小原On-Line

小原克博: 2006年12月アーカイブ

 小原克博 On-Line に「恐怖が心に迫るとき」(「現代のことば」)(『京都新聞』2006年12月19日、夕刊)を掲載しました。
 原稿を送ったのは、3週間近く前なので、ちょうどその頃に話題になっていた「教育再生会議」のいじめ対策について言及しています。この間、教育基本法の改正もありましたので、思いは複雑です。
 ご一読ください。

 今日は、卒業論文と修士論文の提出締め切り日でした。
 毎年のことですが、余裕を持って提出できる人もいれば、当日ぎりぎりに提出する人もおり、当日の深夜~朝方まで対応に追われることになります。
 今年は、論文指導に新しい方法を導入しました。それは、論文草稿に対するコメントを録音し、音声ファイル(MP3)にして送ることです。メールでは、何となく書ききれないことでも、音声にすることによって、気持ちを込め、また、細部の指摘をすることができました。一回あたり、10分~15分程度の録音となりました。
 実際に会ってコメントするのが最善なのですが、お互いにスケジュールを合わせるのは簡単ではありません。せっぱ詰まった段階では、音声ファイルでこちらの言いたいことを伝えるのは、なかなか効果的であることがわかりました。幸い、学生からの評判も上々でした。
 卒論や修論の作成を通じて、学問することの醍醐味を味わってもらいたいと、いつも願っています。

 今日は夕方から、民医連中央病院の倫理委員会があったのですが、会議の場所に行くと、医師の一人が、NHKラジオ聞きましたよ!と声をかけてくれました。
 聞いている人はいるんですね~。

 倫理委員会では、心肺蘇生をしない指示(DNR)をめぐって議論を続けました。終末期において心肺停止に至ったとき、蘇生術(心臓マッサージ、電気ショック等)を行うかどうかの同意書作りが一つの目的です。

 最初、患者本人および家族向けの同意書を考えていたのですが、意識のしっかりしている患者に対し、DNRの同意書を一律に求めるのは難しいのではないか、いずれにしてもタイミングをはかるのは簡単なことではない、といった意見が出てくる中で、最終的に方針を大きく変えることになりました。

 DNRの同意書は作らずに、むしろ、最後まで最善の治療を尽くすこと、しかし、同時に無益な延命は行わないことを病院の指針として打ち出し、どのような場合でも心肺蘇生を希望する人には、それを申し出ることのできる余地を残すように、新たな指針を作成することになりました。

 原案作成者を申し出てくれたのは、なんと立命館大の立岩真也先生! 次回の倫理委員会が楽しみです。

 本日の夕方6:30より、NHKラジオ夕刊で、先日の収録内容が放送されたそうです。
 何と、連絡が来たのは、今日の午後! いや~、あまりに直前過ぎて、私も聞くことができませんでした。
 後日、放送内容のテープが送られてくるようなので、うまくいけば、それをアップしようかな、とも思っています。

061217  12月16日(土)、同志社大学東京オフィスで「一神教と多神教――インドの「一神教」理解について」というテーマで研究会を持ちました。
 後藤敏文先生(東北大学)と丸井浩先生(東京大学)に発表をしていただきました。古代インドを中心とする話であったので、私にとっては真新しいことばかりであったのですが、古典文献をきちんと扱うことのできる碩学ぶりには感心させられました。
 丸井先生は、宗教間対話や包括主義(inclusivism)ということに言及され、このあたりは私の関心と重なるところが多く、インスピレーションを受けました。
 インドは包括主義と排他主義を両輪としてきたのではないか、という指摘にはまったく同感でした。
 議論をしながら、一度、このあたりの問題をきちんと整理する必要のあることを痛感しました。宗教間対話の議論では、多元主義的モデルがしばしば理想とされ、排他主義や包括主義は前時代的な遺物として見なされるような風潮がありますが、こうした考え方に、私はかなり批判的な意見を持っていますので、いずれ、まとめてみたいと考えています。

 丸井先生が発表の冒頭で、私のHPのことに言及してくださいました。多少なりともお役に立てたようで、うれしい限りです。

 昨日の記事で紹介した、アメリカ人留学生による尺八演奏を聴きたい、というリクエストがありましたので、簡単な動画を掲載しておきます。デジカメによる動画なので、あまり画質はよくありませんが、微妙な首の振りに注目していただければと思います。
 尺八演奏の横でギターを弾いているのは、神学部の関谷先生です。尺八の伴奏になっているのが、邪魔をしているのか、微妙なところですが、ギターの腕前はピカイチです。

「061214.MP4」をダウンロード

 この時期、毎年のことながら、やはり猛烈に忙しいです。(-.-)
 卒論・修論のチェックが山のようにあり、同時に、自分自身の原稿も抱えているという有様で、その上、しっかりと会議や研究会が詰まっているという状況です。

Img_0364  そのような息苦しい日々の中で、昨晩は一息入れることができました。恒例の留学生クリスマス会がありました。

 私が直接に指導している留学生たちとは日々話し合う機会がありますが、そうではない人たちとも、このような機会を通じて親交を深めることができます。

 韓国人留学生が比較的多いのですが、昨晩は、男子学生たちから軍隊での経験を聞くこともできました。職業軍人として働いていた経験の持ち主もおり、彼は38度線で勤務していたので、リアルにその様子を語ってくれました。

 昔は、軍隊での経験は口外してはならないことになっていたそうですが、今は、それが本になったり、映画になったりで、かつての秘密厳守の時代は過ぎ去りつつあるようです。ちなみに、ソウルには北朝鮮のスパイが1万人近くいるとか。こういう話を聞くと、南北の緊張がまだ現実に続いていることを感じさせられます。

Img_0366_edited1   左の写真は、アメリカからの留学生が尺八を吹いているところです。私は彼の指導教授なので、話をする機会は多いのですが、彼が吹く尺八を聞くのは初めてでした。

 とてもうまくて驚きました。あらためて、変わったアメリカ人であることを認識しましたが、こういう才能および感性豊かな人には、そのユニークさを極めてほしいと思います。

 昨日の続きですが、私が今関心を寄せていることの一つは福音派の多様性です。
 リベラル派からは、しばしば一枚岩のように描かれがちな福音派ですが、実際には神学的にも政治的にも幅があり、それは今日いっそう流動化しているように思います。
 たとえば、昨日の会田さんのデータによれば、中間選挙で福音派の7割が共和党に、3割が民主党に票を投じています。これは、2年前の大統領選挙と比べ、民主党に票が流れていることも示しています。
 福音派=共和党支持者という図式は、間違っているということが、この数字からもわかるでしょう。
 福音派の中で民主党よりのリベラルな政治スタンスをリードしているのが、Jim Wallisらです。彼らは liberal Evangelical と呼ばれています。
 こうして見ると、同じ福音派の中でも、共和党支持者の核には「宗教右派」(キリスト教原理主義者)が牽引力となっており、民主党支持者の核には「リベラル福音派」が牽引力となっている構図を大きく見ることができます。

 変化は、福音派の内部だけにとどまりません。今回の中間選挙に対する影響力ははっきりしませんが、世俗主義者と言われてきた民主党が、大統領選挙以降、急速に宗教対策(特に福音派への接近)を強化してきたことは、よく知られています。God Gapを埋めろ!という運動方針です。
 たとえば、中間選挙前に、民主党のホープ、オバマ氏が福音派の集会で講演をしています。
 また、次のサイトを見ると、民主党の取り組みの一端を見ることができます。その名もズバリ、Faithful Democrats(信仰的な民主党員)!
http://faithfuldemocrats.com/

 今後、揺り返しも含めて、事態の変化から目を離せません。しかし、福音派に対する客観的な研究は日本では皆無に等しいです。このあたり、何とかならないかな~と思っているのですが・・・

061202_1  12月2日(土)午後、CISMORの研究会が東京で行われました。
 今回はアメリカの中間選挙がテーマ。
 共同通信の会田さんが「米中間選挙を読む――福音派の動きを軸に」のタイトルで、同志社の村田先生が「中間選挙後のブッシュ外交」のタイトルで発表してくださいました。

 具体的な統計データを用いながら、福音派の投票行動を分析したり、02年の大統領選挙後の民主党の福音派へのアプローチを紹介してくれた会田さんの発表は、私の関心に重なる部分がかなり多かったです。

061202_2_1  昨夕、ほとんど同じテーマでNHKラジオの収録をしましたが、先に会田さんの発表を聞いておきたかったと思う内容でした。結論が同じでも、豊富なデータの裏付けがあったら、もう少し自信を持って語れただろうと思います。とはいえ、ラジオではそれほど細かいことを語る時間的余裕はありませんでしたが・・・


 福音派の動向については、ポイントを後日紹介したいと思います。

 今日はNHKラジオの収録のため授業終了後、渋谷に向かいました。
 3時間目の授業が終わり(14:45)、大急ぎで地下鉄で京都駅に向かったものの、京都駅に到着したのは新幹線の発射時間の何と3分前。「うぉおお~っ!!」という感じで走りに走りました。足がつりそうになりました。その甲斐あって、扉が閉まる5秒前に駆け込むことができました。
 渋谷からタクシーに乗ってNHKに到着したのは6時過ぎ。6:30からの収録前に簡単な打ち合わせをしました。
 NHKラジオ夕刊という番組のための収録で、テーマは「アメリカのキリスト教福音派とはなにか」。番組担当の解説委員の方が事前に気の利いた質問を考えてくれていました。私がこのテーマで呼ばれたのは、解説委員の方が『原理主義から世界の動きが見える』を読んで、関心を持たれたことによります。
 解説委員の方と女性キャスターの方が私に質問する形で収録は進められました。収録はあっけないほどスムーズに進み、20分弱ほどで終わりました。生放送ではないので緊張することなく受け答えできたように思います。
 放送されるのは12月18日の週で、後日、その日にちについてお知らせいただくことになっています。
 オンデマンド放送はないそうなので、聞きたい方はリアルタイムに聞くしかないようです。
 ラジオ収録は初体験だったので、けっこう楽しむことができました。

 明日は午前中、朝日新聞出版部の人と打ち合わせをし、その後、CISMORの研究会(東京)に出席する予定です。

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