小原On-Line

小原克博: 2004年2月アーカイブ

 昨日、宗教倫理学会公開講演会で、渡辺哲夫先生の話を聞くことができました。質疑応答に参加できなかったのは残念でしたが、講演部分だけでも十分刺激を受けることができました。
 詳細はいずれ宗教倫理学会HPでご紹介できると思いますが、まず全体として受けた印象は次のようなものです。
 渡辺先生は統合失調症の患者さんと長い間向き合ってきた体験から、人間はコンピュータ的な情報理解などでは、とても把握できないほど複雑な存在であることを語られました。死者と生者を明確に区分することも、きわめて近代的・西欧的な考え方であって、両者の関係性なしには向き合うことのできない病理的な問題もたくさんあることを示唆されたように思います。
 現代人(特に若い世代)は、人よりも多く、そして早く情報を喰らうことに価値を置き、その喰らった情報をどんどん排泄していく。そんな情報概念に支配された人間に、「もののあわれ」などわかるはずがない、とも語られました。意味深長ではないですか。

 情報やメモリーの考え方で、人間を語ることはできない、人間の実態をデジタル化することなどできない、という出張は、単に情報化社会への警鐘として意味があるだけでなく、長年の臨床体験に裏付けられた見解であるだけに説得力がありました。

 このBLOGでも、いろいろなことを伝えようと思い、つれずれなるままにあれこれを記していますが、いくらがんばっても生身のわたしを伝えることはできません。わたしと会って知っている人が、文章を読む場合と、まったく面識もなく文章を読む場合とでは、おのずと受け取り方も異なってくるでしょう。

 わたしはインターネット授業や動画のストリーミング配信をしてきましたが、同時に、それでは補いきれない部分を講演などの機会において伝えようとしてきました。
 いくら情報化社会が進んだとしても、人と人とが直接に会うことを完全に代替することなどできないでしょう。出会いの妙技を楽しむこともまた、これからの社会ではいっそう大切にされるべきだと、あらためて感じました。

 明日土曜日に開催される、宗教倫理学会主催の公開講演会を再度、ご案内させていただきます。
 かなりおもしろい内容であることを保証いたします。(^_^;) どうぞ、お誘い合わせの上、お越しください。
 わたしは受付嬢をしていると思います。当日配布の資料は、なかなか読み応えがありますよ。

◎宗教倫理学会 公開講演会

日時:2004年2月28日(土)午後1時~3時
場所:キャンパスプラザ京都 5階 第1講義室
講師:渡辺哲夫(東京医科歯科大学)
講演題:
〈われわれ〉と〈わたし〉
 ――総合失調症(精神分裂病)の世界から発せられる”死者と生者の共同性”への問い――
※入場無料、事前申込不要

 1時間近く質疑応答の時間を予定していますので、来られた方は遠慮なく質問してください。
 ただ、わたしは質疑応答まで会場にいることができそうにありません。同日、大学院入試があって、いろいろと役が当たっており、講演会を途中退席しなければならないのです。(T_T)

 映画はもっぱらレンタルDVDで見ることが多いのですが、昨日は韓国映画の「二重スパイ」を見ました。アンハッピー・エンドなのがもの悲しいですが、最近ヒットしている南北関係ものの一つです。
 「シュリ」はかなりよかったので、その後、学生にすすめられて、「JSA」と「二重スパイ」と見てきました。共通するのは南北の緊張ですが、それぞれに友情や恋愛などがからめられていて、娯楽性のある作りとなっています。
 1週間ほど前には、中国映画の「英雄(HERO)」を見ましたが、これはなかなかいいです。お薦めです。始皇帝にまつわるエピソードなのですが、単なるスペクタクル映画ではなく、中国的な精神性の深みをうまく描写しています。

 知人の一人が、「冬のソナタ」(テレビ・ドラマ)を強烈に薦めてくれるのですが、これってレンタルではないんですよね。今のところ、見たくても見れません。BSで再放送されたときに録画しておくべきでした。(T_T)
 こういう純愛モノには、かなり弱いです。けっこう涙もろいんですよ。
 ドラえもんや、クレヨンしんちゃんの映画を見て、涙があふれるくらいですから。情が深い、と言われることはありますが、早い話、「単純!」ってことなんですよね。は~。十分自覚しています。(^_^;)

 電子辞書をお持ちの方は多いでしょう。出始めの頃は、電子辞書をバカにしていたわたしも、今やちゃっかり電子辞書のヘビーユーザとなっています。(^_^;)
 わたしはドイツ語の授業を一つ担当していますが、そこでも学生さんの多くは電子辞書を使っています。そういう事情もあって、テストのときに「辞書持ち込み可」となっている場合、電子辞書を認めるかどうかも議論されてきました。おそらく、新年度からはテストの時に電子辞書を使うのはOKとなるでしょう。

 昨日、SHARPの開発企画部の方が訪ねてこられ、電子辞書に聖書をのせる計画があることを説明してくださいました。サンプルを見せてもらい、それに対して、わたしがいくつかの注文をつけた次第です。
 最初から多機能を目指すと頓挫しかねないので、まずは目的とする章節をすばやく検索する機能をしっかりと搭載して欲しいと言っておきました。そのほか、できれば、正確なコンコルダンス機能や、聖書語句辞典との連携などができればよい、という注文をつけておきました。

 順調にいけば、今年の夏頃には電子辞書で聖書を使うことができそうです。ただし、SHARPの電子辞書にSDカードを差し込んで使うことになります。
 SHARPの方が、しきりに気にしていたのは、(当然ですが)売れ行きの予測です。開発は進めて欲しいので、わたしは(まったく根拠なく)「いや~、心配しなくても、絶対売れますよ~」とか言って、担当の方を勇気づけておいたのですが、さてさて、どうなることか。みなさん、買いますか~?

 ちなみに、上記のことは、ひょっとすると企業秘密かもしれませんので、くれぐれもBLOGで見た、などという噂を流さないようにね。(^_^;)

 電子辞書の分野では、CASIOがトップシェアを占めており、SHARPは第二位です。SHARPがんばれ~!(と言いつつ、わたしはCASIOを使っている・・・)

 ついでながら紹介すると、日本聖書協会も、新手の商品を開発中。一昨日、「聖書と音楽の出会い in 京都」という集会に参加したとき、総主事がバイブル・トークとかいう、たまごっち型の聖書おしゃべり機器を紹介していました。ボタンを押すと、目的の章節が朗読されるという仕組みです。
 こんなのって売れますかね~?とわたしはかなり懐疑的です。とりあえず、1000個作るとか、おっしゃっていましたが、マーケット・リサーチした方がよさそうな気がします。それとも、リスクを顧みる必要のないほど、日本聖書協会はお金持ちなのかもしれません。

 いやいや、こんな皮肉を言ってはいけませんね。(^_^;) ダウンロード聖書やアート・バイブルなど、近年、日本聖書協会はかなり意欲的に新しい領域を開拓していっています。けっこう感心しているんですよ、ほんとうは。

 最後に一つだけ文句を。「聖書と音楽の出会い in 京都」では、ヴァイオリンのソロ演奏を大いに期待していったのに、演奏時間はたったの30分! え~っ、だまされた~、って感じたのはわたしだけではないと思いますよ。せめて1時間くらいは聞きたかったな~。

 ヴァイオリンの話が出たついでに、おすすめを一つ。今、旬の人は何と言っても、寺井尚子さんでしょう。昨年末には「ジャズ・ワルツ」というニューアルバムを出しました。「アンセム」もおすすめです。

■日本聖書協会
http://www.bible.or.jp/

■NAOKO TERAI OFFICIAL WEBSITE
http://www.t-naoko.com/

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↑ 清水寺で、パレスチナからの研究者と歓談しているところ

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↑ 東福寺で、活を入れられているところ (T_T)


 今日は曇り空でしたが、雨に遭うことなくエクスカーションを行うことができました。まだ2月だというのに非常に暖かく、外を歩いていると汗ばんでくるほどでした。
 清水寺→東福寺→昼食→フランシスコの家→金閣寺→ハンディクラフトセンター、といった順路で回りました。
 わたしは久しぶりに清水寺や金閣寺に行ったのですが、久しぶりだったせいか、新鮮な感動を受けました。「京都って、ええな~」と。外国からの参加者たちも、かなり満足そうでした。
 東福寺は、少し前に打ち合わせのために行っていたので(→1/30参照)、2度目なのですが、やはり、庭園のすばらしさなどに感動させられました。
 今回は到着してすぐに座禅の体験をしました。外国人用にアレンジして時間は10分間にしてもらいました。普通の日本人の場合は最低30分はするそうです。
 東福寺の禅堂は、1347年に建てられてから、そのままの姿で残っている(他の建物はすべて一度焼失後の再建です)、日本で最古にして最大の禅堂なんだそうです。確かに、300名くらいは収容できそうな、かなり大きなものです。

 この由緒正しき禅堂で、笑うに笑えないハプニングが起こりました。禅僧の方の説明をガイドさんが英語に通訳しながら、みな真剣にその作法を聞く中で、座禅が始まりました。「無心」(empty mind)になること目指して、厳かな静寂が薄暗い禅堂の中にしみわたろうしているそのとき、何とガイドさんの着メロが鳴りだしたではありませんか。
 しかも厳かさを一気に打ち壊すかのような「おもちゃのチャチャチャ」の軽快かつ快活なメロディー。はっきり言って、わたしは、こういうのに無茶苦茶、弱いのです。(^_^;)
 吹き出して腹を抱えて笑い出したいのを押さえて、何とかempty mindになろうとするのですが、そう努力しようとすればするほど、笑いを抑えきれなくなり、何度も「クックックッゥ~~」と肩をふるわせて、うめいてしまいました。(T_T)
 それにつられて外国人の方の何人かは顔をゆがめて、笑いをのみこんでいました。
 短時間でしたが、すごい忍耐を要する修行でした。
 しかし、さすがに禅僧の方は表情一つ変えず、例の長細い板を持って、ゆるりゆるりと暗闇の中を歩いていました。
 座禅の精神からはほど遠い我が身を省みて、ビシッとたたいてもらっているのが上の写真です。
 宗教者の端くれでありながら、わたしの心はempty mindにはほど遠いことを悟らせていただいた体験でした。(^_^;)

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 国際ワークショップの二日目は二つのセッションがあり、ワークショップ「キリスト教と戦争・暴力」で発表をしました。タイトルは"Conflicts of Pacifism and Just War Theory: From the Japanese and Christian Viewpoints"。
 ヒロシマの原爆投下が日本では反戦平和思想の起点とされているのに対し、米国では長い間、正戦(just war)の一つと考えられてきたことを、スミソニアン博物館におけるエノラ・ゲイ展紛争をきっかけに展開しました。
 わたしの前に、正戦論の世界的権威James Turner Johnson教授と、これまた著名なフェミニスト神学者のUrsula King教授が発表をしました。
 案の定「正戦」とは何か、をめぐって議論が白熱し、イラク戦争は正戦であったのか、というところまで議論は及びました。Johnson教授は筋金入りの正戦論者で、ある意味で、アメリカ社会の一面を見た気がしました。
 King教授は世界的に有名な人ですが、実に気さくな「おばちゃん」という感じの方で、非常に好印象を持ちました(上の写真、わたしの左にいるのがKing教授)。
 年を取ると、しぶ~い顔(雰囲気)になる人が多いですが(特に男性)、いつまでも、彼女のような「柔和さ」を持ちたいものだと感じた次第です。

 国際ワークショップの成果は、なるべく早い段階で公開できるようにと考えています。最初は英語で公表され、それから日本語版ば公表されると思います。しばらく、お待ちを。

 明日はいよいよ行事の最終日。エクスカーションです。早い話が遠足ですね。清水、金閣寺、東福寺などを回ります。

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 公開シンポジウム、無事終わりました。予想以上の来場者数で、結局、一つの会場だけでは収容できず、映像を別会場に送る形で、二つの会場を使うことになりました。
 わたしも体調悪いながらも、何とか司会の役を務めることができました。
 ユルゲンスマイヤー氏は、明快な切り口で宗教テロリズムの構造を分析し、クフタロウ氏はジハードは聖戦ではない、という強い主張をし、また、臼杵氏は徳富蘆花と中東問題を切り結んで、古くて新しい問題の共通構造を描写しました。
 たくさんの質問が寄せられ、関心の高さをうかがうことができました。まだ感想用紙には目を通していませんが、かなり来場者の満足度は高かったのではないかと推測しています。

 公開シンポジウムの後は、バスで、ウェスティン都ホテルに移動して、第2セッション。ここでは、「イスラームと戦争/暴力」をテーマとしました。まとまった答えのようなものは出るはずもありませんが、どういうところに問題があるのかは、少し明らかになったのではないかと思います。もっとも、議論はかなり錯綜していましたが。
 いずれにせよ、イスラーム圏からの生の声を聞くことができるのは、貴重な経験でした。

 明日の午前中は、わたしの発表があります。体調は絶不調! あ~、大丈夫なんでしょうか~??
 続報をお待ちください。

 数日前から風邪気味で、だんだんひどくなってきました。熱も常時37度以上あるのですが、こんな状態で、外をうろうろ歩き回っていますから(徘徊しているのではなく仕事で)、よくなるはずもありませんね。(^_^;)

 明日から、いよいよCISMOR主催の国際ワークショップが始まります。
 今日は、メイン会場となるウェスティン都ホテルで同時通訳者の方々と打ち合わせをしてきました。英語、アラビア語、日本語の3カ国語が今回のワークショップの Official Language となりますので、同時通訳の方々もたくさんおられます。ちなみに、アラビア語←→英語は国内では見つけられなかったので、国連レベルの人を海外から呼んでいます。
 日本語・英語の通訳の方と話して、痛感したことが一つあります。それは、日本語の同音異義語の難しさです。たとえば、「せいせん」と聞いて、みなさんはどのような漢字を最初に連想しますか。
 今回のワークショップのテーマとの関連では「聖戦」(holy war, crusade)が思いつきそうですが、提出されたペーパー類では「正戦」(just war)となる場合も多数あります。つまり、どちらにするかは文脈に依存するわけで、それを瞬時に考えるのは至難の業です。通訳者の方が心配するのが、よくわかりました。

 ホテルでの打ち合わせ後に、明日の午前中の会場となる同志社大学の会場設営をチェック。
 同時通訳ブースの設置や、メディア機器の確認、撮影機材のセッティングを行いました。

 体はだるく、頭もぼ~っとしているのですが、ともあれ、明日午前の公開シンポジウムの司会をしなければなりません。
 人生、楽ではありませんね。(^_^;)

 多くの人からBLOG見ているよ、楽しみにしているよ、という励ましのお声をいただいて、うれしい限りです。ただ、なかなかその期待に応えるように、最近更新できていなくて、すみません。

 先日も報告したように、今週末に行われる国際ワークショップの準備も、それなりに大変なのですが、今まで先送りしていた成績処理が最終デッドラインに達し、必死になっているところです。提出された学期末レポートの山は、読んでも読んでも、なかなか減っていきません・・・
 学生さんたちが時間をかけて書いたレポートは、丹念に読みたいと思いますので、どうしても時間がかかってしまいます。あ~、もっと早くから始めておけばよかったのに~、と今頃になって思うのですが、後の祭りですね。今日は徹夜になりそうです。(T_T)

 いつもながら、レポートを読んで感じるのは、文章力・表現力に大きな差があるということです。思索の練り込まれた、質の高いレポートもあれば、感想文に毛の生えたようなものまであり、まさに玉石混淆。

 わたしがいつも学生たちにいうのは、「学生時代の表現力が、その後一生の表現力に決定的な影響を与える」ということです。要するに、だから、一回一回のレポートをいいかげんにすべきではない、ということなのですが、ゼミなどできちんと指導を受けてきた学生と、ただ漠然とレポートを書いてきただけの学生との間には、大きな差があります。
 学術的な分野における文章力は、その気になれば、確実に向上させることができます。文学的才能は必要ないのです。論理的思考の足跡をロゴス化する苦労を地道に重ねていけば、説得力のあるレポートを書くことができます。要領よく単位を取ることに関心を向けすぎる学生は、どうも、この種の苦労をスキップしてしまっているようです。

vol77

 昨日に続き、一神教学際研究センター(CISMOR)関係の案内を一つ。
 上の広告は本日の『朝日新聞』(全国版)朝刊に掲載されたものです。詳しくは、下記ページをご覧いただきたいのですが、2日間にわたる国際ワークショップの冒頭部分(第1セッション)を公開シンポジウムとしています。

 この国際ワークショップには世界の各地から、著名な研究者10名と関係する大学院生15名を招へいしています。わたしは、会場整備責任者やエクスカーションの責任者など裏方業務の責任を一手に引き受けているのですが、同時に、司会をしたり、発表もしたりで、今から、かなりブルーな気持ちになっています。(T_T)
 準備はけっこう大変なんですよ~ 結局、自分のことはいつも後回しになりがちで、何とこんなに直前になりながら、まだ発表原稿ができておらず、かなりアセッてきています。トホホ。
 わたしと同じセッションで発表するのは、正戦論の世界的権威者 James Turner Johnson 氏と、著名なフェミニスト神学者の Ursula King 氏。あ~、格が違いすぎる~、と今頃叫んでも、手遅れなんですよね。せいぜい、「日本の恥!」と言われないよう、がんばりたいと思います。(^_^;)

 全体のテーマは「宗教における戦争と暴力:一神教世界からの応答」となっています。何だか難しそうですよね。
 そう言えば、偶然にも、上の広告の左横には、BoAの大阪城ホールでの追加公演の案内が! こっちの方が断然いい~、と心の中で叫んでしまいました(→関連記事2/21)。って、こんなこと言うとCISMOR関係者に怒られそうなので、ご内密に。(^_^;)

 このワークショップの雰囲気については、またこのBLOGでお知らせしたいと思います。乞うご期待!

■一神教学際研究センター 国際ワークショップ2004
http://www.cismor.jp/jp/workshops/2004/20040220.html

 今日は、できたてほやほやの新ページを紹介します。
 一神教学際研究センターについては以前にも紹介したことがありますが、そのサイトに新コーナー「ワールド・ウォッチ・ニュース」が追加されました。
 そこの説明文によれば(実は、わたしが書いているんですけれども・・・)、このコーナーは次のような趣旨をもっています。

 「ここでは、同志社大学 一神教学際研究センターの活動に関連する様々な情報をストリーミング・ビデオとして発信していきます。センターの活動紹介や、学術的なトピックスのレクチャーに加え、最近の国内外の出来事を専門的な立場から分析・紹介していきます。新聞・雑誌などのメディアでは十分に掘り下げられていない、出来事の背景や歴史などに迫っていきます。」

 要するに、ストリーミング・ビデオによる解説コーナーです。Real形式とWindows Media形式の両方で、ナローバンド版とブロード版のコンテンツが用意されています。ブロードバンドであれば、画面フルサイズにしても、十分な画質を得ることができますので、百聞は一見にしかず、ということで、まずはご覧ください。

 感想などをいただければ、それを今後のコンテンツ作りにフィードバックしていきたいと思っています。

■一神教学際研究センター ワールド・ウォッチ・ニュース
http://www.cismor.jp/jp/wwn/index.html

 今日は、大阪の参天製薬本社で開催された日本組織適合性学会で講演をしてきました。講演題は「遺伝子解析をめぐる倫理的・歴史的・社会的課題」
 組織適合性学会というのは、かなり医学的専門性の高い学会ですが、目下の課題の一つは、HLA検査に遺伝子解析がからんできていることのようです。HLA検査は、移植におけるドナーとレシピエントとの適合性、HLA適合血小板輸血、輸血後GVH病の予防、各種疾患の診断の補助や親子鑑定などの際に実施されている、ということですが、詳しくは日本組織適合性学会のHPをご覧ください。
 わたしに与えられた課題は、遺伝子解析がはらむ倫理的な課題を論じることだったのですが、特に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省、経済産業省、2001年)を意識した内容となりました。
 学会終了後の懇親会で、かなり興味深い話を聞くことができました。医療現場の本音というか、実態のようなものをかいま見ることができました。
 一つは、先の三省合同指針が医療現場では意識されすぎるあまり、結果的に、形式主義的な(もっとはっきり言うと、自己防衛的な)倫理指針が病院では作られる傾向にあるということです。倫理的な考察が置き去りにされている現実を知ることができました。ただし、良心的な医師たちは、この問題を自覚はしています。
 もう一つは、遺伝子解析に関わる医療現場では、技術論が先行し、倫理的な問題に取り組むという体勢は、まだほとんどできていないということです。どの病院でも、インフォームド・コンセントや倫理指針を作成しなければならないのですが、どうしても医療の専門家を中心としたチームになりやすいのです。医療関係者以外の第三者がかかわったり、あるいは倫理委員会の議論自体を社会に対しオープンにしていく必要があるのではないか、と述べておきました。
 いずれにしても、普段接することのない専門性の高い医療関係者の方々と話をすることができ、わたし自身にとってもよい刺激となりました。

■組織適合性学会
http://square.umin.ac.jp/JSHI/index_j.html

■「遺伝子解析をめぐる倫理的・歴史的・社会的課題」
http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/works.nsf/
626e6035eadbb4cd85256499006b15a6/210d7e37401ef23649256e33004e41b5?OpenDocument

 わたしが事務局長を務めている宗教倫理学会の公開講演会を下記のように案内します。
 宗教倫理学会は2000年に設立されたばかりの新しい学会ですが、仏教やキリスト教をはじめ、様々な宗教的背景をもった人たちが協力して、現代の倫理的な難問(生命倫理や環境倫理など)と取り組んでいます。シーズンによっては、毎月研究会を開催するなど、アクティブな学会でもあります。

◎宗教倫理学会 公開講演会

日時:2004年2月28日(土)午後1時~3時
場所:キャンパスプラザ京都 5階 第1講義室
講師:渡辺哲夫(東京医科歯科大学)
講演題:
〈われわれ〉と〈わたし〉
 ――総合失調症(精神分裂病)の世界から発せられる”死者と生者の共同性”への問い――
※入場無料、事前申込不要

 この講演会はかなりおもしろいと思いますので、おすすめです。ぜひ、お越しください。

左サイドの「本の紹介」の欄に、一冊追加しました。

■宗教倫理学会
http://www.jare.jp/

tv090

 KOHARA BLOGが、日刊ココログ・ガイドで紹介されています。
 このガイドで紹介されている他のウェブログを見ると、内容的にもデザイン的にも立派なものが多くて、けっこう参考になります。限られたレイアウトやスペースの中で、デザイン的な個性を発揮しているウェブログには感心させられます。
 とは言うものの、KOHARA BLOGでは、デザインの点に力を入れるというよりは、無理なく、素朴に、日々感じることを綴っていくことができればと思っています。

 先日、同志社大学のリエゾン・オフィスからニューズレターのための取材を受けました。
 リエゾン・オフィスというのは、「産学連携」や「地学連携」の推進を目的としているのですが、その性格上、工学部をはじめとする理系の先生たちとのつながりが強いところです。
 それだけに、取材の依頼があったときには「なぜ、わたしが?」という疑問が先立ち、すぐにはOKの返事をすることができませんでした。
 かつてAdobe社と協力したことはあるのですが、それもさほど継続的なものではありませんから、「う~ん、何を聞きたいのだろう?」と悩んでしまいました。
 ともかく、ライターの方がうまくまとめてくれるから、何でも話してくれ、とのこと。まあ、いいかと思い、引き受けました。
 社会とのつながり、にフォーカスがいくように、当日は以下のようなテーマで取材が進みました。

・インターネット授業、大学コンソーシアム京都でのコーディネート授業
・医療倫理の啓蒙活動
・京都の文化の発信・創造(仏教関係者との連携、宗教倫理学会)
・環境問題(産業廃棄物処理問題)への取り組み
・京都を土台とした一神教研究・文明間対話の世界への発信

 かなり、まとまりのないテーマ設定ですが、いまさら、きれいにまとまるわけでもないので、ざっくばらんに話したのですが、わたしにとっても自分自身を問い直す、よい機会になったように思います。

 今まで、わたしは社会に対し何をしてきたのか?
 今、何をしているのか?
 これから何をしたいのか?

 これらの問いは非常に基本的なものでありながら、やはり人生の中で繰り返し自覚すべきことなのでしょう。自分を振り返ると、けっこう無鉄砲に、いろいろなフィールドに飛び込んでいったように思うので、立ち止まって、足跡を見つめなおすというのが時には必要だと感じました。
 とは言うものの、無鉄砲な性格は今後も変わりそうもありませんが・・・ (^_^;)

 この取材の結果は、ニューズレター『LIAISON』3月号に載るそうなので、そのときには、またお知らせします(Webで見ることができます)。

■「インターネット授業で新しい教育モデルを構築する」、『Adobe Streaming Media Solution』
http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/essay.nsf/
504ca249c786e20f85256284006da7ab/ee640eacf0882d4149256b0e00510559?OpenDocument

■「Adobe Acrobatを活用し、アカデミック・ライティング指導に新たな方向をひらく」、Adobe 教育事例紹介
http://www.adobe.co.jp/education/features/doshisha/main.html

■「ユーザ事例――Adobe Acrobatを導入しアカデミック・ライティング指導し、Adobe PDFを活用した新たな方向を開く」、Adobe Acrobat 5.0パンフレット
http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/essay.nsf/
504ca249c786e20f85256284006da7ab/ee489bd8760126ba49256cda005b6d76?OpenDocument

■同志社大学リエゾンオフィス
http://liaison.doshisha.ac.jp/

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