KOHARA BLOG

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国際シンポジウム「対話を通じての平和構築」(2日目)

 シンポジウム終了後、続く数日、忙しくて報告が遅れてしまいました。二日目は、具体的な事例や提案などをともないながら、サウジアラビアと日本をベースとした平和構築の可能性が模索されました。
 サミール先生からは日本宗教、特に神道とイスラームとの親近性が紹介され、また、黒住教の副教主の黒住宗道氏からは多神教的でもあり、一神教的でもある黒住教についての紹介がありました。黒住教は、太陽神・天照大神への信仰を重視しています。今回、黒住氏とかなり密に話をすることができたのも、私にとっては大きな収穫でした。
 黒住教は、19世紀前半に設立した日本の新宗教の中でも最古のものです。後に教派神道の中に分類されますが、多くの神道の流れが国家神道に統合されていく中で、それ以前の神道の姿を今に至るまで保持しているという特質を持っています。岡山が本部ですが、いずれお訪ねしたいと強く感じました。
 サウジアラビアからの方々の多くは日本宗教についての知識が十分ではありませんので、断片的とはいえ、日本宗教についての紹介の機会があったのは、とてもよかったと思います。

 私は最終セッションで、再度、話をしましたが、以下の五つのポイントを今後の課題として提示しました。
1)サウジアラビアと日本とのユニークな関係に基づいたユニークな対話を構築する。
2)両国の共通基盤としての平和への希求を具現化していく。
3)自己批評を含む学問的な蓄積を重視する。
4)平和と対話を促進するための教育プログラムを考える。

 今回のシンポジウムは、土曜日と日曜日にかけて行われましたが、私にとっては金曜日の授業終了後に東京に駆けつけ、日曜日の夜帰宅し、月曜日の1時間目から授業があったため、かなり疲労困憊した数日となりました。
 しかし、サウジアラビアの側からは非常に強い関心を日本およびCISMORに向けてくれていますので、今後もこの関係を維持し、少しずつでも発展させていくことができればと考えています。
 今回のシンポジウムの全体がサウジ・テレビなどのメディアによって収録されています。私もインタビューを受けました。同志社やCISMORのことがアラビア語圏に広く伝えられるという意味でも、苦労した甲斐があったように思います。

 以下に、シンポジウム全体のスケジュールをつけておきます。

国際シンポジウム「対話を通じての平和構築」
日程: 2011年11月19日(土)・20日(日)
場所: アラブ イスラーム学院 東京都港区元麻布3-4-18

■11月19日(土)
09:30- 受付開始
10:00-10:30 開会式 アブドゥルムフセン・アルスミーフ
(イマーム大学 現代イスラーム研究・文明間対話センター長)
  アブドゥルアジーズ・トルキスターニ(駐日サウジアラビア王国特命全権大使)
  スライマーン・アバルハイリ(イマーム大学 学長)
  鳩山 由紀夫(元日本国総理大臣、民主党 最高顧問)

セッション1 「宗教間対話の重要性について―平和構築へ向けたアブドゥッラー国王のイニシアチブ」
10:30-12:00 議長: アブドゥルムフセン・アルスミーフ
(イマーム大学 現代イスラーム研究・文明間対話センター長)
 講師: ファハド・アルスルターン
(アブドゥルアズィーズ国王 国民対話センター 事務局次長)
 講師: 小原 克博 (同志社大学 一神教学際研究センター長)
 昼食・休憩

セッション2 「平和とは?その目的・アプリケーションと実践の方法」
13:30-15:00 議長: 有見 次郎(日本ムスリム協会 副会長)
 講師: 眞田 芳憲((財)世界宗教者平和会議日本委員会 平和研究所 所長/中央大学名誉教授)
 講師: イサーク・アルガームディ(イマーム大学 文化学部 イスラーム法学科 准教授)
 論評: 塩尻 宏(財団法人中東調査会 常任理事)
 論評: サウード・アルアキール(イマーム大学アフサ校 イスラーム法学部 学部長)
 休憩

セッション3 「平和構築に向けたサウジアラビアと日本の役割」
15:30-17:00 議長: イサム・ブカーリ(サウジアラビア王国大使館 文化部 文化アタッシェ)
 講師: イブラヒーム・アルメイマン(イマーム大学 高等司法研究所)
 講師: 片倉 邦雄(元駐エジプト・UAE・イラク大使)
 論評: アブドゥルアジーズ・アルホレイル(イマーム大学 科学技術学部 学部長)
 論評: 会田 弘継(共同通信社 編集委員室長)

■11月20日(日)
09:30- 受付開始
セッション4 「平和構築のためのサウジアラビアと日本の共通理念の役割」
10:00-11:30 議長: イブラヒーム・アルメイマン(イマーム大学 高等司法研究所)
 講師: ハーリド・アルグレイシィ(サウジアラビア王国 教育省)
 講師: サミール・ヌーフ(CISMOR幹事、同志社大学高等研究教育機構 教授)
 論評: アブドゥッラー・アルラビーゥ(イマーム大学 社会科学部 教授)
 論評: 森 伸生(拓殖大学イスラーム研究所 所長・教授)
 休憩

セッション5 「宗教対話による平和構築―イスラームと日本の文化的視点からの提案」
11:45-12:45 議長: 奥田 敦(慶應義塾大学 教授)
 講師: 黒住 宗道(WCRP日本委員会評議員/黒住教副教主)
 講師: アブドゥッラー・アルルハイダーン(サウジアラビア王国 イスラーム省)
 昼食・休憩

セッション6 「対話を通してサウジアラビアと日本の視点から提案する平和構築への道」
14:00-16:00 議長: ムハンマド・アルアラム(イマーム大学 海外分校部長)
 講師: アンワル・エシギ (中東戦略・法学研究所 所長)
 講師: 渥美 堅持((財) 昭和経済研究所アラブ調査室室長・東京国際大学 名誉教授)
 論評: イブラヒーム・アルゼード(イマーム大学 アラビア語学部 准教授)
 論評: 最首 公司(日本アラブ協会 理事・季刊「アラブ」編集員)

最終セッション 
16:00-16:30 講師: アブドゥルムフセン・アルスミーフ
(イマーム大学 現代イスラーム研究・文明間対話センター長)
 講師: 小原 克博 (同志社大学 一神教学際研究センター長)

16:30- 開会式・記念品贈呈

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