小原On-Line

CISMOR: 2005年11月アーカイブ

051106a CISMOR国際ワークショップの2日目。
 今日は東南アジアのセッションと、総括的なセッションとが行われました。
 インドネシア、フィリピン、マレーシアの事例が報告され、それぞれ興味深かったのですが、マレーシアの宗教間対話の一端を紹介してくれたマレーシアNCC総幹事のシャストリ氏の話にとりわけ関心を引かれました。
 宗教間対話といっても、マレーシアはイスラームが国教の国ですから、イスラームが圧倒的な影響力と政治力をもっており、それに対等に並びうる宗教は存在しません。したがって、宗教間対話は、まず少数派であるキリスト教などが権利擁護などを求めて行われることになります。
 具体的な利害調整のために、政府が主導して宗教間対話が行われることもあるようです。また、これまで対話のテーブルに着くことを拒んできたイスラームが、9・11以降、態度を少しずつ変えてきたらしく、それは9・11が引き起こしたポジティブな変化であると指摘されていました。
 結局、わたしの関心を引いたのは、マレーシアでは宗教間対話の結果が、現実的な意味を持って日常生活に影響を及ぼしている、という点であったと思います。「対話のための対話」になったり、抽象的な題目のために行われている宗教間対話とは、質的に異なる点が新鮮に映ったのだと思います。

051106b 最後のまとめのセッションは、わたしが司会をしたのですが、とてもうまくまとめることなどできません。
 しかし、臼杵陽先生が非常に適切なコメントをしてくださり、わたしが言いたかったようなことを代弁してくれたので、かなり気が楽になりました。
 その一つは、「アジア」という概念がどのように成り立つのか、という問いです。西洋対東洋、欧米対アジアという二分法の中でもっぱら「本質主義的に」語られるアジアとは何なのか、という問題です。この二分法から、完全には自由になり得ていないことを自覚することは確かに大切だと思います。
 しかし同時に、臼杵先生は「戦略的本質主義」があってもよいと述べられました。わたしは、それをマイノリティのアイデンティティ・ポリティクスと言い換えましたが、その意味での「アジア」へのこだわりはあってよいと思っています。

 最後のセッションではできるだけ相互ディスカッションの時間を取りたかったので、一人あたりの発言はできるだけ短く、具体的には2分以内に、ということをしつこいくらいにお願いしたのですが、ほとんどかないませんでした。(^_^;)
 放っておけば、20分でも30分でも話し続けるような勢いですから、これはどうしようもありません。メンタリティの違いとして、あきらめるしかない状況でした。

 ともかく無事、全体のセッションが終わり、最後は森先生がうまくまとめてくれたので、かっこうがついたように思います。はー、疲れました。

051105a 今日は、CISMOR国際ワークショップの二つのセッションが行われました。
 北東アジアの事例として、マレーシア、韓国、中国の事例が紹介されました。

 韓国の歴史や事情については、比較的よく知っている方ですが、それでも今日はいろいろな発見がありました。東アジアの中でも、韓国では例外的に、キリスト教がナショナリズムに敵対するものと見なされず、むしろナショナリズムと一体となって受容されてきた経緯があります。簡単に言ってしまえば、抗日ナショナリズムにキリスト教は大きく関与してきました。
 ところが、そのような韓国ですら、1945年時点でのクリスチャンは全人口の4.5パーセント程度に過ぎませんでした。それが、経済的な発展や、朝鮮戦争での苦難などを経験する中で、今や国民の25パーセントがクリスチャンとなっています。
 今では、クリスチャンがマジョリティになってしまったが故の問題(神学の保守化や現世主義、教会の世襲制など)が様々に噴出しています。

051105b 中国のキリスト教に関しては、ごく基本的な知識しか持ち合わせていないため、聞くことすべてが新鮮でした。
 北京などの大都市では、キリスト教は非常に盛んになっていることが紹介されました。それだけに、政府はキリスト教の活動や出版物にかなり目を光らせています。実際、発表者の一人Gao先生が書かれたキリスト教に関する本は、反政府的な要素はまったくないにもかかわらず、中国本土では出版が許されず、香港でのみ販売されているということでした。
 また、聖書は一般書店では購入することができず、教会でのみ買うことできるということでした。しかし、コーランは一般書店で購入できるというのです。おもしろいと思いました。

 あと、公開シンポジウムのパネリストとして招待した松本健一先生と、「原理主義」の概念規定をめぐって、あれこれ話ができたのは、わたしにとっては大収穫でした。今、その方面の執筆をしていますので。なかなか集中できないのが問題ですが・・・

 今週末、CISMOR国際ワークショップが開催されます。その一部(第一セッション)は次のように公開されますので、都合のつく方はぜひお越しください。

CISMOR公開シンポジウム
「東アジアにおけるナショナル・アイデンティティの危機と宗教の役割」
日 時: 2005年11月5日(土)10:00~12:00
会 場: 同志社大学今出川キャンパス 寒梅館ハーディーホール
司 会: 森 孝一(同志社大学一神教学際研究センター長)
発表者: カマール・オニアー(マレーシア国際イスラーム大学)
     松本健一(麗澤大学)
     劉 義章(香港中文大学)
コメント:徐 正敏(延世大学)
     村田晃嗣(同志社大学)

※入場無料/同時通訳あり/事前申込不要

 なお、国際ワークショップの全体については下記ページをご参照ください。
http://www.cismor.jp/jp/research/lectures/051105.html

 今回は東アジアをテーマにしているのですが、うまく論点がかみあっていくか、少々不安です。それぞれのお国事情が異なりますから、それを超えた問題意識を共有できるかどうかが鍵になりそうです。
 ちなみに、わたしは全体のまとめにあたる第四セッションの司会にあたっており、かなり気が重いです。司会より、自由に発言する方がはるかに好きなことは言うまでもありませんが、立場上、毎度のことながら、司会業から逃れることができません(泣)。
 今回、韓国・中国・フィリピン・マレーシア・インドネシアから参加者を招へいしています。
 どういう議論が展開されるのか、楽しみ半分、不安半分、といったところです。

 国際ワークショップでおもしろかった点については、後日、ここで紹介したいと思います。

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