小原On-Line

新聞記事: 2009年11月アーカイブ

 先日触れた小沢発言に対し、日本キリスト教連合会が抗議文を送り、それを受ける形でさらに小沢氏が自説開陳という記事をいくつか目にしましたので、成り行き上、少しコメントしておきたいと思います。

■asahi.com:「成仏するのは仏教だけ」小沢幹事長、改めて文明観披露

 上の記事から一部抜粋します。

 10日に和歌山県の高野山金剛峯寺を訪れた際に、キリスト教を「排他的」「独善的」と指摘。これに対し、「日本キリスト教連合会」が「キリスト教に対する一面的理解に基づく、それこそ『排他的』で『独善的』な発言」と抗議文を送っている。
 これを受けて小沢氏は16日、「(仏教の世界観では)生きながら仏にもなれるし、死ねば皆、仏様。ほかの宗教で、みんな神様になれるところがあるか。根本的な宗教哲学と人生観の違いを述べた」と説明。

 日本キリスト教連合会の抗議文の全文を知ることができませんので、記事に紹介されている文章だけから判断せざるを得ないのですが、ここだけを見ると「あんたこそ排他的でっせ!」と水掛け論に終わってしまっている印象を受けます。
 日本語の「排他的」「独善的」は、一般的に悪い意味を持ちますので、けなし合いの様相を呈しているといってもよいでしょう。
 ちなみに、「排他的」に対応する英語は exclusive ですが、これは必ずしも悪い意味を持たないばかりか、かなりポジティブに使われる場合も多くあります。たとえば、あるお店が顧客に対して Exclusive for You というメッセージを送れば、それは「お客様への特別ご奉仕!」となりますし、また、私が毎日のようにチェックしているCNNの動画には、しばしば CNN EXCLUSIVE という文字が入っています。CNN による独占取材(放送)という意味です。

 わたしは「排他的」な要素を持つこと自体が悪いとは思いません。キリスト教には排他的なグループが今も昔もたくさん存在していますし、それは将来も存在し続けるでしょう。それはキリスト教をキリスト教たらしめるための生命線の一部にもなっています。
 そうした部分を内包していることを率直に認めながら、どうすれば、そうした排他性が、他者(他宗教)への優越や排除に結びつかずにすむのか、つまり、どのように排他性を抑制・コントロールできるのかという、そういったレベルの知恵を語るべきではないのでしょうか。
 互いに「排他的」と言い合っていては、双方に敵対的な感情が残るだけだと思います。
 モントリオールから無事、サンタバーバラに帰ってきました。帰る直前に目にした記事の一つが民主党・小沢一郎幹事長の高野山での宗教談義。まずは下の記事をご覧ください。

■asahi.com: 小沢氏「排他的なキリスト教文明、欧米行き詰まる」

■Mainichi Daily News: DPJ's Ozawa: Christianity 'exclusive'

 asahi.comから小沢氏の発言を抜粋し、少しばかりコメントをしておきたいと思います。

「キリスト教もイスラム教も非常に排他的だ。その点仏教は非常に心の広い度量の大きい宗教、哲学だ」

※仏教を含む日本宗教万歳という主張は、これまで自民党の政治家によく見られましたが、民主党も例外ではないことがわかります。ちなみに、かつて民主党の「憲法提言中間報告」の中に、これに似たメッセージが入っていたことがあります。これについては、2004年10月31日の記事をご参照ください。小沢氏一人の問題ではないことがわかります。
http://www.kohara.ac/blog/2004/10/post-122.html

来年にスイスで開かれる国際会議に松長管長が出席することから、「欧米人に仏教の神髄を説いてやるのは非常に意義がある。大変うれしい」

※本当に欧米人に「仏教の神髄」が伝えられるのなら、私も「大変うれしい」です。ぜひ、何を伝えたのか、また、それがどのように受けとめられたのかを明らかにしてもらいたいものです。一方的に価値あるものを伝えてやった、という姿勢は国際社会では通用しません。

「排他的なキリスト教を背景とした文明は今、欧米社会の行き詰まっている姿そのものだ」

※ここに小沢氏の世界観が凝縮されていると言ってもよいでしょう。ほぼ同じメッセージを戦前の国粋的な知識人や政治家たちが唱道し、それが結果的に日本を戦争へと導いていったことを小沢氏は理解しているでしょうか。
 こういった発言は、今の時代、良識ある宗教者の間ではもはや耳にすることができません。小沢氏の行き過ぎたリップサービスを高野山の仏教者たちが、きちんと、たしなめたのかどうか。こうした対応においてこそ「仏教の神髄」があらわになると私は思うのですが・・・

 この種のメッセージが、今なお繰り返されている現状を考えると、私の仕事においても、まだまだ基本的な伝達を怠ることができないことを痛感させられます。もう少し、21世紀にふさわしい洞察を政治家には期待したいところですが、日本では無理なんでしょうかね。
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