小原On-Line

CISMOR: 2006年6月アーカイブ

060624 朝8時(!)から打ち合わせを始め、夜のレセプションまで長い一日でした。
 午前中は公開シンポジウムでした。一人ひとりの割り当て時間を事前にきちんと説明していたのですが、誰も守ってくれないっ!! さすがに焦りました。
 イスラエル・パレスチナ問題に関心を持っている人にとっては、今日的な事情に触れる、よい機会になったと思います。
 岡真理先生(京大)のコメントも、よかったです。イスラエル国家を大前提にした話の流れに抗して、「犠牲者」を一つのキーワードにした鋭い切り口を提供してくださったように思います。
 午後はクローズドのワークショップ。ここでも、いろいろな論点が出され、また、問題の解決策などもいくつか提起されていましたが、なかなか簡単には落ち着きません。イスラエル人においても、パレスチナ人においても、内部的な多様性・葛藤・緊張関係がありますから、万人が納得する解決する方法など、おそらくあり得ません。どういう形でよき妥協点を見いだしていくのかが問われていると言えるでしょう。
 私は、アッバス議長が主導している、イスラエルの承認を問う住民投票のことについて質問しましたが、ハマスが期待しない結果になった場合、ハマスとPLOの間で内紛が起こるのではないか、との返答をいただきました。こういう結果を最大限避ける努力を双方はしなければならないと思います。もちろん、イスラエルがハマスと対話しようとする姿勢を示すことも必要でしょう。

 今週土曜日、下記のように公開シンポジウムが予定されています。
 イスラエル人2名、パレスチナ人2名の組み合わせで行います。限られた時間の中で、どこまで突っ込んだ議論ができるのかはわかりませんが、現場の雰囲気の一端は感じ取ることができるのではないかと思います。ちなみに、司会は私。
 関心のある方は、ぜひお越しください。逐次通訳ではなく、同時通訳なので、議論に集中できると思います。

■公開シンポジウム
「パレスチナとイスラエルの対話――この1年を回顧する」

日時:2006年6月24日(土)9:30-12:00
会場:同志社大学今出川キャンパス 寒梅館ハーディーホール
パネリスト:エヤル・ベンアリ氏(ヘブライ大学教授)
  サイード・ザイダーニー氏(アル・クドゥス大学教授)
  ワリード・サーレム氏(パノラマセンター・エルサレム・オフィス代表)
  マリオ・シュナイダー氏(ヘブライ大学教授)
(入場無料/事前申込不要/同時通訳あり)

060617 タミーミー氏の講演会「中東紛争の根源」に参加しました。イスラエル・パレスチナ問題は政治的問題であることを明快に述べられました(宗教が問題の発端ではないということです)。
 終始一貫して主張されていたのは、イスラエルを国家として認めることは、1948年にパレスチナ人が自分たちの土地を追い出されたことを承服することと同義であり、決して認めることはできないということでした。
 近々、パレスチナ自治政府のアッバス議長がイスラエルを承認するかどうかの住民投票をすることについても言及され、結論的には、これは時間の無駄遣いだということでした。基本的にはハマス寄りの主張を展開されていたわけですが、なぜ多くの人がハマスを支持しているのかについて、少しわかったような気がしました。
 少なくともハマスをテロリスト集団と決めつけ、援助をストップし、話し相手としても認めない、というのでは埒があかないでしょう。

 来週土曜日、「パレスチナとイスラエルの対話――この1年を回顧する」という公開シンポジウムを開催します(→CISMOR)。ここでは、二人のパレスチナ人と二人のイスラエル人をスピーカーとしてお迎えしますが、その前に、タミーミー氏の意見を聞けたのは非常によかったです。

 ちなみに、タミーミー氏は7月上旬にロンドンで開催される Islam Expo のオーガナイザーでもあります。
 講演会のあと、三条河原町のトルコ・レストランで夕食を共にしながら、あれこれ楽しい会話を交わすことができました。さすがにヨーロッパにおけるイスラーム事情については、よくご存じでした。
 タミーミー氏によれば、イスラームに対してもっとも敵対的なのはフランスとのこと。反対に、イスラームを受け入れる努力をもっともしているのが、英国とスウェーデンとのことでした。

 ヨーロッパの多文化主義や「ヨーロッパ的ムスリム」といった考え方にも批判的で、結局、それらは支配的な価値の押しつけであり、「よいムスリム」「悪いムスリム」を選別するための思想だと手厳しく批判していました。

 大いに刺激を受けた一時でした。


 下記のように今週土曜日、講演会が予定されています。
 これから立て続けにイスラエル・パレスチナ問題に関係する講演会が行われる予定です。
 講師は大物揃いですので聞き応えがあると思います。イスラエル・パレスチナ問題に関心のある方は、ぜひお越しください。

公開講演会 「中東紛争の根源」
日時:2006年6月17日(土)14:00-16:00
会場:同志社大学 今出川キャンパス 神学館3階礼拝堂
講師:アッザーム・タミーミー氏(イスラーム政治思想研究所(ロンドン)所長)
(入場無料/事前申込不要/逐次通訳あり)

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