小原On-Line

CISMOR: 2005年10月アーカイブ

051022 22日(土)、塩尻和子先生(写真)による「クルアーン解釈からみるジハード論」の講演がありました。クルアーン(コーラン)の章句からジハードの意味を説き明かし、イスラームには暴力を容認する論理がある、といった主張に対する反論が展開されました。
 質疑応答の中では「仏教は戦争をしないし寛容であるのに対し、聖書を読んでも、一神教は本来的に暴力と結びついている」といった意見もありました。来聴者の関心がどのあたりにあるのかがわかり、質疑応答も興味深かったです。
 わたしは司会をしていたのですが、「質問は簡潔に」といくら強調しても、長々話そうとする人は毎回います。(^_^;) わたしは途中でストップさせますが。
 今日の講演会は本当は全体で2時間の予定だったのですが、な、なんとわたしが勘違いをして1時間半で終わってしまいました。3:30終了の予定だったのですが、3:00過ぎには終わっていました。なぜだろう~?と思われた方も多かったと思います。疑問に思われた方、すみませんでした。わたしが終了時間を勘違いしていました。(^_^;)

 講演会の後は、場所を変えて、引き続きジハード論をテーマに研究会を行いました。この分野の専門家である中田先生に発表をしてもらいました。人手不足から、研究会の司会もわたしが行いました。司会はしゃべれないので、あまり好きでないのですが、仕方ありません。

 中田先生は、ジハードの用語法から、現代のジハード論までを幅広く話してくださいました。islamistの中にjihadistがおり、さらにjihadistからtransnational jihadist(例:アルカイダ)が誕生してきます。jihadistが「近い敵(背教のアラブ支配者)」の打倒を目指すのに対し、transnational jihadistは「遠い敵(アメリカとその同盟国)」をターゲットにします。近い敵か、遠い敵か、という優先順位が異なるため、この二種類のjihadist同士が敵対しています。

 ジハード理解は、シーア派とスンニ派では異なります。幸い、イランの専門家が3名もおられたので、シーア派のジハード理解についても聞くことができました(ちなみに、中田先生はスンニ派)。

 この分野、あらためて奥が深いことを痛感させられました。同時に、イスラーム世界におけるジハード論を把握しておかなければ、まともな中東政策や安全保障を打ち出すことはできないだろうと感じました。この点、アメリカは失敗しているように思います。
 アルカイダを追い込むためには、本来、イスラム世界の中で彼らを敗北させる状況を作らなければならないにもかかわらず、その状況そのものを悪化させ、アルカイダが暗躍する素地をかえって作ってしまっているからです。

 ぼちぼち考えていきます。

 昨日、2003年度採択分の「21世紀COEプログラム」の中間評価が発表され、今日の新聞でその一部が報道されていました。
 同志社大学の「一神教の学際的研究――文明の共存と安全保障の視点から」は、A, B, C, D評価の内のBでした。研究の着眼点・ユニークさなどは高く評価されていましたが、世界水準の拠点となるためには「努力が必要」と評価されました。
 中間時点でB評価をいただいた方が、今後、ステップアップしてA評価で有終の美を飾ろうという発憤材料になりますので、ありがたいです(苦しい言い訳? (^_^;))。

 関連記事はいくつかありますが、比較的詳しく扱っているのが、Yokoさんがコメントで紹介してくださった『京都新聞』記事です。Yokoさんは、当事者より情報のキャッチが早いです。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005101200055

 記事末尾に、わたしのコメントが入った「京都・宗教系大学院連合」の紹介もされています。実は、昨日、京大記者クラブでCOE評価に関する記者会見を行いました。そこで、「一神教と多神教の比較研究もやっていますよ」という一例として、「京都・宗教系大学院連合」のことに触れたのですが、記者の関心はこちらに集中してしまい、結局、上記のような記事になったのだと思います。
 しかし、COEの目的達成のために、「京都・宗教系大学院連合」を設立したわけではありませんので、上記記事はちょっと誤解を与えかねませんね。あくまでも、両者は研究上のパートナーです。

 COEプログラムはあと2年半残っていますが、我々の研究は「学際・総合・新領域」で採択されており、まさに学際的分野を開拓している途上ですから、一朝一夕に成果が出るものではありません。しかし、短期的な期待に沿えるよう努力をしつつ、同時に、長期的な展望をもった、しっかりとした土台作りを続けていきたいと思っています。「文明の共存」に対する答えを5年で出せるわけありませんからね。

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