小原On-Line

CISMOR: 2006年2月アーカイブ

060208 コネチカット州立大学の Norton Mezvinsky 教授が同志社を訪ねてこられ、大学で1時間ばかり話しをした後、烏丸御池近くの新風館で一緒に食事をしました。参加メンバーは、森・手島・サミールの各先生とわたし。
 サミール先生が東京外大で行われたシンポジウムでMezvinsky 先生と出会い、急遽、京都にお連れすることになりました。CISMORの活動に関心を持たれたからです。
 というのも、Mezvinsky 先生はユダヤ教原理主義についての本を著しておられ、目下の研究課題は、クリスチャン・シオニズムであるので、CISMORの研究と何かと接点があります。

 シオニズムは、元来、ユダヤ人国家の建設を目指すユダヤ人たちの運動ですが、クリスチャンの中にも、イスラエル建国をメシア到来の重要なステップと見なし、イスラエルを特別視する人たちがいます。そうした人々のことを、クリスチャン・シオニストと言いますが、大半は米国在住の福音派クリスチャンたちです。福音派クリスチャンのすべてがクリスチャン・シオニストではありませんが、その核となっている宗教右派勢力の大部分は親イスラエル的傾向を持っています。
 これが宗教的な傾向性にとどまらず、アメリカの外交政策にまで影響を与えていると言われています。どの程度の影響力があるのかは定かではありませんが、少なくとも、Mezvinsky 先生によれば、その影響力はかなり大きいようです。

 イスラエルの政治家や宗教家たちの一部にも、親イスラエルのクリスチャン・シオニストを歓迎する人たちがいます。しかし、全体としては、キリスト教至上主義のクリスチャン・シオニストをいぶかしく思っている人の方が圧倒的に多いはずです。神学部のアダ・コヘン先生もそのように言っておられました。

 こうした状況は、日本ではまだあまり知られていませんが、宗教国家アメリカの行く末を分析する上では、重要な要因の一つであると言えるでしょう。

 会話は終始盛り上がっていました。Mezvinsky 先生にとっても、東京では聞くことのできないクリティカルな意見に触れることができ、満足な一時を過ごすことができたのではないかと思います。

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