小原On-Line

旅行・地域: 2007年3月アーカイブ

 先日、徳島の大塚国際美術館を訪ねる機会がありました。西洋の名画1000点あまりを陶板で再現したユニークな博物館として、有名です。
 「いくら精巧でも陶板では本物の迫力にはかなうはずもない」と行く前は、なめてかかっていたのですが、実際に見てみるとびっくり! 本当によくできています。おそらく3メートルも離れれば、本物と陶板の違いはわからないのではないでしょうか。

 圧倒されるのは、システィーナ礼拝堂などの実物大を再現しているだけでなく、選りすぐりの名画を目の前で見れる(手で触れる)ことです。
 先日、Yokoさんがコメントで紹介してくださったダヴィンチの「受胎告知」(ウフィツィ美術館)などは当然あるのですが、何と受胎告知が14作品もそろっていて、すぐ近くで見比べることができます。
 若桑みどりの世界だな~と感心していると、あとで絵画選定委員の一人に若桑みどりがいることを発見しました。ルネッサンスの絵画の鑑賞については、彼女の著作から学んだ部分が非常に大きく、彼女のシャープな解釈や鑑賞眼は万人におすすめしたいところです。絵の見方が変わります。
 その代表的なものが「受胎告知」。様々なバリエーションがありますが、微細な違いの中に描いた人の隠された主張(意図)を解読していく作業はスリリングですらあります。

 この美術館、とにかく名画がどっさり。本物かどうかにこだわらなければ、美術教育には最適の場所であると言えます。ちなみに、カトリック系の学校からの来場者が結構多いのだそうです。中世からルネッサンスにかけては、ほとんど宗教画ですから、宗教教育としても使える、ということなのでしょう。

 場所的に、誰もが簡単にアクセスできるというわけにはいきませんが、「陶板なんて」とバカにしている人は「百聞は一見にしかず」ですよ。

070301_1  今日韓国は「3・1独立記念運動」を記念しています。
 右の写真は、先週ソウルを訪れた際、タプコル公園で撮影した独立宣言の記念碑です。1919年3月1日に、この場所が発祥の地となって、朝鮮半島全域に抗日運動が広がっていきました。
 それに対する日本総督府からの弾圧は熾烈を極め、その中でも有名なものの一つが「堤岩里事件」です。ソウル南方で日本兵が約30人を教会に閉じこめ虐殺、放火したと言われている事件です。

070301_2_1  そして、つい数日前、この時代に朝鮮軍司令官であった宇都宮太郎の日記など、第一級の歴史資料が発見されたとの記事を目にしました。
 彼の日記にも「堤岩里事件」のことが記されており、国際世論を意識して、隠蔽工作を行ったことが記録されているとのことです。
 このあたりの詳細については、関連する下記新聞記事などをお読みください。

http://www.asahi.com/national/update/0228/TKY200702270448.html

070301_3  タプコル公園は、かつてパゴダ公園とも呼ばれていました。ここは、もともと、李氏朝鮮王室の護寺・円覚寺があったところで、今でも、国宝の十三層塔が立っています。これはかなり厳重に強化ガラスで覆われています(右の写真)。

 3・1独立宣言には、キリスト教・天道教・仏教の指導者ら33名が署名しています。
 当時朝鮮半島にいた宗教指導者たちは、日本の宗教政策が寛容であるとは思わなかったでしょうし、たとえば、日本の仏教者を仲間であるとは認めがたかったのではないかと思います。
 朝鮮半島から、る日本の宗教がどのように見られていたのかを批判的に検証することなしに、近代日本宗教史を語ることはできないでしょう。私にとっての課題です。

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