小原On-Line

中国の近代化と宗教

 2月4日に以下のような講演会があり、参加してきました。講演者の Yang 先生は何かと私に声をかけてくれる、とても親切な方です。

"Sovereignty And Disenchantment: Postcoloniality, Religiosity, And Modernity In China"
Prof. Mayfair Yang

Religious Studies & East Asian Languages & Cultural Studies Departments, UC Santa Barbara

In the long twentieth century, modern China experienced perhaps the world's most radical and systematic secularization process and the decimation of traditional religious and ritual cultures, both intangible and material cultures. This paper seeks to account for this experience by engaging with postcolonial theory, a body of discourse seldom found relevant to China Studies. The paper attempts a two-pronged critique of both state secularization and some aspects of existing postcolonial studies/theory.

 中国の近代化は、急激な世俗化をともなっており、日本の近代化プロセスと比較するとおもしろい点がいくつもあります。
 しかし、日本と同様、宗教を管理するために、「宗教」と「迷信」の二分法的な管理を行い、迷信的と思われるものに対しては、かなり否定的な態度を取ってきたようです。基本的には、これは現代の中国にまで引き継がれています。

 質疑応答の時間において私は次の二つの質問をしました。
1)中国の近現代史における「宗教」概念の変遷について
2)現代の中国における「宗教の自由」について

1)については、私は質問の中で、日本が religion に対応する言葉として「宗教」を再定義したことを説明し、今日、「宗教」は必ずしも普遍的な概念とは言えず、むしろ、それがプロテスタント的な概念であることが指摘されているが、中国の場合、どのような概念上の変遷があったのか、ということを尋ねました。
 中国語における「宗教」概念は、日本から輸入されました。したがって、中国語の「宗教」は日本語の「宗教」とかなり似た意味を持っているようです。先にも述べたように、「宗教」と「迷信」の二分法がよく用いられてきたこと、それがプロテスタントに由来することを述べておられました。カトリックの聖人信仰などをプロテスタントは「迷信」と呼んだ、との説明がありました。
 もちろん、こうした歴史的事実はあるのですが、私は再度のコメントの中で、「宗教」と「迷信」という用語法は宗教改革時代にもあるが、ローマ時代にまでさかのぼること、特に、キケロが明確にそれを用いていることを付け加えておきました。

2)については、現代の中国における深刻な問題だが、「宗教の自由」は十分ではないとの返答でした。エピソードとして、中国の国家宗教事務局を訪ねた際のやり取りを紹介してくれました。公認宗教以外への対応を聞いたところ、「迷信」をまともに相手にする必要はないと返事をされたとのことでした。

 講演の中では、ポストコロニアリズムなど盛りだくさんのテーマが扱われていました。
 中国の宗教について関心のある方には、Yang 先生が編集している次の本をお薦めしておきたいと思います。

Mayfair Mei-Hui Yang ed., Chinese Religiosities: Afflictions of Modernity and State Formation.

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このページは、小原克博が2010年2月 6日 22:03に書いたブログ記事です。

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