 一部、2月の国際ワークショップで発表したものを流用したとはいえ、内村鑑三を軸にしながら、日本の近代史を英語で振り返るのは、わたしにとっては骨の折れることでした。
 ディスカッションは盛り上がりました。参加者のラビの中には従軍経験者もおり、イスラエルで絶対平和主義(Pacifism)を語ることは簡単ではないことが率直に吐露されたり、わたしが問題提起した「現代における偶像崇拝(Idoltary)」についてはユダヤ教においても関心が高いことが議論の中でわかりました。
 上の写真は、発表に入る前に、ちょっと笑いを取ろうと、最初にイスラエルを訪ねた15年前の小話をしているところです(右手にいるのが、わたし)。直前の発表でヘッシェルというユダヤ教研究者の啓示や預言者理解が話題になっていました。そこで、「わたしは15年前、シナイ山に登って神の声を聞くことができるかと思ったが、何もなかった、いや実は、沈黙によって(by silence)神の声を聞いたのだ」といった冗談を言ったところ、「そしたら、お前は預言者なんだ!」とタイミングよく突っ込みを入れてくれました。聖書的な冗談のやり取りをできるあたりは、ラビ的知性を感じさせられました。冗談を言っても、シーンとすると、ばつが悪いですが、ユーモアが通じて笑いで出ると、ほっとします。

 今日一日で、ユダヤ教についてはかなり理解を深めることができました。
 Schechter Instituteはconservative Jewに属しますが、イスラエルでは少数派になります。イスラエルではorthodox Jewが圧倒的多数を占めており、また、国からの財政的支援も受けているということを、今日初めて知りました。また、外国に赴任する外交官たちのユダヤ教教育の一部もこのInstituteが引き受けているそうです。それだけ、一般的にはユダヤ教についての理解が、イスラエルの中でも、十分ではないことを物語っています。
 もっとも、小学校の段階から、ずばり「聖書」という時間があって、イスラエル史を中心にみっちりと勉強はさせられているようなのですが。
 下の写真は、今日のワークショップに参加した人たちと、Instituteの前で取った記念写真です。

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参加者との記念写真

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死海写本館

 このあとすぐ、研究所のすぐ裏手にあるイスラエル博物館に行きました。その中でも目玉の「死海写本館」(Shrine of the Book)に行きました。1947年に死海のほとりのクムランの洞窟でベドウィンの少年が偶然に見つけた写本が、そもそもの始まりですが、ユダヤ教や初期キリスト教の時代状況を知る上で画期的な資料となりました。一大センセーションを起こし、20世紀最大の発見とも言われています。
 今回は、ラッキーなことに、死海写本の研究で有名なAdolfo Roitman氏(死海写本館館長)に、じきじきに解説をしてもらいながら、写本の数々を見ることができました。情熱的に、かつ、わかりやすくユーモアを交えて語る語り口に魅了されながら、死海写本のすごさを再認識させられました。


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分離壁

 さて、上の写真は夕景にうかぶ分離壁です。はっきりとは見えないかもしれませんが、地平線中央にある壁上のものがそれです。ホテルから撮った写真ですが、街の中心からすぐのところに分離壁があることがわかります。
 明日、分離壁を訪れ、分離壁建設の反対運動をしているユダヤ人団体の話も聞く予定です。

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