小原On-Line

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20100605_1.jpg 「読むことの昔と今──電子書籍の衝撃」(『京都新聞』2010年6月1日、夕刊)を追加しました。
 日本でも5月末に iPad が発売され、電子書籍についての議論が本格的に始まってきましたので、比較的タイムリーな記事ではないかと思います。
 もちろん、日本では Kindle や iBooks 対応書籍が存在していませんので、アメリカと比べるなら、まだ電子書籍は身近ではないかもしれません。しかし、これからの一年で事情はかなり変化してくるだろうと推測しています。

  Kindle や iBooks 対応書籍はないのですが、日本語の本を読むことのできるアプリはすでに登場しています。私が一番よく使っているのは、i 文庫 HD という青空文庫を読むリーダーです(右写真)。インストールすると、最初から何十冊という青空文庫が書棚に並んでいます。
20100605_2.gif
 外国文学もいろいろ入っていますが、私のお気に入りは明治文学を中心とした文学作品ですです。芥川龍之介、太宰治、夏目漱石、宮沢賢治、森鴎外等々が、どっさりラインアップされています。高校時代にかなり読破していますが、今、それらを読み返し、違う感慨にふけっています。完全にはまってしまいました。

 電子書籍でよく問題にされるのが「読みやすさ」ですが、このリーダーはとても読みやすく、また、iPadの液晶画面もさほど目に負担をかけているようには思われません。
 右は画面サンプルです。芥川龍之介の「トロッコ」。小学生の時の国語の教科書に入っていた記憶があります。懐かしい!

 電子機器が普及することにより、読書離れが懸念されています。しかし、実用的な電子書籍が普及することにより、読書への関心がかえって高まるのではないかと、明治文学を読みふけりながら考えている次第です。

■関連記事

20100419.jpg 1月に CISMOR が招待し、講演をしてもらったリチャード・サイジック氏の記事が朝日新聞の「グローブ」に掲載されていますので、遅まきながら紹介しておきます。


 この記事はかなりおもしろいです。サイジックの個人的な語りにとどまらず、アメリカにおける福音派の全体像やその変化を知ることができます。従来、福音派はほぼ全面的に共和党を支持してきましたが、そうした経緯に対する批判も述べられています。
 伝統主義的な価値観を持ちながら、同時に、変わりゆく世界の現実に対応していこうとするサイジックのバランスの取れた態度は、今後のアメリカの宗教勢力の動向を占う意味でも興味深いと言えるでしょう。

 福音派について、私が書いた論考もありますので、参考にしてください(サイジック氏も登場しています)。

「アメリカ大統領候補をサポートする宗教保守勢力」(渡邊直樹編『宗教と現代がわかる本 2008』平凡社)
 「京都は世界からどのように見られているのか」(『京都新聞』2010年4月8日、夕刊)を追加しました。
 この記事にも書きましたが、京都を紹介するおもしろいサイト(外国人旅行者向け)がないかどうか調べたのですが、なかなか、よいものに巡り会えませんでした。いいものを知っている方は、教えてください。
 ちなみに、記事中、CNNの東京ガイドというのは以下のページのことです。更新頻度も高く、また、内容もおもしろいです。


 「教育の対価」(『京都新聞』2010年2月10日、夕刊)を追加しました。
 日米の教育比較に思いを巡らせながら書いたものですが、文字数の関係から、アメリカの大学の様子を細かく記すことはできませんでした。
 アメリカの大学教育を理想化するつもりはありませんが、それを比較の対象とした場合、日本の教育は、まだまだ改善の余地があることを痛感させられます。
 既存のシステムの中でできることは限られているのかもしれませんが、より密度の高い知的興奮を味わえるような授業にしていくための工夫を考え出していきたいと思っています。
 Yomiuri Online で、とても興味深い記事を見つけました。一部引用しますが、記事の中にあったグラフがカリフォルニア大学9校の様子をよく表していますので、直接に記事をご覧になってください。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100207-OYT1T00334.htm

米加州大、アジア系学生を締め出し?
 ノーベル賞受賞者を多数輩出するなど世界トップレベルの州立大学群として知られる米カリフォルニア大学が、2012年から、学業成績のみだった入学選考基準を見直すことに対し、アジア系団体などが「アジア系学生を締め出す措置」と反発を強めている。
 背景には、勉学熱心なアジア系学生が一部校で全学生の5割を超えるなど他人種を圧倒している実態がある。
(中略)
 同大学の学部は9校からなり、現在の学生数は計約17万人。カリフォルニア州のアジア系人口は約13%だが、アジア系学部生は旗艦校のバークレー校で41・6%、ロサンゼルス校(UCLA)で38・2%、アーバイン校で52・2%を占めるなど、7校では州内で約44%を占める白人より多い。入学者は1990年代中頃から急増、アジア系の中では、中国系が最も多く、韓国系、フィリピン系、日系が続く。

 簡単に言えば、カリフォルニア大学でアジア系学生が増えすぎて、白人学生を比率的に圧迫しているので、何とかしなければならない、という話です。
 アーバイン校では何と52パーセントがアジア系学生! 確かにすごい数です。アジア系学生比率が一番低いのは、私のいるサンタバーバラ校。それでも20パーセント近くあります。サンタバーバラでは、確かにアジア系が多いという印象はあまりありません。なぜこうなっているのかは、よくわかりませんが。
 多少比率の差があるとは言え、アジア系学生がこれだけの割合を占めているのは、さすがにカリフォルニアらしいと言えます。東海岸の大学では、こうはいかないでしょう。
 大学(UCSB)は秋学期(クォーター)が終わり、学生たちは final exams も終わり、人がまばらになってきました。
 連日晴天のカリフォルニア南部も雨期に入り、この数日は、パラパラと雨が降っています。めったに聞くことのできない雨音は、とても心地よく感じられます。

 「米軍基地」(『京都新聞』2009年12月8日、夕刊)を追加しました。11月初旬に起こったテキサス州の米軍基地での銃乱射事件と、普天間問題を重ね合わせたような記事です。
 平和主義と軍事力の矛盾をキーワードとして話を展開しています。
 しかし、この記事を読むと、もう一つ別の場面で起こった「矛盾」を感じる人もいるかもしれません。米軍の最高司令官、オバマ大統領ノーベル平和賞を受賞し、「平和のための戦争」を主張したことです。
 これについては、日を改めて書くことができればと考えています。
 先日触れた小沢発言に対し、日本キリスト教連合会が抗議文を送り、それを受ける形でさらに小沢氏が自説開陳という記事をいくつか目にしましたので、成り行き上、少しコメントしておきたいと思います。

■asahi.com:「成仏するのは仏教だけ」小沢幹事長、改めて文明観披露

 上の記事から一部抜粋します。

 10日に和歌山県の高野山金剛峯寺を訪れた際に、キリスト教を「排他的」「独善的」と指摘。これに対し、「日本キリスト教連合会」が「キリスト教に対する一面的理解に基づく、それこそ『排他的』で『独善的』な発言」と抗議文を送っている。
 これを受けて小沢氏は16日、「(仏教の世界観では)生きながら仏にもなれるし、死ねば皆、仏様。ほかの宗教で、みんな神様になれるところがあるか。根本的な宗教哲学と人生観の違いを述べた」と説明。

 日本キリスト教連合会の抗議文の全文を知ることができませんので、記事に紹介されている文章だけから判断せざるを得ないのですが、ここだけを見ると「あんたこそ排他的でっせ!」と水掛け論に終わってしまっている印象を受けます。
 日本語の「排他的」「独善的」は、一般的に悪い意味を持ちますので、けなし合いの様相を呈しているといってもよいでしょう。
 ちなみに、「排他的」に対応する英語は exclusive ですが、これは必ずしも悪い意味を持たないばかりか、かなりポジティブに使われる場合も多くあります。たとえば、あるお店が顧客に対して Exclusive for You というメッセージを送れば、それは「お客様への特別ご奉仕!」となりますし、また、私が毎日のようにチェックしているCNNの動画には、しばしば CNN EXCLUSIVE という文字が入っています。CNN による独占取材(放送)という意味です。

 わたしは「排他的」な要素を持つこと自体が悪いとは思いません。キリスト教には排他的なグループが今も昔もたくさん存在していますし、それは将来も存在し続けるでしょう。それはキリスト教をキリスト教たらしめるための生命線の一部にもなっています。
 そうした部分を内包していることを率直に認めながら、どうすれば、そうした排他性が、他者(他宗教)への優越や排除に結びつかずにすむのか、つまり、どのように排他性を抑制・コントロールできるのかという、そういったレベルの知恵を語るべきではないのでしょうか。
 互いに「排他的」と言い合っていては、双方に敵対的な感情が残るだけだと思います。
 モントリオールから無事、サンタバーバラに帰ってきました。帰る直前に目にした記事の一つが民主党・小沢一郎幹事長の高野山での宗教談義。まずは下の記事をご覧ください。

■asahi.com: 小沢氏「排他的なキリスト教文明、欧米行き詰まる」

■Mainichi Daily News: DPJ's Ozawa: Christianity 'exclusive'

 asahi.comから小沢氏の発言を抜粋し、少しばかりコメントをしておきたいと思います。

「キリスト教もイスラム教も非常に排他的だ。その点仏教は非常に心の広い度量の大きい宗教、哲学だ」

※仏教を含む日本宗教万歳という主張は、これまで自民党の政治家によく見られましたが、民主党も例外ではないことがわかります。ちなみに、かつて民主党の「憲法提言中間報告」の中に、これに似たメッセージが入っていたことがあります。これについては、2004年10月31日の記事をご参照ください。小沢氏一人の問題ではないことがわかります。
http://www.kohara.ac/blog/2004/10/post-122.html

来年にスイスで開かれる国際会議に松長管長が出席することから、「欧米人に仏教の神髄を説いてやるのは非常に意義がある。大変うれしい」

※本当に欧米人に「仏教の神髄」が伝えられるのなら、私も「大変うれしい」です。ぜひ、何を伝えたのか、また、それがどのように受けとめられたのかを明らかにしてもらいたいものです。一方的に価値あるものを伝えてやった、という姿勢は国際社会では通用しません。

「排他的なキリスト教を背景とした文明は今、欧米社会の行き詰まっている姿そのものだ」

※ここに小沢氏の世界観が凝縮されていると言ってもよいでしょう。ほぼ同じメッセージを戦前の国粋的な知識人や政治家たちが唱道し、それが結果的に日本を戦争へと導いていったことを小沢氏は理解しているでしょうか。
 こういった発言は、今の時代、良識ある宗教者の間ではもはや耳にすることができません。小沢氏の行き過ぎたリップサービスを高野山の仏教者たちが、きちんと、たしなめたのかどうか。こうした対応においてこそ「仏教の神髄」があらわになると私は思うのですが・・・

 この種のメッセージが、今なお繰り返されている現状を考えると、私の仕事においても、まだまだ基本的な伝達を怠ることができないことを痛感させられます。もう少し、21世紀にふさわしい洞察を政治家には期待したいところですが、日本では無理なんでしょうかね。
 「気候と人」(『京都新聞』2009年10月7日、夕刊)を追加しました。
 京都の気候とカリフォルニアの気候を比較する中で思うところを書き連ねました。こちらにいると、運動でもしない限り、汗をかくことがありません。日本の夏を考えると、本当に申し訳ないと思うほどの快適さです。
 記事では、古典的な風土論の問題点、気候変動の問題に触れています。気候をめぐる関心のポイントも時代によって大きく変わってきました。
 関心のある方は、上記記事をご覧ください。
 なんだかんだで猛烈に慌ただしい日々を送っており、結果的に、ブログの更新が超スローペースになっています。
 しかし、講義「現代神学のフロンティア」のポッドキャスト配信は、何とか毎週続けています。他方、KOHARA Podcast の方は完全に休店中となっています。仕切り直しをして、近い将来、きちっと再開したいと思っていますので、気長にお待ちください。

 さて、『京都新聞』記事「教室の未来」(2009年6月12日、夕刊)を追加しました。現在進行中のインターネットおよびポッドキャストによる授業を題材にしています。「建学の精神とキリスト教」を昨年も同じ形式で実施し、600名ほどの履修者がありましたが、今年度は1800名にまで増加しました。インターネットだからこそできることですが、この人数はなかなか大変です。新しい教育スタイルを模索する中で普段考えていることを、まとめたような内容になっています。関心ある方はご一読ください。

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近  著

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