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コルモス研究会

 12月26~27日、京都国際ホテルで開催されたコルモス研究会(現代における宗教の役割研究会)に参加しました。毎年、この時期に行われ、伝統宗教や新宗教など幅広い層の宗教研究者や各教団の代表者が集まります。
 今年のテーマは「ファミリズムの再構築――宗教から家族を問い直す」。基調講演では、土屋 博氏(北大名誉教授)と落合恵美子氏(京大教授)が話しをしてくれました。
 落合先生は「家と先祖祭祀――歴史人口学の成果から」というテーマで話してくれたのですが、統計データに基づいた歴史人口学の見地から、宗教学の常識的な認識を小気味よく揺さぶってくれたので、非常におもしろかったです。

 議論の争点の一つになったのが先祖祭祀。一般的、古くからあるように思われていますが、単系的な先祖の系譜を崇拝の対象とするようになったのは江戸後期以降だということがわかりました。それ以前から、連盟と続いてきたかのように考えるのは歴史学的には裏付けられず、むしろある種のイデオロギーであるとさえ言えます。
 もちろん、記憶に新しい故人を弔うといった形での素朴な死者儀礼は、ネアンデルタール人の時代から存在しています。
 日本宗教は祖先祭祀を重視している、といった言い方がよくなされますが、かなり時代を限定して考える必要があるということが、今回、よくわかりました。

 あと、家族とは何か、という問いについては議論が煮詰まりませんでした。司会者の方が、あるべき家族像とは、という問題の立て方をされたので、私は最初に、あるべき姿は決して一様ではあり得ないし、むしろ、望ましいイメージが多様化している現実からスタートすべきだと主張し、一例として、アメリカにおける同性婚をめぐる議論をとりあげました。

 コルモスは、西本願寺の門主・大谷光真氏も常連さんで、普段、あまり接触する機会のない人と会えるのが魅力の一つです。
 今回は、古屋安雄先生(ICU名誉教授、聖学院大学教授)とかなりの時間、話すことができたので楽しかったです。古屋先生は「宗教の神学」の分野でも先駆け的な存在ですが、私と問題意識を共有する部分が多く、楽しい会話を交わすことができました。
 古屋先生は80歳くらいだと思いますが、信じられないくらいに元気です。古屋先生の悩みは「なかなか死ねないこと」だそうです。何とも贅沢な悩みです。

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