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小川原 正道『日本の戦争と宗教 1899-1945』(講談社メチエ)

 書評(共同通信)を書くために、最近、一気に読んだ本を紹介します。私の関心分野でもあるので、書評の有無にかかわらず、読むつもりではありましたが、満足いく読後感でした。小河原氏の前著『近代日本の戦争と宗教』(2010年)もよかったので、続編となるこの『日本の戦争と宗教 1899-1945』を心待ちにしていました。
 この時代における戦争と宗教の関係の大きな流れについては把握しているつもりですが、当時を彷彿とさせる貴重な第一次資料が随所に散りばめられており、あらためて考えさせられ課題が多くありました。
 仏教各派のことも出てきますが、やはり最大手の本願寺の動向に関して多くのページが割かれています。キリスト教の戦争協力についても丁寧に触れられており、キリスト教学校が事例としてあげられています。同志社、上智、立教での諸事件についても言及されています。また、数はきわめて少なかったとはいえ、仏教およびキリスト教における反戦(非戦)運動についても紹介されています。
 海外神社をはじめ、満州事変以降の大東亜共栄圏における各宗教による宣撫工作についても、今の時代であればこそ、知っておかなければならないことが多数記されているように思いました。
 共同通信には何度か書評を書いているのですが、締め切りまでの期間が、おおむね2週間と短く、依頼された本を読んでいない場合には、かなりタイトな仕事となります。数ヶ月前にも書評を依頼されたのですが、そのときは、本を読む余裕すらなく、あっさりとお断りしました。その罪滅ぼしにと、今回はお引き受けしたのですが、歴史的裏付けのしっかりとした、よい本でしたので、おすすめする次第です。

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