KOHARA BLOG

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本願寺国際センターゼミナール

 今日は、本願寺国際センターで「キリスト教における対世俗の姿勢」というタイトルの講演をしてきました。本願寺国際センターゼミナールは毎年、全体テーマが変わるのですが、今年は「真俗二諦の諸相-宗教的真理と世俗」というテーマが設定されており、その文脈の中で話しをしました。

 ずばり言うと、真俗二諦がテーマです。真諦と俗諦は、出世間の法と世間の法、仏法と王法の区別として理解されていますが、両者をどのように関係づけるかが浄土真宗の歴史の中で繰り返し問われてきました。
 ところが、最大の問題は真俗二諦の考えが、本願寺の戦時教学の中に組み込まれ、結果的に戦争協力を正当化した点にあります。したがって、現在の本願寺の中では、真俗二諦を忌むべき概念として拒絶する傾向があります。

 私の今日の講演では、真俗二諦をめぐるテーマを私的領域と公的領域の区別、政教分離などと結びつけ、どの宗教にも多かれ少なかれ見られる普遍的な課題であることを述べました。
 近代日本のキリスト教においても、国家との関係は言うまでもなく緊張をはらんだ大きな課題でした。
 そして結論の一つとして私が述べたのは、現在、本願寺がやろうとしているように真俗二諦の語を使用禁止にしても、問題解決にはならないこと、むしろ、歴史の刻印を受けたその概念としっかりと向き合うことが大切ではないか、ということでした。
 本願寺の本流の決議に反する挑発的な物言いであったかもしれませんが、本願寺の外部に立つ者として、率直な意見を述べた次第です。
 聴衆の方々は遠方からの方も多く、熱心に聞いてくださっていましたので、一定の役割は果たせたかな、と思っています。
 ま、しかし、中には「この若造が、なにをエラそうなこといっとるんじゃー」と思っている人も、きっといることでしょう。(^_^;)

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