KOHARA BLOG

KOHARA BLOG

胎児超音波検査による出生前診断

 今晩は、京都民医連中央病院 倫理委員会がありました。
 今晩ようやく、今年初めから議論を重ねてきた「胎児超音波検査におけるNT (cuchal translucency)」の取り扱いに関するガイドライン」が完成しました。また、患者さん向けに配布予定の「出生前診断の考え方と妊娠時の超音波検査について」も承認されました。

 いずれも近いうちに全文公開されますので、関心ある方はぜひ、そちらをご覧ください。今後、国内における問題提起のために、関係諸機関にも周知していく予定です。
 NTは、5月20日の記事にも記しましたが、胎児の後頸部の皮下の液体貯留像の厚みによって、障がいの有無をおおざっぱに推測できるというもので、近年の高性能な超音波検査によって、こうした事実がわかるようになってきました。医師が、超音波検査の際にNTを発見した場合、それを積極的に告げるのか、告げないままにしておいた方がよいのか、が論点の一つです。
 告げた場合には、選択的中絶につながる可能性があります。そこで、安易な中絶を助長すべきではないという価値規範と、医療情報を開示すべきだという価値規範とが、ぶつかり合うことになるのです。

 この点について、今回できあがったガイドラインでは、ずばり、次のようになっています(一部抜粋)。
 「当院は選択的人工妊娠中絶、及びそれにつながる出生前診断に反対する。」
 「当院では超音波検査を、安全な妊娠・出産を可能にすることも目的として実施する。NTに関する画像情報はこの目的に添う情報でないため、当院ではNTの確認を行わない。また超音波検査中に偶然NTを認めた場合でもその事実を伝えない。」
 「妊婦がNTの測定を希望された場合にはまずカウンセリングを行い、その上でなお希望される場合にはNTを測定している他の医療機関を紹介する。」

 ここまで、はっきりとした結論に至るまで紆余曲折がありましたが、かなり明快なステートメントであると思います。
 もちろん、NTを肯定的に考える産婦人科医もいるでしょう。おそらく、国内ではNTに関するガイドライン作成は初めてだと思いますので、これを議論の端緒として、よりよい医療サービスが追求され、生命についてのより成熟した思索がなされていくことを期待したいと思っています。

月別の記事一覧