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W・リーネマン「原子力エネルギーと被造物の責任」

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 1月24日、神学部主催の講演会が開催されました。ヴォルフガング・リーネマン教授(ベルン大学神学部名誉教授)が「原子力エネルギーと被造物の責任──キリスト教神学の立場から」と題して講演をされました。
 スイス、ドイツにおける歴史的取り組みを紹介し、その中でキリスト教界における取り組みについても言及されました。どちらかと言うと、一般的なエネルギー政策の話の方が多かったです。
 講演の中心的主張は以下のようにまとめられると思います(配布のレジュメより)。

被造物への責任は、人間による共生被造物や共生世界の保護を意味する。それと共に、人間の共生被造物や共生世界との関係における自己抑制をも意味する。人間の力や介入は制限されなければならない。そのためのもっとも重要な社会手段は法律である。法律はそもそも市民の行動指針となる道徳的・宗教的信念を必要としている。

 スイスとドイツが積極的に脱原発へと向かい、また、そこに教会が一定の役割を果たしたこともよくわかりました。
 こうした話を聞きながら私が感じた最大の問題は、スイスやドイツは世界の中では例外的であって、原発を維持・推進しようとしている圧倒的多数の国々に対して、どのような影響を及ぼすことができるか、という点です。現時点でマイノリティとしての脱原発の主張を、国際社会に説得力をもって語りかけるための政策的かつ倫理的な論理の構築が求められているように思います。

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