KOHARA BLOG

KOHARA BLOG

「ダ・ヴィンチ・コード」を読み解く(4)

 「ダ・ヴィンチ・コード」を批判する雑誌や本は世界中であまたと出ており、また、カトリック・プロテスタントを問わず保守系のキリスト教からの批判的メッセージも数え切れないほどあります。
 それらの論調はかなり似通っています。多くの批判者が頭に来ているのは、小説冒頭で「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」とダン・ブラウンが記している点です。そして、批判者の多くは、小説の各所にある事実誤認を指摘し、いかにそれが真実からほど遠いかを示そうとします。つまり、これほど事実に反する事項をたくさん有している本が、全体として正しいメッセージを発しているはずがないでしょう!ということを言わんとしているようです。

 確かに、私がはじめて読んだときも、首をかしげたくなるような箇所はいくつもありましたが、それで頭に来ることはありませんでした。日本の一般読者にとっては欧米で議論になっている点のほとんどは「???」でしょう。細部の事項について真偽判断をしたり、謎解きの続きをするのも結構ですが、やはり、もっと骨太な問題理解をしておいた方がよいと思います。

 では、多くの批判者がもっとも気にしているポイントとは何か。多くの批判者は「ダ・ヴィンチ・コード」をニューエイジ、あるいは現代のグノーシス主義として批判しています。こうした思想の蔓延を敵視していると言ってよいでしょう。
 この点について、後日あらためて触れたいと思います。

月別の記事一覧