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 同志社大学 一神教学際研究センター(CISMOR)は、5年間の21世紀COEプログラムに引き続き、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択され、向こう5年間、文部科学省の研究助成を受けることになったことは、すでにこのブログでもご報告しました。
 「一神教とその世界に関する基礎的・応用的研究拠点の形成」をテーマにして、新しい研究に取り組んでいく予定ですが、2月18日、その新しい研究会の第1回目を行いました。
 私が担当するのは「グローバル化する一神教の思想的研究」(第1プロジェクト)で、今日は、中田先生、三宅先生、手島先生に発表していただきました。
 急に寒さが戻ってきましたが、中田先生が頭を丸められ、また、手島先生がきれいにひげを剃られてきた様子を見て、妙に感動しました。気合いの入り方が違います(ということはなく、お二人とも自然体でした)。

 今日の研究会では、今後の研究のためのブレーンストーミングのようなものでしたが、ディスカッションは多岐にわたり、この分野の研究の難しさを再認識すると同時に、いくつか手がかりが得られたようにも思いました。

 以下、関心ある方のために、今後の研究会の概要を記しておきます。

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 2月14日午前中、韓国の長老会神学大学の先生、学生たち総勢19名が、同志社大学神学部を訪問してくださいました。
 長崎で隠れキリシタン関係の場所を見て回り、その後、福岡、大阪、京都へと来られました。長老会神学大学を卒業した学生が、同志社で学ばれたりしていますので、名前は知っていましたが、正式な訪問は今回がはじめてとなります。
 神学館礼拝堂を案内した後、別の部屋で、日本のキリスト教史に関して原先生から話を聞き、その後、ディスカッションをしました。
 長崎訪問のあとということもあって、遠藤周作の『沈黙』をめぐる質問もありました。ちなみに、『沈黙』は、来年、マーティン・スコセッシによって映画化される予定です(→関連記事)。
 昼食後、一同でキャンパス内にある尹東柱の詩碑を訪ね、記念撮影をしました。

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 その後、駆け足で、午後1時から始まるCISMORの講演会に向かいました。
 「最近のコーカサス情勢―政治変動、民族紛争、宗教、グルジア紛争の影響などを中心に」
というテーマで、廣瀬陽子先生(静岡県立大学国際関係学部准教授)に講演していただきました。コーカサスに関する知識が十分でないだけに、多くのことを学びましたが、やはり想像以上に複雑な地域だなという印象を持ちました。
 昨日に引き続き、まじめにメモをとりましたので、関心ある方はご覧ください。

 1月31日、CISMOR講演会「2008年アメリカ大統領選挙と宗教勢力」が行われました。
 旬なテーマであったためか、小雨が降る天候であったにもかかわらず、200名以上の参加者がありました。
 今回は、なんとまじめなことに、講演会場にMacBook Airを持ち込んでメモを取りましたので、それをつけておきたいと思います。
 あくまでもメモ的な記述なので、わかりにくい箇所もあるかもしれませんが、講演の要点はお伝えできると思います。

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 1月24日、「イスラームにおける諸宗教間対話の試み」というテーマで、午前中に公開講演会が行われ、午後からはクローズドなシンポジウムが行われました。
 右の写真は、午前中、クラーク記念館で行われた講演会の様子です(私は司会)。会場となったクラーク・チャペルがほぼ満席となる盛況ぶりでした。30分ほどフロアーとの質疑応答の時間がありましたが、活発に質問が出されました。

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 午後からのセッションの最初の発表者に私は当たっていましたので、午前中での議論を受けて、以下のような内容の質問をしました。

1.イスラームは対話の宗教であるというが、なぜ、近年になってサウジアラビアは対話を強く呼びかけるようになったのか。具体的な理由があれば教えて欲しい。9.11の影響か。あるいは、アメリカなど国際社会からの批判(サウジアラビアには信教の自由がない、といった批判)を意識しているのか。

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2.イスラエル軍によるガザ攻撃は凄惨なものであった。今後、同様の悲劇を繰り返さないためにも、(イスラエルは言うまでもなく)ハマスには対話可能な側面を持って欲しい。実際、ハマスはエジプトのムスリム同胞団を起源とするスンナ派集団であるが、同時にイランからの援助を受けるという微妙な体質を持っている。サウジアラビアは、このハマスとどのような対話的関係を取り結ぶのか。

3.他の宗教との対話というが、イスラームにとって対等に向き合える宗教は、ユダヤ教・キリスト教といったアブラハム宗教であり、経典の民であって、その他の宗教は多神教、偶像崇拝とされてきたのではないか。非一神教の宗教に対して、今日のイスラームはどのような積極的理解を示すことができるのか。

 あとの議論は、2.の問題にかなりの時間が割かれることになり、また、サウジアラビアからの人々にとっては実に答えにく質問であったため、あとで、ちょっと気の毒なことをしたかな、とも思いました。しかし、やはり避けては通れない問題でしょう。

 長時間におよぶ議論の中で、サウジアラビアの方々は、イスラームの理念、理想の立場から話されていたように感じました。対話の具体的問題や中身については、なかなか踏み込めないというもどかしさも感じましたが、非常に誠実に対応してくださったと思います。

 セッションの最後に私が総括的に問いかけたのは次のようなことでした。

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 土曜日に予定されている国際シンポジウムの前日、サウジアラビアから来られた方々と会食を共にしました。
 アラビア語が、がんがん飛び交っていましたが、もちろん、アラビア語の部分は私にはわかりません。
 サウジアラビアの様子などを聞きました。
 サウジの大学の授業料の話題になったところ、何と無料だそうです。無料どころか、毎月決まった額を学生に支給しているとのこと。高校からの大学進学率は何と90%!
 さすが、サウジアラビア!
 お金をかけずに大学で学びたい方は、サウジアラビアに行きましょう。ただし、アラビア語がある程度できなければなりませんが・・・

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 サウジの方々は、さしみなど、ほとんどの日本料理をしっかり食べていました。なまこは、気持ち悪かったのか、醤油の上に残されていました。

 食事が終わると、礼拝の時間。空いたスペースで、メッカの方角を向いて礼拝をしていました。左の写真がその様子です。
 写真の下の方に写っているのは、同志社大学の学長の八田先生です。
 日本時間の深夜1:30より、オバマの大統領就任式をリアルタイムで見ました。さすがにすごい盛り上がりようでした。この就任式については、またあらためて記したいと思います。

 さて、今回は近々行われる公開講演会を二つ紹介します。近所でご都合つく方は、どうぞお越しください。
 「イスラームにおける諸宗教間対話の試み」(1/24)にはサウジアラビアから、かなりの偉いさんたちが来られますので、接待にも気を遣います。サウジアラビアは日本からは産油国としての認識がもっぱらかもしれませんが、中東のイスラーム情勢を理解するためには、サウジアラビアを無視することはできません。私もそれほど詳しくありませんので、この機会にいろいろと学びたいと思っています。

 森孝一編著『ユダヤ教・キリスト教・イスラームは共存できるか── 一神教世界の現在』(明石書店)をアップしました。私は「「キリスト教世界」において何が共存を妨げてきたのか──「宗教の神学」の現状と課題」という章題を担当しました。
 目次データをまだあげていませんが、執筆陣の顔ぶれはなかなかのものです。海外からも4名の寄稿があり、全体で14章立てになっています。
 CISMORの研究成果という位置づけにもなっていますので、この種のテーマに関心のある方には強くお薦めできる内容になっています。

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 12月2日、ヤコブ・ラブキン教授(モントリオール大学)による講演「無神論者としてのユダヤ人の創出──ロシア、その他」がありました。
 ユダヤ戦争の時代から始まり、ヨーロッパ、ロシア、イスラエルなど幅広い地域と歴史プロセスにおけるユダヤ・アイデンティティの変遷について話されました。
 改革派ユダヤ教徒、正統派ユダヤ教徒、そして「無神論者」(=トーラーを実践しない)ユダヤ教徒の誕生についも触れられました。
 イスラエル建国時に対立していたシオニストと正統派ユダヤ教徒との対立は、今に至るまで続いています。

 講演会後、今日司会をしてくださった手島先生(写真右)らと共にラブキンご夫妻を囲んで夕食を共にしました。各種専門家がいたので、ロシア語、フランス語、英語、ヘブライ語が一つのテーブルの間で飛び交いました。それらすべてを自在に操るラブキン先生はさすがにすごいです。
 ユーモアのセンスも抜群で、現代ユダヤの知性の奥深さに触れる思いがしました。
 7月に文部科学省に申請していた「戦略的研究基盤形成支援事業」に採択されたという通知を1週間ほど前に受け取りました。何とも、いかつい名前の研究助成ですが、これで「21世紀COEプログラム」に引き続き、向こう5年間、比較的安定した財政基盤のもと、CISMORを中心とする一神教研究を継続することができることになります。

 オフィシャルなアナウンスは、下につけておきました。まだ概略しかオープンにしていませんが、おいおい研究体制などをCISMORのページに掲載できると思います。
 今回の事業は、大きく二つの研究プロジェクトに分かれています。
1.「グローバル化する一神教の思想的研究」プロジェクト(代表:小原克博)
2.「多様なものの共存と社会統合」プロジェクト(代表:森 孝一)

 というわけで、私は研究代表者になっていますので、「一難去って、また一難だね」と言われることもあるのですが、運命と思って引き受けるしかありません。
 実のある一神教研究ができるように、がんばりたいと思います。 

 今日はCISMORの研究会で、末木 文美士先生(東京大学大学院 人文社会系研究科教授)に「一神教と多神教――日本宗教の観点から」と題して発表をしていただきました。

 非常に幅広い話しであったため、質疑応答も、様々な角度から活発に行うことができました。

 ところで、「文美士」の正しい読み方、わかるでしょうか? 答えは「ふみひこ」。まず、こうは読めません。研究会のあとの懇親会で、この謎が解けました!

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