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大谷光真氏(本願寺門主)をお招きして(宗教倫理学会研究会)

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 7月21日(金)、浄土真宗本願寺派の門主・大谷光真氏を講師としてお招きし、宗教倫理学会の研究会をもちました(会場はキャンパスプラザ京都)。
 私は研究プロジェクト委員長という立場なので、毎回、司会進行を務めています。「3.11以降の社会と宗教」が今年度のテーマですが、ご門主は「社会の危機に際して、できること──教団、信者、市民」というテーマで話をしてくださいました。

 最初に、本願寺の門主として本願寺の公式な見解を表明するのではなく、大谷光真という私人の「つぶやき」として聞いて欲しい、という前置きをされ、本願寺の震災支援の取り組みの一端を紹介してくださいました。阪神大震災の時と比べると、宗教による救援活動に対するマスコミの報道が好意的になったとの印象を語っておられました。
 宗教団体は宗教的活動に本来集中すべきであるが、困っている人を見捨てるわけにはいかない。困っている人は、被災地に限らず、日本中、世界中にいるが、まずは近いところから始めるしかない、と語られる中で、宗教が責任を持つべき範囲をめぐる葛藤にも触れてくださっていました。こうした課題は、濃尾大震災(岐阜、1891年)にもあったそうで、当時の本願寺の巨人・島地黙雷も、ありきたりの震災支援に対して批判的見解を述べていたとのことでした。島地は、浄土真宗の教えを伝えることによってこそ、救援活動をすべきだと考えていたとのこと。
 原発問題についても、ご門主は見解を披露していました。1988年に読売新聞から受けたインタビューで「人間が制御できないものをいじり出した」と原発を批判。その後、特別なことをしてきたわけではないが、と断りつつ、基本的な考え方に変更はない、と明言されていました。

 普段は20名強くらいの研究会なのですが、今日は何と107名の参加者。本願寺関係の方が多数参加してくださいました。最初の会場では人が入り切れなくなり、20名以上の方々が立ち見。このままさらに一時間、立ちっぱなしで我慢してもらうのは、あまりにも気の毒に思い、急遽、新しい会場を探し、大講義室の方に移動することにしました。
 1時間の話をいただいた後、新たな会場で質疑応答の時間を持ちました。ご門主に直接質問できる機会はめったにありませんので、特に本願寺関係の方々から、よく手があがっていました。私は司会ではあったものの、ご門主や会場から質問を向けられ、それに答えるという場面もありました。仏教の視点と、それ以外の宗教、たとえばイスラームやキリスト教の視点を比較しながら、課題を多角的に見ていくことは大切なことだと、あらためて感じました。 

 昨年12月にお会いした折に、私がかなり無理を言って、ご門主にお願いをして、今回の研究会の実現にこぎ着けた次第です。私の強引なお願いを引き受けてくださったご門主の寛大さに、あらためて感謝!

 写真を以下にアップしています。


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