小原On-Line

小原克博: 2010年5月アーカイブ

 5月30日(日)に、普段通っている Bethany Congregational Church の日曜礼拝で説教(メッセージ)をしました。サンタバーバラのような比較的小さいな街にある教会としてはめずらしく日語部(日本語の礼拝)があります。しかも、偶然この教会は、同志社と同じ会衆派(congregational)の伝統を引いています。もっとも、ほとんど単立のような教会なので、会衆派のグループとして積極的に活動しているわけではありませんが。アメリカは、単立の教会が非常に多く、また、伝統教派より勢いがあることにしばしば気づかされます。
 メッセージを語る際、印刷した紙ではなく、iPad を用いました。たぶん誰一人気がついていなかったと思いますが。実験的にやってみましたが、特に大きな問題はなく、発色がよい分、紙より文字が目に入りやすかったかもしれません。何回か、スクリーンのタッチする場所を間違えて、文字を拡大してしまい、あせるときもありましが、何とか平静を装い、続行することができました。ちょっとしたコツと慣れは必要です。しかし、十分実践投入できることを経験できましたので、今後も折に触れて活用してみたいと思っています。

 この教会の礼拝はとてもシンプルで(もちろん、内容豊かですが)時間も短いので(45分程度)、とても気に入っています。敷居が高い感じがありません。礼拝後には、いつもおいしいケーキ類とコーヒーが振る舞われ、歓談の時間の方が長いかもしれません。しかし、これがとてもよい交わりの機会となっています。

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 この日の礼拝後には、教会の青年たちと一緒に Six Flags Magic Mountain というスクリーミング系ローラー・コースター満載の遊園地に出かけました。ロサンゼルスの北部にあり、車で1時間半ほどの距離にあります。
 絶叫系コースターは決して得意なわけではないのですが、異次元の体験には興味をそそられます。これほど大規模なものは、他にあまりありませんので、チャレンジ精神もわいてくるのですが、ちょうど連休中の日曜日だったということもあり、大勢の人が来ていて、人気のコースターに乗るためには長蛇の列に並ばなければなりませんでした。

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 絶叫系のほか、ウォーター系にも乗りましたが、予想を超える大量の水を浴びることになりました。座る場所によって運不運がありますが、私の場合、ずぶ濡れになってしまいました(左写真参照)。
 そして、何と不運なことに、ズボンの後ろポケットに入れていた iPhone に水が大量に注がれ、機能停止! イヤホンジャックから水がしたたり落ちるくらいに水をあびて、電源を切りたくても、どのスイッチも作動しない状態になってしまいました。
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 帰宅してから、ドライヤーで乾かしたりして、回復作業に努めた結果、多少改善の兆しがあらわれたのですが、未だ、電源のオン・オフすらままならない瀕死状態に iPhone は置かれています。三日後の復活を期待して、乾燥作業を続けているところです。果たしてどうなるのか、iPhone! 
 乗り物の数が多く、また人の数も多いので、とても一日ですべて回りきることはできません。それでも、日が暮れる頃にはギャーギャー叫び続けて喉がかれていました。

 「デジタル教科書」を目指すコンソーシアムが発足したという記事を読みました。

■CNET Japan: デジタル教科書の実現を目指し産学協同のコンソーシアムが発足

タイトルには興味をそそられたのですが、これは実現すべきなのかどうか、ちょっと考えてしまいます。上記記事によると、

デジタル教科書に必要な条件として「小学1年生が持ち運べるほど軽く、濡らしても、落としても壊れにくい」、「タッチパネル」、「8ポイントの文字がしっかり読めて、カラー動画と音楽が楽しめる」、「無線でインターネットにアクセスできる」など10項目があげられている。今後は、文部科学省や総務省など政府とも連携し、すべての小中学生がデジタル教科書を利用できる環境づくりを目指し、活動を続けていくとしている。

ということで小中学生がメインターゲットになっています。しかし、小学生がデジタル教科書で勉強すべきなのでしょうか。どんなに丈夫でも、小学生の手にかかればデジタル機器なんて、あっという間に使用不能になるでしょう。文部科学省は、高価なデジタル教科書を全学生に配給し、また修理もしてくれるのでしょうか。
 小学生や中学生は、紙の教科書を落書きしたり、破いたりしながら勉強した方がよいと思うのですが・・・
 本当にデジタル教科書を実現したいなら、大学や高校から実験的に始めるべきだと私は思います。アメリカの大学でも、Kindle などを使った紙資源節約のための実験的取り組みは始まっています。
 上記記事で紹介されているコンソーシアムの意気込みは立派だと思うのですが、順序が逆のような気がしてなりません。
 5月26日に "Popular Culture in Modern Japan" (by Professor Sabine Frühstück) のクラスでのゲスト・レクチャーを無事おけることができました。
 Fantasy, Mythology and Religion in Anime and Manga というタイトルで65分ほど話し、10分ほど質疑応答の時間を持ちました(授業は75分)。
 日本での講義でも、アニメや漫画を時々素材としては使っていましたが、ずばり、アニメ・漫画を対象として話をするのは初めてだったので、直前まで準備に手間取りました。
 講義の前に、Frühstück 先生が私の紹介を丁寧にしてくださいました。宗教を専門とする distinguished Professor であり、同時にポピュラーカルチャーにも詳しい Otaku であるという何ともすばらしい説明でした。
 レクチャーでは最初に宗教と文化の関係や、アニメ・漫画の影響力など一般的なことに触れ、その後、アニミズムと終末論を軸として宗教とアニメ・漫画の関係を論じました。
 途中、映像として「もののけ姫」「新世紀エヴァンゲリオン」「風の谷のナウシカ」などを短く挿入しました。
 下に、結論部分のスライド(3枚)を参考までつけておきます。Eschatological Coordinate を見て、一気に腑に落ちる人はかなりオタク度が高いと言えるでしょう。
 質問にも何とか答えることができました。また、授業が終わった後、オタク度の高そうな学生が数名やってきて、感激した、と話してくれ、少しほっとしました。

 何はともあれ、アメリカの大学で講義をしたというのは、私にとっては貴重な経験となりました。(少々強引に)依頼してくださった Frühstück 先生にも感謝したいと思います。

 先週の講演会では本居宣長や大川周明などを扱い、今週の講義では、碇シンジ(エヴァンゲリオン)や草薙素子(攻殻機動隊)を扱い、このギャップはかなりヤバイ気がしますが、(前)近代日本のテーマが現代のポピュラーカルチャーにも形を変えて引き継がれているという点では、先週と今週のテーマはつながりがあるのではないかと勝手に解釈しています。

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 Skype を利用した、太平洋越しの大学院ゼミを再開しました。数名の方々が3月に大学院を修了し、全体の人数が減ったので、今学期は回数を限定して行っています。
 今回から、日本側はパソコンの内蔵マイクではなく、外部マイクを接続して、話す人がマイクを持つようにしてもらっているので、音声がきわめてクリアーです。
 出席者の間でマイクを回す面倒が多少あるものの、音声に関しては、今回のやり方がベストであることがわかりました。
 こういう形でゼミを続けていると、学生たちとも遠く離れているという感じがしませんので不思議です。
 CNN で興味深い記事を読みました。


 マルコムXとキング牧師については、黒人解放の神学を講義で扱う際に必ず取り上げるのですが、両者の個人的な接触やお互いへの印象については、これまでよくわかってはいませんでした。上記の記事では、そうした不明点を補うような情報が含まれており、おもしろかったです。
 元々、二人は「犬猿の仲」としてスタートしましたが、晩年、相互理解が進んでいたことがわかります。二人が共に凶弾に倒れ、相互理解が十分に深まる時間が与えられなかったことが、残念です。
 East Asia Center (UCSB) の公開講演会は、無事終了しました。小さい教室ですが、満員御礼となりました。学生だけでなく、先生方もたくさん来てくださり、ありがたい限りです。
 50分ほど話し、その後、30分ほど質疑応答の時間がありました。みなさん、私の話をよく聞いてくださり、かみ合った質問をしてくださいました。すべての質問に対して明快に答えられたかどうかは分かりませんが、途中しどろもどろになることなく、何とか終えることができました。
 講演会の終了後、Yang 先生らとサンタバーバラのダウンタウンにあるイタリア料理店で食事をしました。
 6月後半は偶然、仕事がかたまってしまい、なかなか気を抜くことができないのですが、一つ肩の荷がおりました。
 来週水曜日には、75分のレクチャーをすることになっていますので、一息入れて、目下その準備に取りかかっているところです。アニメ・漫画と宗教の関係について話します。同志社でも、ずばりこういったテーマの講義はしたことがないので、話の組み立てを思案しているところです。あと、どのような素材を取り上げるかも悩ましいところです。
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 明日、East Asia Center (UCSB) の公開講演会で、"Conflicting Religious Values in Globalizing Japan: From the Meiji to the Present" というテーマで話をします。
 右のようなポスターがキャンパス各所に張られていました(クリックすると大きくなります)。
 目下、プレゼン資料の準備中です(Keynote で作成)。
 EACの講演会は、ディスカッションがいつも白熱しているので、明日も楽しみです。突っ込まれて、しどろもどろになる可能性もありますが、それも含めて楽しみたいと思っています。
 ポスターに記されている講演要旨を下に記しておきます。

This lecture examines the roles of Christianity, Islam, State Shinto, and Buddhism in Japanese modernity.  Since the Meiji period, Japanese politicians and intellectuals have attempted to "civilize" Japan as a way of countering the West.  This historical process has contributed to the formation of Occidentalism and religious nationalism in Japan.   This talk will also address current discourses of "monotheism vs. polytheism" in Japan, compare "idolatry" with Orientalism, and shed light on the destructive effects of iconoclasm in the realpolitik of global society.
 武田龍精先生退職記念論集刊行会編『科学時代における人間と宗教』(法蔵館、2010年)を追加しました。
 まだアマゾンに掲載されていないのですが、書誌データとしては以下のものがあります。

■仏教書総目録刊行会:『科学時代における人間と宗教』

 上記の本が、本日、私の手元に届きました。私は「近代国家における宗教と科学の錯綜──秩序への挑戦か、迎合か」という論考を寄稿しています。
 武田先生に縁のある人たちが寄稿した退職記念論集です。エライ先生たちがたくさん書いていますが、636ページで本体価格は9000円ですので、どなたにでもお薦めできるわけではありません。科学の立場からの論考もありますが、やはり仏教関係のものが多いです。
 個人的には、武田先生の交友関係やこれまでの学問的背景がわかって、おもしろいと思いました。
 武田先生とは、特に京都・宗教系大学院連合を立ち上げる際に一緒にがんばった仲です。何度も武田先生の研究室(龍谷大学)に足を運んで、あれこれ相談したことが、今となっては懐かしいです。
 武田先生は浄土真宗をベースにしながら、キリスト教神学にも精通され、幅広いものの見方ができる方です。こういう方は残念ながら多くはいません。
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 先日、サンタバーバラとロサンゼルスの中間くらいにあるカシタス湖に出かけてきました。釣りが目的だったのですが、湖岸近くで、人なつっこいリスに出会いました。
 リスは通常警戒心が強く近くには寄ってこないのですが、ここのリスは、私の足元までやってきて、与えたバナナの小片をほおばっていました。
 右の写真は拡大していただくとよくわかると思いますが、ほおばる直前の口をあんぐり開けた様子が写っています。
 YouTube にもアップしましたのでご覧ください。

20100514_1.jpg 3月17日の記事で、アメリカに来てから増えた体重を何とかしなければ、という決意表明を記しましたが、今回はその続きです。


 途中、挫折しかけながらも、ぼちぼちと走り続けています。そして右の写真が現在の体重。
 3月17日には66.1キロでしたから何とか2キロ減量した頃になります。
 しかし、紆余曲折がありました。その紆余曲折曲線を示しているのが下のグラフです。iPhone のアプリで体重管理をしていますが、見事なアップダウンを描いています。
 66.1キロからスタートして、少し下がったところで最高66.5キロまで上昇しました。これはラスベガス、グランドキャニオンなどに出かけた旅行の効果です。毎日長時間を車を運転して運動をせず、栄養価の高いものを食べ続けた結果、ぐいっと上昇してしまいました。
 そこでかなり自信もやる気も失いかけてしまいました。が、なんとか気を取り戻して、今日の結果にまでこぎつけた次第です。
 まだまだお腹のまわりに贅肉がたっぷりついており、おもりをつけて走っているような感覚ですので、引き続き、がんばりたいと思っています。



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 iPad は各国とも売れ行き(予約を含む)がよいようですが、うがった見方をすれば「高価なおもちゃ」ではないかと冷ややかに見ることもできるでしょう。アプリの多様さからすれば、まさに「おもちゃ箱」的ガジェットであることは間違いありませんが、今後の電子書籍のあり方を考える上で iPad の評価は欠かせません。

 私の関心は、電子書籍が学問的に使えるものになるかどうか、という点にありますが、それに関して以下のような課題があると思います。

  • 視認性(読みやすさ):長時間読めるかどうか。Kindle の電子インクは読みやすい。
  • 引用:どのように引用するのか。現状では引用スタイルが確立していない。客観的なマーキングシステムは可能か。
  • 脚注:現状では何も工夫されていない。クリックすれば注にジャンプできるのが理想。
  • 本の数:Kindle 50万冊、iBooks 6万冊。学術的な本は十分そろっているとは言えない。しかし、新刊書の多くは電子書籍に対応してきている。
  • ブックマーク、ノート機能:iBooks, Kindle のいずれもマーキング、ブックマーク機能はある。iBooks はノート機能がない。
  • 複数の機器での利用:Amazon は、Kindle だけでなく、パソコン、iPhone 、iPad など複数の機器で同期できるというメリットがある。3Gが世界中で使えるのは、Kindleのアドバンテージ。Kindleは購入した本を別の機器でも読めるが、購読している新聞等を読むことはできない。
  • 日本語の対応:現時点では Kindle も iBooks も日本の出版業界は対応していない。ただし、無料の青空文庫を読むことは可能。iPad には青空文庫対応のアプリ(i文庫HD)がある。
 実物の比較をご覧になって、電子書籍の今後を考えてみてください。

 日本での iPad の発売について報道がなされていますが、ユーザにとって非常に不利な形での販売になっており驚きました。


 もともとSIM をアンロックして(どの会社のSIMカードでも利用可能)販売されている iPad が、日本はきわめて異例で、ソフトバンク経由でしか 3G 回線を使えないようです。SIM ロックして販売する国は、日本くらいではないでしょうか。
 その上、3Gの契約料が高く、しかも、縛りがきつい! 詳細に語る気力も失せるほどです。アメリカでは、1ヶ月単位で自由に契約・解約ができます。それがソフトバンクのデータ定額プランの場合、24ヶ月の縛りがあります。

■ SoftBank: iPad 料金プラン

 NTT ドコモが下記記事のように SIM カードの販売を発表していましたが、SoftBank の排他性によって道を阻まれることになりそうです(それとも裏道があるのか?)。


 ケータイのSIM フリーについての議論がなされている中、これは時代に逆行する行為のように思えてなりません。
 日本の iPad 購入予定者は、アメリカや他国の事情を知ることなく、この悪条件をのむしかないのでしょう。アップルジャパン、これはひどいんじゃないでしょうか?!
 iPad 3G の特徴を簡単にお伝えしたいと思います。
 動画中、3Gのデータプラン250MBで19.99ドルと口走っているのですが、正しくは14.99ドルです。以下に、他のデータプランとの比較をのせておきます。かなりお安く設定されているのがわかります。日本でも、同じ程度になることを期待します。Soft Bank と NTT Docomo が競合することになりそうなので、リーズナブルな価格に落ち着くのではないでしょうか。
 iBooks など電子書籍については、後日、報告します。 AT&T 3G Data Plans for iPad 250MB (1 Month) $14.99 Unlimited (1 Month) $29.99 AT&T Data Packages for prepaid cell phones 1MB (1 Month) $4.99 100MB (1 Month) $19.99 MiFi Prepaid 75 MB(1 Day) $15 250 MB(1 Week) $30 500 MB(1 Month) $50

 4月30日、予約注文していた iPad 3G が到着しました。
 日本を含めアメリカ以外の国では、あと一ヶ月ほど待たなければなりませんので、一足早いレビューとなります。まずは「開封の儀」を動画にてご覧ください。
 操作の基本は、iPod Touch や iPhone と同じです。目下、iPad 専用のアプリをぼちぼちと物色しているところです。
 基本的な機能や特徴は、すでに Apple の iPad 専用ページで紹介されていますので、関心ある方はそちらをご覧ください。少し使い慣れてから、使用感などについて後日報告したいと思います。


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近  著

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