小原On-Line

講義・講演: 2012年1月アーカイブ

 先日の講演会の動画をYouTubeにアップしましたので、関心ある方はご覧ください。
 時間が30分と短かったので、かなり早口で話しています。自分で聞きながら、「もうちょっと落ち着いて、しゃべれんか?」と突っ込みたくなるほどのスピードです。
 講演会後に回収された感想用紙を拝見していても、日本宗教と一神教の関係に関心のある方の多いことがあらためてわかりました。この種のテーマ設定を、ある程度継続していく必要性を感じた次第です。

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 1月25日、神学部・神学研究科主催の公開講演会として、趙 載國先生(韓国・延世大学教授)に「韓国の教会成長の明と暗」と題して講演をしていただきました。私は司会を務めました。
 趙先生は、今年度、神学部の客員教授として滞在され、2月には韓国にお戻りになる予定です。同志社をこよなく愛され、韓国と日本の懸け橋の役割を果たしてくださっています。
 趙先生の本来のご専門は、近代日本におけるキリスト教史で、それを基軸に、キリスト教と文化の問題にも深い造詣があります。今回は、韓国教会の歴史的背景や、その現況について話をしていただきました。
 韓国は、人口のおよそ三分の一がクリスチャンで、宗教としては最大のものとなっています(二位は仏教)。教会が大きく成長してきた背景だけでなく、それが生み出した歪みについても話してくださいました。
 隣国同士とは言え、キリスト教が置かれている社会的状況や、その特質にはずいぶん違いがあることを、あらためて学ぶことができました。
 以下、簡単ではありますが、メモをつけておきます。
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 1月24日、神学部主催の講演会が開催されました。ヴォルフガング・リーネマン教授(ベルン大学神学部名誉教授)が「原子力エネルギーと被造物の責任──キリスト教神学の立場から」と題して講演をされました。
 スイス、ドイツにおける歴史的取り組みを紹介し、その中でキリスト教界における取り組みについても言及されました。どちらかと言うと、一般的なエネルギー政策の話の方が多かったです。
 講演の中心的主張は以下のようにまとめられると思います(配布のレジュメより)。

被造物への責任は、人間による共生被造物や共生世界の保護を意味する。それと共に、人間の共生被造物や共生世界との関係における自己抑制をも意味する。人間の力や介入は制限されなければならない。そのためのもっとも重要な社会手段は法律である。法律はそもそも市民の行動指針となる道徳的・宗教的信念を必要としている。

 スイスとドイツが積極的に脱原発へと向かい、また、そこに教会が一定の役割を果たしたこともよくわかりました。
 こうした話を聞きながら私が感じた最大の問題は、スイスやドイツは世界の中では例外的であって、原発を維持・推進しようとしている圧倒的多数の国々に対して、どのような影響を及ぼすことができるか、という点です。現時点でマイノリティとしての脱原発の主張を、国際社会に説得力をもって語りかけるための政策的かつ倫理的な論理の構築が求められているように思います。
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 以下のように今週末、CISMOR公開講演会が予定されています。お近くの方、どうぞお立ち寄りください。
 もう目前なのですが、私の方は、雑務の中をあえぎあえぎ生きている状態で、なかなか準備が進んでいません。磯前先生は、きっとまとまった、よい話をしてくださることと思います。各講演者の講演時間は30分と短いのですが、パネルディスカッションの時間も設けていますので、そこで突っ込んだ議論ができるかもしれません。
 一神教と日本宗教をブリッジするような話ができればと考えています。

■CISMOR公開講演会「日本宗教と一神教──宗教概念、普遍性をめぐって」
2012年1月21日(土)13:00-15:00
同志社大学今出川キャンパス神学館3階 礼拝堂
講演&パネルディスカッション
 磯前順一 (国際日本文化研究センター研究部准教授)
 小原克博 (同志社大学神学部教授、CISMORセンター長)
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 多忙な日々が続き、すっかり報告が遅くなってしまいましたが、1月13日に立命館大学の金丸裕一先生にお誘いいただき、中国プロテスタント教会を主題とする研究会に参加しました。
 一つ目の発表は、松谷曄介先生(八幡鉄町教会牧師、写真右)による「日中キリスト教関係史」。この分野の専門家で、非常に詳しく戦前の日中の人物関係を説明してくださいました。占領政策の中で、日本のクリスチャンや牧師が果たした役割を客観的に評価するのは、なかなか難しいですが、宣撫工作だけに還元することのできない人間模様を学ぶことができました。
 二つ目の発表は、南京神学院の副院長のワン・アイミン先生(写真左)による「中国プロテスタント教会の歴史と課題」でした。昨年6月、南京大学で行われた国際シンポジウムに参加した際、ワン先生とはお会いしていました。昼食や夕食の際によく話をしましたので、今回、ぜひ再会したいと思い、この研究会にも参加した次第です。
 三自愛国教会(中国の公認プロテスタント教会)で働く牧師たちを養成する神学校の副院長でありながら、三自愛国教会の現状を厳しく批判したり、家の教会(非公認のプロテスタント教会)を対等に評価しようとする姿勢は、ただ者ではありません。
 孫文の革命理論とキリスト教の関係を精力的に研究しているというあたりも関心を引かれるところです。
 三自愛国教会の問題点の一つとして、悪い意味での「聖書主義」(Biblicism)に陥っているという指摘がありました。聖書直解主義と言い換えてよいのかもしれませんが、神学的な省察を欠き、聖書の言葉を絶対視してしまうような傾向として、私は受けとめました。牧師が国家の役人以上に役人的になってしまっている、という辛辣な言葉もありましたが、それも、現状をなんとかしていきたいという気持ちのあらわれであると思いました。
 公認教会の場合、国家への忠誠と国家からの管理が前提になっていますので、神学的な自由が十分にあるとは言えない状況にあります。そのような制限の中で、積極果敢に西洋の神学から多くを学び、それを中国に伝えようとするワン先生は、中国の教会や神学にとって貴重な存在であると言えます。
 今回、再会の喜びを分かち合いながらも、十分な時間が取れませんでしたので、いずれ、ワン先生を再度京都にお招きして、本格的な研究会を持つことができればと考えています。
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