小原On-Line

書籍・雑誌の最近のブログ記事

 以前、編集協力した雑誌 Pen のキリスト教美術特集が本となったものが編集部より送られてきました。
 非常に立派になっており、見応え、読み応えがあります。パラパラとめくっているだけでも、キリスト教美術の魅力に引き込まれていきますし、きちんとした解説文があるので、読むことによってキリスト教の基本知識を身につけることができそうです。
 内容紹介に次のように記されていますが、まさにそのとおり。買って損のない本であると思います。

西洋絵画を鑑賞したとき、あるいはヨーロッパの美術館や教会を訪れたとき、
こんなふうに思ったことはないだろうか。
「キリスト教のことを知っていたら、もっと理解が深まるはずなのに......」

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 11月5日(土)、日本クリスチャン・アカデミー 関西セミナーハウス活動センター主催の講演会に出席してきました。講師の関根清三先生(東京大学 教授)が「いのちについて──キリスト教倫理と一般倫理のはざまから」というテーマで話をしてくださいました。
 旧約聖書(特に創世記)の釈義から、西田幾多郎などの哲学思想を交え、また、新約聖書からイエスの思想的特徴を抽出するなど、非常に幅広い角度から、いのちの問題について問題提起をしてくださいました。
 「あなたがたも聞いているとおり、『隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。」
(「マタイによる福音書」5:43-45)をベースにしながら、「イエスの生前の思想の中心はアガペーと神の支配の思想であって、贖罪思想ではなかった」と論を展開していくあたりは、挑発的でありながら、納得のいくものでした。
 キリスト教を「デコード」することによって、より普遍的で開かれた議論へとつなげていきたい、という趣旨を講演全体の中で感じ取ることができました。
 旧約聖書学と倫理学の両方を専門とする両刀使いは、きわめて貴重です。聖書学それ自体も、もちろん興味深い分野ですが、それが他の分野や社会的関心とどのようにつながっていくのかを、関根先生ほど雄弁に語れる人は、なかなかいないでしょう。
 関根先生の近著は『ギリシア・ヘブライの倫理思想』(東京大学出版会)。お薦めです。

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 内容の詳細については、新教出版社の下記紹介ページをご覧ください。


 私は「原発問題の神学的課題」というタイトルで寄稿しています。かなり多彩な文章が収められていますが、十分、議論の出発点になると思います。
 関心ある方は、ぜひご一読ください。こうした本を手がかりにしながら、今後、よりしっかりとした議論と思索を積み上げていきたいと願っています。

 台風による強風で、キウイの棚が崩壊しました。プラスチック製だったのですが、前回の台風でひび割れており、今回の台風で支柱が折れてしまいました。キウイを棚から外し、杭を打ち込んで、かなりいいかげんな応急処置のみしました。
 今は仕事がたまり、用事が詰まっているため、棚の再構築はしばらく先延ばしですが、写真付きで後日、報告したいと思います。


 京都・宗教系大学院連合(K-GURS)のチェーン・レクチャーの第5回目として佐々木 閑先生(花園大学)により「宗教教団の暴力性──オウム真理教」と題して、話をしていただきました。
 若い学生にとっては、オウムの一連の事件は幼い頃の記憶の彼方にありますので、佐々木先生が時系列的に詳細な説明をしてくださったのは、とてもよかったと思います。
 今回、オウムの特殊性を「律」をもった仏教との比較の中で際立たせていったのが、とても刺激的でした。日本仏教は「律」を持っていないので、オウムとの比較をしても意味がないとのこと。ほとんどの仏教が「律」を教団(サンガ)の要としてきたのに対し、それを持たない日本仏教はかなり特殊な存在であると言えます。
 仏教という組織を2500年にわたって維持してきた、まさにマネージメントの基盤に「律」があります。それによって、暴力の抑止(不殺生戒)もなされます。
 日本仏教の場合、そうした原則を持たないため、状況次第では暴力が許容されることになります。佐々木先生があげられていた例として、禅堂において師が弟子に体罰を加えることが正当化されたり、比叡山の僧兵や、戦時下における日本仏教界の戦争協力などがありました。いずれも「律」のもとでは厳しく戒められていることです。

 アジアのほとんどの仏教は「律」を持っていますので、絶対的に禁酒です。ところが、お坊さんがお酒を飲むことはごく普通の光景です。国際会議などで、日本の僧侶がビールで乾杯しているのを見て、他の国の僧侶たちが驚愕するのも、「律」の有無に関係しているようです。

 佐々木先生からサイン入りで近著『「律」に学ぶ生き方の智慧』をいただきました。今日の講義の多くのテーマをカバーしているようで、これから読むのが楽しみです。お薦めします。

 最近出たばかりの黒木 登志夫『知的文章とプレゼンテーション──日本語の場合、英語の場合』(中公新書)を読みました。この手の本は、個人的な関心があるだけでなく、学生に薦めることができるかどうかチェックするために、比較的幅広く読んできました。
 著者は、高名な、がん研究者。40年にわたる論文執筆等の経験や英語への取り組みをまとめていますので、こうした先達が伝えるエッセンスには耳を傾けるべきものがあります。

 日本で当然と思われている理系・文系の区別は国際社会ではほとんど意味をなさず、論理的な思考をし、説得的な文章を書くためには、理系・文系の区別など基本的に関係ない、という主張から始まっています。
 著者があげる知的三原則とは「簡潔・明解・論理的」。当たり前と思うかもしれませんが、日本の学術界でも、なかなかこの原則が守られてはいません。
 著者の主張だけでなく、それぞれのテーマに関して、様々な人の意見を紹介してくれているのも、この本の魅力の一つでしょう。私が学生によく紹介する、村上春樹のマラソンと文章執筆の関係についても言及されていました。小説家にとって重要なのは才能のほかに、集中力と持続力。そして、集中力と持続力は、才能と違って、後天的に獲得できる、ということです。
 研究費の審査の部分などは、学生や一般の方にはピンと来ないかもしれません。また、プレゼンテーションについては、それだけで独立した良書がたくさんありますので、この部分は、人によっては、まったく物足りないでしょう。
 しかし、全体的には、学部学生から、知的文章を書きたいと願う一般の方々まで、考えるべき内容を提示してくれる良書だと思います。
 理系と文系の本質的な違いはないと著者は主張しつつも、次の一文は人文系学者に対し、今さらながらの課題を突きつけてくれています。

 「彼ら(人文・社会科学系の学者)の多くは、普遍語というご主人様(注:英語のこと)を無視して、いまだ日本語の世界で生きている。このため、わが国のこの分野の科学は、言語的に孤立し、世界から認知されることが少ない。」

 人文・社会科学系の学者さんたち、がんばりましょう!

 吉岡 斉『原発と日本の未来──原子力は温暖化対策の切り札か』(岩波ブックレット)を読みました。
 東日本大震災の直前に出版されたものです。63ページという薄い本なので一気に読むことができますが、考えさせられる重要なデータや論理がたくさん詰まっており、読み応えがありました。
 今回の原発での事故は、日本だけでなく世界のエネルギー政策に見直しを促すことになりましたが、議論の出発点として、おすすめできる本です。
 なお、副題にある「原子力は温暖化対策の切り札か」という疑問への答えは、本書によれば、No です。そうした主張が説得力をもて展開されています。


 「頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム」のヒアリング審査を終えました。かなりシャープな質問が矢継ぎ早に投げかけられましたが、何とか冷静に答えることができたと思います。これで、やるべきことはすべてやりましたので、あとは結果を待つだけです。

 ヒアリング終了後、昔の教え子で、現在、上智大学の大学院生である Alec LeMay と上智大学前で会い、食事を共にしました。彼は博士論文に取り組んでいるのですが、いろいろ悩みを抱えており、相談に乗りました。日本社会におけるカトリック移民の研究をしています。

 さて、話題は変わりますが、Amazon に著者セントラルという新しいサービスができました。早速簡単なものを作ってみました。著者紹介や著作一覧を見ることができるようになっています。動画もアップできるようなのですが、今、その余裕がありませんので、動画は少し先送りです。編著や訳書など、「著者」として名前が載っていない本は、この一覧には載せることができないようです。
 特別、目新しい情報が載っているわけではありませんが、こうしたサービスが拡充してくると、本探しには役に立つと思います。

■ Amazon.co.jp: 小原克博 作品一覧、著者略歴

manabu201008.jpg 「現実的脅威の中で、どのように平和主義・平和憲法を貫いていくのか」(『まなぶ』(労働大学出版センター)増刊号「日米安保50年、これから」)を追加しました。
 「日米安保50年」を特集した増刊号ですが、私は安全保障の専門家ではありませんので、そのあたりはあまり触れず、平和主義の理念と現実の葛藤やすり合わせの部分に焦点を絞っています。
 編集部に、高校生でもわかるくらいにやさしく書いて欲しいと注文されましたので、読みやすい文体にはなっていると思いますが、内容的に本当にわかりやすいかどうかは、あまり自信がありません。
 上記テーマに関心ある方は、ぜひご一読ください。

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 Amazon で、拙著『宗教のポリティクス』の「なか見!検索」ができるようになりました。
 本を購入する際、目次や内容の一部が読めると、安心感があるので、私は「なか見!検索」をよく使います。
 一冊 Amazon に献本すれば、Amazon がスキャンして「なか見!検索」ができるようにしてくれます。
 まだ購入されていない方で、関心のある方は、一度「なか見!検索」をお試しください。

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