小原On-Line

小原克博: 2011年10月アーカイブ

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 10月29日と30日にかけて第5回ユダヤ学会議を開催し、その中で二つの公開講演会が行われました。私は29日に大谷大学での講演があったため、二日目のみ出席しました。
 二日目は、プリンストン大学のピーター・シェーファー教授による公開講演会「キリスト教出現に対するユダヤ人の反応」と、それに続く研究会「タルムードの中のイエス」が行われました。
 キリスト教がユダヤ教から分離する時代のユダヤ教の状況、キリスト教に対する対応をテーマにしたものでした。タルムードの細かい議論になると、理解が及ばない点も多々ありましたが、(キリスト教の)聖書学者とユダヤ教の専門家が共に初期キリスト教とユダヤ教との相互関係について論じあう貴重な機会となりました。
 シェーファー先生の『タルムードの中のイエス』は以下のように邦訳があります。初期キリスト教とユダヤ教の関係について関心のある方にはおすすめできます。

 ドーハでの会議の三日目にケンブリッジの The Woolf Institute の所長のケスラー教授のスピーチがありましたが、その動画を下につけておきます。
 このスピーチに注目し、わざわざ録画したのは、このインスティテュートが一神教研究をしているからです。まだ詳しくは調べていませんが、CISMORに似た部分を持っていると思います。スピーチの内容は、一神教研究に直接かかわるものではありませんが、非常にバランスがとれており、説得力のあるものでした。

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 会議最終日を終え、その日の深夜0:50の飛行機に乗り、無事、日本に帰国しました。
 今回は、カタールという国を知ることができたのが何よりの収穫ですが、同時に、宗教間対話の意味や、今回の会議のテーマとなったソーシャル・メディアとの関係についても理解を深めるきっかけとなりました。
 今回得た成果を、今後の講演や発表の中で生かしていきたいと思っています。
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 会議の第三日目に入りました。
 今日も、たくさんのスピーチがありましたが、右の写真にあるチュニジアの女性が、ジャスミン革命の際にフェイスブックがいかに役だったかを語った話は、さすがに説得力がありました。
 もちろん、ソーシャル・メディアを悪用する人々(政府を含む)は、どこの国にも存在します。また、間違った情報を意図的に流す人々もいます。こうしたネガティブな側面に対する議論もなされました。
 ディスカッションの中では、宗教間対話における女性の役割の重要性が強調されていました。女性が母となり、子どもを生んだ場合、子どもたちに寛容の精神を直接的に教えることができるからです。これに関連して、北アイルランドでは、紛争の和解のための話し合いが、母親たちの行進から始まったことが紹介されていました。
 全体的に女性の積極的な発言が多く、日本における宗教間対話とは際だった違いを目の当たりにすることができました。
 三日間の会議を終え、夕方からバスに乗って近場の見学に出かけました。以下、写真で紹介します。

 ソーシャル・メディアと宗教間対話をめぐる議論の二日目に入りました。
 セッションごとに、微妙に異なるテーマがついているのですが、どのセッションも議論の内容は似ています。質疑応答は活発になされ、「対話」の様相はなしているのですが、テーマとは関係なしに、それぞれのお国事情を熱く訴えるような発言が多くなされていました。横道に大きくそれていても、主張が自由になされる雰囲気は、お行儀よく静まった雰囲気より、はるかによいと思います。
 ソーシャル・メディアに限らず、インターネットを含む新しいテクノジーに伝統的な規範、たとえば、家族形態を変質させていく可能性があることを間違いないでしょう。イスラーム世界では、社会の基礎に家族や家族を中心にした価値規範がありますので、それが崩れていくことに対する恐怖心や不安のようなものが、一定の年齢層以上には強くあることを感じさせられました。
 今日の最初のスピーチは、ジェシー・ジャクソン師でした。70歳という年齢を感じさせない風貌ですが、スピーチは往年の元気さを欠いたおとなしい調子でした。キング牧師ゆずりの No Violence の精神は、今も同師のメッセージにあふれていました。議論に対するコメントの中で、日本の原発問題、核廃棄物の問題に触れていたのは、さすがだと思いました。漠然とした対話を訴えるだけでなく、こうした具体的な課題をいかに共有できるかが、問うべき問題であると実感した次第です。
 ジェシー・ジャクソン師のスピーチ(10分)を下につけておきます。

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 一日目の会議を終え、夕食までのわずかの時間、駐カタール日本大使館の大使公邸に招待されました。今回の会議は、外務省経由の話なので、こうした機会を得ることになりました。
 右の写真は、中央に門司健次郎・カタール大使、その右側が会議に一緒に参加している南山大学の渡邉 学先生です。
 大使は、カタールの状況を情熱的に語ってくださりました。小さいながら、天然ガス資源に恵まれ、教育に力を入れる豊かな国であることがわかりました。

 その後、会議参加者は大型バス3台に乗って、スーク(市場)に向かい、そこで食事をしました。スークでは驚きの光景を目にしました。写真でご覧ください。
20111024.jpg 3日間の会議の第一日目が始まりました。今回、全体のテーマは「ソーシャル・メディアと宗教間対話」です。言うまでもなく、中東の民主化革命において、ツィターなどのソーシャル・メディアが大きな役割を果たしたことが背景にあります。
 「宗教間対話」の重要性が何度も言及されるのですが、やはり、中東でいう「宗教」とはユダヤ教・キリスト教・イスラームの三つの一神教を指していることは明らかです。
 この会議は国をあげての企画ですので、会場の演出やメディアの数も半端ではありません。カタールに限らず、宗教間対話に積極的であることを国際社会にアピールすることは国益の一部になるということでしょう。
 大会場で話が進んでいきますので、なかなか「対話」とはならないのですが、三日間しっかりと様子を見たいと思います。
20111023b_3.jpg 朝食後、ホテルからドーハ中心街に散歩に出かけました。
 9時を過ぎると、外はかなり暑く、汗ばむほどでした。
 写真を通じて、街の様子をお伝えしたいと思います。
 右の写真は、宿泊しているシェラトン・ドーハ・ホテルです。底面が三角形のピラミッド状建築物で、そのユニークな形状はかなり目立っています。
20111023_1.jpg 現地時間の朝5時頃にドーハに到着しました。日中の最高気温は35度くらいになるらしいのですが、朝方はさすがに涼しいです。
 右の写真は空港からホテルに行く途中で市街地を撮影したものです(走っているので写真がぼけています)。空気が澄んでいるせいか、朝焼けがきれいでした。
 日本との時差は6時間。スムーズにアジャストできればよいのですが。

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 左の写真はホテルのベランダから撮影したドーハの中心街です。上海のようにユニークな形の高層建築が立ち並んでいるのが印象的でした。

 サーラ王妃殿下の講演会、続く研究会のあと、王妃殿下らと会食をし、目下、関西国際空港に向かっています。
 ドーハ(カタール)で行われる Conference on the Interfaith Dialogue に招待されたので、5日間ほどドーハに滞在します。
 帰国のあとも、過密スケジュールが待ち構えているので、しばらくは息を抜けそうにありません。
 ドーハでうまく息抜きできればと願っています。ドーハでの様子は時間を見つけて、この場で紹介したいと思っています。
 ドーハまでは、カタール航空による直行便で、11時間かかります。
20111022_1.jpg 10月22日、サラ・A・ビン・ジャラウィ・アール・サウード王女殿下を講師に招いて「現代世界におけるムスリム女性」をテーマとするCISMOR講演会を行いました。
 普段、断片的にしか伝わってこないイスラーム世界の女性をとりまく状況やイスラームからの見方をまとまった形で聞くことができ、質疑応答も非常に活発に行われました。
 以下に、簡単なメモをつけておきます。
 Introduction to Japanese Religion の授業のフィールド・トリップとして、学生たちを連れて、上賀茂神社に行ってきました。
 友人の乾さんに英語での案内をしてもらいました。彼の英語での説明はとてもわかりやすく、学生たちも聞き入っていました。その様子をYouTubeにアップしましたので、ご覧ください。
 
 研究発表「生物多様性に対する神学的考察」(日本基督教学会 近畿支部会、2011年3月29日)の動画を YouTube にアップしました。当日はパソコン・プロジェクターを使わず、ただ口頭で発表しただけでしたが、わかりやすさの便を考え、レジュメに対応したスライドを作成しました。
 今回の動画には新たな試みが組み込まれています。コアラ型のアバターが節目節目で登場するようになっています。通常、研究発表や講演会で動画撮影をすることは困難ですし、また、実物の私が出てくるより、コアラが出てくる方が、おもしろみが出るのではないかと考え、今回、アバターに初挑戦しています。
 作成にあたっては、類例がないかとインターネットで調べてみたのですが、学術的内容にこの種のアニメーションを使っているものは見当たりませんでした。これはあくまでもプロトタイプで、今後、検討を重ね、より飽きの来ないコンテンツ設計を探求していきたいと考えています。

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 今学期、同志社大学 国際教育インスティテュートの留学生向けの授業 Introducition to Japanese Religion を担当しているのですが、話ばかりではおもしろくないので、いくつかフィールド・トリップを取り入れています。
 その一つに予定している上賀茂神社を先日訪れ、打ち合わせをしてきました。神社は京都だけでもたくさんあるのですが、英語で説明できる人は、ほとんどいません。上賀茂神社には英語の堪能な友人がいるので、彼に頼んで上賀茂神社ツアーをする予定です。
 国際教育インスティテュートは今年度始まったばかりで、まだ学生数は多くはありませんが、私のクラスには、韓国、ウガンダ、英国などから来ている8名の学生がいます。
 英語で授業をするのは、やはり気を遣います。もっとも苦労するのは、日本語で聞いてもよくわからないような難解な宗教用語を英語で説明することです。しかし、学生さんたちには、細部はともかく日本宗教のアウトラインをつかみながら、日本の宗教・文化を学び、触れることを楽しんでもらいたいと思っています。
 2007年の動画で、Nifyt動画(もう使っていません)にアップしていたもの2本(大本のおり工房と本願寺の声明)と、2010年に撮影していて放り放しになっていた大本・開祖大祭の動画をYouTube KOHARA Channel にアップしました。
 海外から、日本的なものをアップして欲しいというコメントがあったので、一挙、3本のアップです。
 宗教関係の動画を集めた Church & Religions の一覧(再生リスト)はこちらです。

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 サウジアラビアとのワークショップのあと、東京で一泊したので、日曜日朝、CISMOR共同研究員のお一人が出席している日本キリスト教団 青山教会の礼拝に参加してきました。銀座線の外苑前からすぐ近くの教会です。
 若い牧師先生の説教は力がこもっており、大きすぎず、小さすぎず、適度な大きさの教会は、アットホームな雰囲気でした。
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 10月8日、東京のアラブ・イスラーム学院でサウジアラビアのイマーム大学とのワークショップ Peace Building through Dialogue を行いました。アラブ・イスラーム学院は、中国大使館のすぐ近くにありますが、今回が私にとっては初めての訪問でした。なかなか立派な建物でした。
 ワークショップ中は会場の写真を撮る余裕がまったくなかったため、一枚だけ、食事風景の写真を右に付けています。昼食にアラビア料理が振る舞われました。
 アブドゥラ国王によって始められた宗教間対話プログラムの一環で、サウジアラビアから多大な援助をしていただいて開催に至りました。
 対話のための対話に終わることなく、対話から具体的な成果を引き出し、それを継続していくことは決して簡単なことではありません。時に忍耐を必要としますが、息長く、こうした試みを続けていくことを、まずは目指したいと思っています。

 内藤先生の近著『イスラム━癒しの知恵』の書評を掲載しました。読みやすく、しかし、じっくりと考えさせられるものが残る良書です。
 この書評が掲載された同じ『同志社時報』に、まったくの偶然ですが、内藤先生が拙著『宗教のポリティクス』に対する書評も書いてくださっています。

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