KOHARA BLOG

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ムスリム世界における民主化プロセスをめぐるパネル・ディスカッション

20140310a.jpg 10日にはトルコ・オンサイト実習の最後のプログラムとして、"Democratization Process in the Muslim World: Expectations and Apprehensions of Muslims"というテーマのパネルディスカッションを、イスタンブールのメディア関係者を招いて行いました。私は司会を務め、二人のトルコ人研究者による講演のあと、同志社サイドから3名がコメントを加えました。また、参加学生たちに対する補足説明を内藤先生がしてくださいました。
 講演者は、トルコの政治情勢の歴史的背景や現状について話し、特に、今、政権政党であるAKP(イスラーム政党)との対立が目立ってきたヒズメット運動についても言及されました。
 ヒズメット運動(ギュレン運動)はイスラーム主義をかかげる草の根運動で、思想的にはAKPとの類似点も多く、実際、過去の選挙ではAKPを応援してきたのですが、最近、汚職などをめぐり対立が激化しています。
 3月末に選挙があるため、町中が選挙ムードになっています。あちこちに、AKPやその他の政党の旗がはりめぐされており、これは日本では見ることのできない光景です。
 このパネル・ディスカッションのキーワードの一つは「世俗主義」。国(政党)によって、また、時代によって、その理解の仕方が異なるため、注意が必要な概念です。世俗主義や政教分離にともなう政治情勢の複雑さを丁寧に読み解いていく必要をあらためて感じさせられた時間となりました。

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